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カナダのMatrox、DirectX 9に対応した512bit GPU『Parhelia-512』を発表


2002年5月14日

カナダのMatrox Graphics社は14日、8000万トランジスターを集積し(※1)、0.15μmプロセス技術で製造するた512bit GPU(Graphics Processor Unit)『Matrox Parhelia-512(パフィリア)』(※2)を発表した。6月以降にParhelia-512を搭載したグラフィックスカードを出荷予定。128MBのメモリーを積んだカードの価格は400ドル(約5万1000円)以下になるとしている。

※1 参考値:Pentium 4は5500万トランジスター。

※2 Parheliaとは、大気中の氷の結晶などによって光が屈折し、本当の太陽の近くに小さな別の太陽があるように見える、日本語で“幻日(げんじつ)”と呼ばれる気象現象の英語での呼び名“Parhelion”の複数形。ParheliaロゴはQuality、Performance、Featuresの3つの輝きを表わしているという。

『Matrox Parhelia-512』
『Matrox Parhelia-512』

Parhelia-512は、ハイアマチュアやハードコア3Dゲーマー、2D/3Dのグラフィックスパフォーマンスを重視するワークステーションなどをターゲットとして設計したGPU。Parhelia-512搭載グラフィックスカードの詳細については明らかにしていないが、“Parhelia”ブランドとなる見込み。従来の“Millennium”シリーズも継続販売し、Parheliaはその上位ブランドとしての位置づけとなる。

Parhelia-512を搭載した、試作グラフィックスカード
Parhelia-512を搭載した、試作グラフィックスカード。製品版ではヒートシンクはもっと小型化するという

Parhelia-512は、512bitの内部アーキテクチャー、256bit DDRメモリーインターフェース、“Quad Vertex Shader Array”、“Quad Texturing”、“36Stage Shader Array”、“10bit GigaColor Technology”、“UltraSharp Display Output Technology”、“64 Super Sample Texture Filtering”、“Glyph Antialiasing”、“16x Fragment Antialiasing”、“Hardware Displacement Mapping”、“DualHead-HighFidelity”、“Surround Gaming”、“TripleHead Desktop”など数多くの新機能を搭載する。以下、順に紹介する。

メモリー帯域幅毎秒20Gbit

Parhelia-512では、512bitのメモリーコントローラーアレイを搭載し、256bit DDRメモリーインターフェースによって、最大メモリー帯域幅が毎秒20Gbitと、128bit DDRメモリーインターフェースを採用する他社のGPUと比較して約2倍の帯域幅を持つという。Quad Vertex Shader Arrayは、マイクロソフトが年内にリリース予定の“DirectX 9”をサポートする、プログラマブルバーテックスシェーダー(Version 2.0)の処理エンジン(128bit)を4つ搭載するもの。GPUが搭載するプログラマブルバーテックスシェーダーエンジンは、カナダのATIテクノロジーズ社の『RADEON 8500』が1つ(Version 1.1)、米NVIDIA社の『GeForce4』が2つ(Version 1.1)となっており、Parhelia-512は4つ合わせて毎秒100Mトランスフォーム以上を処理可能としている。

Quad Vertex Shaderエンジンの概要
Quad Vertex Shaderエンジンの概要
Parhelia-512のブロックダイヤグラム
Parhelia-512のブロックダイヤグラム

Quad Texturingは1ピクセルクロックあたり、4つのテクスチャーを処理できる機能で、パフォーマンスを犠牲にすることなく複雑な3Dのテクスチャー処理が可能という。36Stage Shader Arrayは、1ピクセルパイプラインあたり4つのテクスチャーステージを持つパイプラインを4本備え、また1ピクセルパイプラインあたりのピクセルシェーダーステージは5つで、計36(4×4+4×5)のシェーダーステージを持つことを意味している。RADEON 8500やGeForce4はそれぞれ計16であり、2倍以上のシェーダーステージとなる。

36Stage Shader Arrayの概要
36Stage Shader Arrayの概要

10bit GigaColor Technologyは、RGBそれぞれ10bit(1024)処理を行ない、通常の1600万色を大きく超える10億色をサポートする技術。10bitカラーは、これまで医療や放送などの分野向けの機器でサポートされてきたが、パソコンレベルでのサポートはParhelia-512が初めてとしている。Parhelia-512では2D、3D、DVD/Video出力などすべてのカラー処理が10bitで行なわれる。DirectX 9や次世代Windowsも10bitカラーをサポートするとしており、それを先取りしたものという。UltraSharp Display Output Technologyは、すべての出力に対する10bitのガンマ補正機能や高性能フィルター、8層基板によるクロストークのない配線などによる、高品質な画像出力を示している。

UltraSharp Display Technologyの効果
UltraSharp Display Technologyの効果。テストパターン信号の立ち上がり、立ち下がりが非常にきれいなグラフとなっている

64 Super Sample Texture Filteringは、3Dレンダリング時に、1クロック当たり最大64テクセルの処理が可能というもので、例えばデュアルテクスチャーのピクセルにバイリニアーフィルタリング処理をする代わりに、トライリニアーフィルタリング処理がペナルティーなしでできるとしている。Glyph Antialiasingは、ハードウェアによるテキストフォントのアンチエイリアシング機能。Windowsではソフトウェアによるテキストのアンチエイリアシングを行なっており、CPUに負荷をかけているが、このGlyph Antialiasing機能を使うことでコンピューターのパフォーマンスを落とすことなく、高品質のテキストを得られるという。なおこのテキストのアンチエイリアシングにおいても、ガンマ補正は10bitで処理される。

16x Fragment Antialiasingの詳細とその効果
16x Fragment Antialiasingの詳細とその効果
FAA-16xの効果と、4xFSAA、2xFSAAとの比較
FAA-16xの効果と、4xFSAA、2xFSAAとの比較

16x Fragment Antialiasing(FAA-16x)は、画像のエッジピクセルを抽出し、そのエッジピクセルに対して4×4のサンプリングによるアンチエイリアシングを行なうというもの。フルスクリーンアンチエイリアシング(FSAA)よりも高い品質のアンチエイリアシングを、より低いパフォーマンスペナルティーで可能なほか、FSAAのように画面中のテキストまでアンチエイリアシングすることはないとしている。

DirectX 9のDisplacement Mappingをハードウェアサポート

Hardware Displacement Mappingと、Depth-Adaptive Tessellationの組み合わせによる効果
Hardware Displacement Mappingと、Depth-Adaptive Tessellationの組み合わせによる効果

Hardware Displacement Mapping(HDM)は、Matrox Graphicsがマイクロソフトにライセンスし、DirectX 9でサポートする予定のDisplacement Mappingを、ハードウェア機能として搭載するもの。Displacement Mappingは、色の濃淡によって凹凸を表現した“Desplacement Map”を、ポリゴンオブジェクトの表面にマッピングして凹凸を生成するというもの。Displacement Mapのサイズは1つ当たり4KB。Parhelia-512では、遠くのオブジェクトには少ないトライアングル、近くのオブジェクトには多くのトライアングルを割り当てるという“Depth-Adaptive Tessellation”機能を持っており、HDMと組み合わせることで、データ転送量を抑えつつ、リアルなオブジェクトの表面を生成できるという。

マイクロソフトの『Flight Simulator 2002』を使った、トリプルディスプレー出力のデモ
マイクロソフトの『Flight Simulator 2002』を使った、トリプルディスプレー出力のデモ

DualHead-HighFidelity。Parhelia-512は2つの400MHz動作のRAMDACを内蔵しており、それぞれ2048×1536ドット32bitピクセルの出力が可能(DVI出力時は1600×1200ドット32bitピクセル)で、デュアルディスプレー時にはメイン・サブどちらの出力も同等の性能を持つ。また、3つめのRAMDACを追加して、3ディスプレー出力が可能なTripleHead Desktop機能も備え、トリプルディスプレー時は最大3840×1024ドット32bitピクセルのデスクトップをサポートする。また、この3ディスプレー出力に対応したゲームでは、文字通り1ディスプレー時の3倍の画面表示が可能。マイクロソフトの『Flight Simulator 2002』や、米Id Software社の『Quake III Arena』、米LucasArts Entertainment社の『Jedi Knight II』などが対応するとしている。

『Millennium G450』以降、高速化したG550は発表しているものの、ATIテクノロジーズのRADEON 8500やNVIDIAのGeForce4のような、高性能/多機能の製品発表からは遠ざかっていた感のあるMatroxだが、Parhelia-512で存在感を示した形だ。ATIテクノロジーズやNVIDAも次期グラフィックスチップの準備を進めているようで、今年の後半にかけて、高性能グラフィックスカードは三つ巴の戦いになりそうだ。

(編集部 佐々木千之)


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