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米インテル、『Pentium 4』1.4/1.5GHzと『Intel 850』を発表──1.5GHzが819ドル

2000年11月20日 23時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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米インテル社は20日(米国時間)、『Pentium III』の後継となる新32bitプロセッサー『Pentium 4 Processor』を発表した。動作クロックは1.4GHzと1.5GHzの2種類。1000個ロット時の価格は1.4GHzが644ドル(約7万円)、1.5GHzが819ドル(約8万9000円)で、量産出荷中としている。Pentium 4用チップセット『Intel 850』もあわせて発表された。Intel 850の価格は現時点では未公開。

『Pentium 4 Processor』と『Intel 850』
『Pentium 4 Processor』と『Intel 850』

『Pentium Pro』以来の新アーキテクチャー

Pentium 4は、Pentium IIIの後継となるデスクトップ向けの32bit x86系プロセッサー。4200万個のトランジスターにより構成される(Pentium IIIでは2800万個)。アルミ配線による0.18μmプロセスによって製造されている。Pentium 4では『Pentium Pro』以来利用されてきた“P6マイクロ・アーキテクチャ”(※1)に替えて、“NetBurst(ネットバースト)マイクロ・アーキテクチャ”を採用したことが大きな特徴。NetBurstマイクロ・アーキテクチャが持つ新機能とP6マイクロ・アーキテクチャからの改良点を以下に示す。

※1 P6アーキテクチャーは'95年の『Pentium Pro』以来、『Pentium II』('97年)、『Intel Celeron』('98年)、『Pentium III』('99年)といったプロセッサーで利用されてきた。

●新機能

  • “ハイパー・パイプライン・テクノロジ”(Pentium IIIの2倍にあたる20段の深さを持つ)
  • 高速実行エンジン(整数演算ユニットはコア周波数の2倍のスピードで動作。整数演算ユニット数は2つだが、1クロックで2命令を実行できるため、1クロックあたり4命令の同時実行が可能)
  • 400MHzのシステムバス(データ転送レートがPentium IIIの約3倍の毎秒3.2GB)
  • 実行トレースキャッシュ(デコード済みの命令(※2)をキャッシュする)
※2 P6マイクロ・アーキテクチャやNetBurstマイクロ・アーキテクチャでは、x86命令は一旦、コアが実行可能な内部命令に変換されて実行される。

●改良点

  • 改良型のダイナミック・エグゼキューション(Pentium IIIの約3倍の、最大126命令の投機実行が可能なエンジンと、改良型の分岐予測アルゴリズム)
  • 改良型転送キャッシュ(2次キャッシュ(※3)へのスループットがPentium IIIの約3倍の毎秒48GB(1.5GHz時))
  • SSE2(MMX、SSE(ストリーミングSIMD(※4)拡張命令)に144個の新命令を追加。128bitのSIMD整数演算や128bitのSIMDバイ制度浮動小数点演算など)
※3 Pentium 4はコアと同じ速度でアクセス可能な256KBの2次キャッシュメモリーをダイ上に備える。

※4 SIMD(Single Instruction/Multiple Data)1つの命令で複数のデータを処理できる演算命令。

インテルによると、Pentium 4は現在および将来のさまざまな用途において、エンドユーザーが望む最高レベルの性能を目指して設計開発されたという。特に将来の周波数の向上に比例してパフォーマンスが向上することを主眼に開発され、インテルでは“5、6年先を見越したアーキテクチャー”としている。

NetBurstに最適化したチップセット

同時に発表されたIntel 850は、“Tehama”のコードネームで知られていた、Pentium 4(NetBurstマイクロ・アーキテクチャ)専用チップセット。FSB(Front Side Bus)400MHzに対応しする。プロセッサーとチップセット間のデータ転送速度は毎秒3.2GB、またメモリーとしてはRDRAM(2チャンネル)を採用し、メモリーとチップセット間のデータ転送速度も毎秒3.2GBとなっている。グラフィックスはAGP4Xをサポートする。ICH(I/O Controller Hub)は、『Intel 820E』や『Intel 815E』と同様、2チャンネルのUltra ATA/100インターフェース、4ポートのUSB 1.0、6チャンネルのオーディオ、ネットワーク機能を備えた“ICH2”となっている。

パソコン用メモリーではAMDがDDR SDRAM、インテルがRDRAMと分かれた格好になっているが、このことについてインテルは「2001年のボリュームPCセグメントではSDRAMが主流だが、パフォーマンスPCセグメントではRDRAMが求められる」としている。ただし、インテルはサーバー向けにおいてはDDR SDRAMを採用するという意向を明らかにしているほか、ボリュームPC向けにもDDR SDRAMを評価中であるとしている。なおRDRAMの供給体制については、韓国の現代電子社と三星電子社、ドイツのインフィニオンテクノロジーズ社、エルピーダメモリ(株)、(株)東芝 セミコンダクター社の5社による量産が進行中であるとし、十分需要に見合う供給がなされるとの見方を示している。

今回のPentium 4の発表によって、ようやく“最速のx86プロセッサー”の称号を取り返したインテルだが、11月始めに予定されていた発表がチップセットのトラブルにより延期されたとの情報も流れるなど、すんなりと発表とはいかなかった。また、11月末には、AMDが10月30日に発表した、DDR SDRAM(200/266MHz)をサポートするAthlon-1.2GHzとAMD-760チップセットが市場に出回ると見られている。AMDでは、この新Athlonは従来のAthlonに比べてパフォーマンスがかなりよいとしており、Pentium 4とのパフォーマンス比較も気になるところだ。価格面では、以前は1000ドルを超える高価なCPUになるという噂もあったが、1.5GHzで819ドル(約8万9000円)と、Pentium III-1GHzの発表時価格990ドル(約10万8000円)と比較して廉価なものとなっており、デスクトップにおいて、一気にPentium IIIとの置き換えを狙っているのではという見方もできる。1GHzへの一番乗り競争で始まった、2000年のx86プロセッサー市場は、インテルとAMDが一段高いステージの製品を出荷したところで21世紀を迎えることになりそうだ。

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