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GIML、独自開発したデジタル情報セキュリティー技術を発表


2001年9月17日

グローバル・インターテック・マーケッティング・ジャパン(株)(GIML)は17日、都内で記者発表会を開催し、独自に開発した、電子透かし技術や乱数発生装置など、デジタル情報セキュリティー関連の4つの技術を発表した。

GILMは'98年12月に、現代表取締役社長の福島正也氏(※1)らが資本金1000万円で設立(本社:千葉県千葉市)した、デジタル情報セキュリティー技術の開発を手がけるベンチャー企業。同社は'99年3月に開催した記者発表会では、独自の電子透かし技術を開発中とアナウンスしていたが、技術的な部分は公開していなかった。これは「小さなベンチャー企業なので、アイデアを明かしてしまうと、豊富な資金力と多数の人材を抱える大企業にあっという間に追い抜かれてしまう」(福島社長)ことを危惧したためだった。

※1 米国で米海軍の潜水艦発射弾道ミサイルの開発や、最先端包括的医療システムの構築などを行なった後、米アップルコンピュータ社の日本法人初代社長を務める。その後キヤノン販売(株)を経て、退職後GIMLを設立した。2000年4月には、GIMLの米国法人であるグローバル・インターテック・アソシエイツ社(GIAI)をカリフォルニア州に設立した。

GIML代表取締役社長の福島正也氏
GIML代表取締役社長の福島正也氏

今回、2年半の開発期間を経て複数の製品が完成し7件の特許を申請中で、大手企業との開発案件も進んでいることから、4つのセキュリティー製品について発表することにしたとしている。4つの製品とは、静止画像や電子ドキュメントへの電子透かしを埋め込んだり、読み出したりする技術“Document Lock(ドキュメント・ロック)”、無線通信機器やICカードにセキュリティー機能を持たせる際に必須となる乱数発生チップ“Wildfire(ワイルドファイア)”、クレジットカードやプリペイドカードなどの磁気カードにユニークな暗号化鍵を生成することができる技術“Magnetic-Dual Numeric Authentication(M-DNA)”、CDやDVD向けのコピー防止技術“CD/DVD Lock”。

Document Lockの概要
Document Lockの概要

Document Lockは、比較的透かしを入れやすい静止画像だけでなく、テキストで構成された電子ドキュメントにおいても、テキスト部分に透かしを埋め込むことができることや、編集・加工・圧縮などを行なっても透かしの検出が可能なこと、強度の異なる複数の透かしを入れることで改ざんされたかどうか検知できる、といった特徴を持つという。Document Lockを応用すると、コピー機に透かし検出モジュールを組み込み、複写禁止の透かしが入れられたドキュメントのコピーができないようにしたり、コピーしたドキュメントにコピー時の情報を透かしとして埋め込んだりということが可能になるという。

技術の説明を行なった、アプリケーション開発部長の堤義直氏
技術の説明を行なった、アプリケーション開発部長の堤義直氏。堤氏は(株)東芝で日本語ワープロのソフトウェア開発責任者や、DVD関連の開発責任者を務めた経歴を持つ。この9月にGIMLに入社した

また、現在のセキュリティーシステムにおいて広く使われている暗号技術である“公開鍵暗号”において鍵を生成するためには、十分なランダム性を備えた乱数が必要となる。こうした高いランダム性を備えた乱数発生のためには、ソフトウェアでなくハードウェアの乱数発生器が必要だが、GIMLのWildfireは、高いランダム性の乱数を、小さなダイ面積と低消費電力で発生できるというもの。GIMLによれば、現在最高性能と言われているオランダのフィリップス社のチップと比較すると、ダイの面積が0.85mm2に対して0.0172mm2と約50分の1、消費電力は74mW(100MHz時)に対して8.8mW(100MHz時)と約80分の1で済むという。このため、3G携帯電話やスマートカード(ICカード)への組み込みが容易であるとしている。

クレジットカードなどでは、多数の磁性粒子を塗布することによって磁気記録部分を作るが、このときの磁性粒子の並び方はユニークなものであり、このパターンは“磁気指紋(Magnetic Finger Print)”(※2)と呼ばれている。しかし、これを認証システムに応用するには、測定装置が大がかりになることや認識処理に高い処理能力が必要となることから、実用化に至っていなかった。

※2 米Magne Print社の登録商標。

M-DNAの基本的な仕組み
M-DNAの基本的な仕組み

これに対してGIMLでは、磁気記録部分が正確に記録できないほど高密度でデータを書き込むと、一定のエラー(デフェクトパターン)が生じ、さらにこのデフェクトパターンには再現性があることから、デフェクトパターンを暗号化キーとして利用するシステムM-DNAを開発した。暗号化したデータを別の磁気カードにコピーしても、磁性体部分の物理的特性であるデフェクトパターンはコピー不可能なため、カードの真贋を判断できる仕組み。クレジットカードやプリペイドカードなどに、広く応用できる。またカード表面の画像にDocument Lockによる透かしを入れ、そのデータも暗号キーの一部として利用することで、より安全性を高めることも可能としている。

M-DNAによる暗号化処理の仕組み
M-DNAによる暗号化処理の仕組み

CD/DVD Lockは、CD/DVDの記録ピットの一部を、正規の規格よりも少し長いピットとして記録する。こうした不正規なピットでは、データ読み出し時に読み出した値が一定でなくぶれる(2つの値のどちらかを取る)ことになる。そのため、コピーの作成ができなくなるとしている。CD/DVD Lock技術を付加したメディアの再生には、対応するドライバーソフトを組み込んだプレーヤーが必要となる。さらに、記録ピットの変更だけでなく、ピットを記録した上から、微細な印刷加工(マイクロ印刷)を行なうことで、不正規なピットと同様に読み出すたびに値が変わるように、ランダム性を持たせることができる。このマイクロ印刷によるランダム性は、数学的な偏差を持つが、この偏差を再生するための鍵として使うことで、複製できない(ランダム性をコピーできない)か、値を固定してコピーしても鍵が合わず再生できない仕組みとなっている。不正規なピットやマイクロ印刷は、“ベースバンド・ステガノグラフィ”と呼ぶデータ秘匿技術によって、ディスク内のどこに埋め込まれたかは分からないようになっているという。

CD/DVD Lockの技術概要
CD/DVD Lockの技術概要

GIMLのビジネスモデルは、デジタル情報セキュリティーのコアとなる技術とシステムを開発し、それをパートナー企業にライセンスして機器を製造してもらい、ライセンス料から収入を得るというもの。福島社長によれば、現在日本の大手メーカー2社とかなり詰めの段階の話し合いを行なっており、1、2ヵ月のうちに発表できるとしている。目標として10社とライセンス契約を結ぶ予定だが、そのうち6〜7社は日本企業になるという。この理由として、GIML技術の当面の主力応用分野はOA機器になると見ているため、必然的に世界の大手OA機器メーカーが集まる日本の割合が高くなるためとしている。2001会計年度(2001年11月末締め)に2億円、2002会計年度は20億円のライセンス収入を見込んでいるという。

福島社長によると、GIMLはデジタル情報セキュリティー技術に特化して開発を行なっているが、まだまだアイデアがあり、現在も新技術の開発や特許申請の準備を行なっているという。デジタル情報セキュリティー市場は、CD、DVD、携帯電話、クレジットカード、スマートカードなど非常に応用範囲が広く「ビル・ゲイツの市場よりずっと大きい」(福島社長)としている。福島社長が日本で起業した背景には「なんとか日本でも米国型のベンチャー企業が育たないかという思いがあった」という。まさにこれから必要とされている技術で、複数の分野に応用可能な製品を発表したことで、ベンチャー企業として、GIMLはすばらしい一歩を踏み出したといえる。「まだお話しできない」という研究中の技術にも期待したい。

GIML問い合わせ先

TEL.043-274-9211、FAX.043-274-5780

saegusa@global-intertech.com

(編集部 佐々木千之)


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