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ソニー、“メモリースティック Duo”を7月に発売――“メモリースティック-R(仮称)”も開発中

2002年06月03日 22時03分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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ソニー(株)は3日、“メモリースティックフォーラム”を都内ホテルで開催した。同フォーラムは、メモリースティック賛同企業が一堂に会し、メモリースティックの新製品や最新情報を紹介するもの。

安藤社長
メモリースティックフォーラムで基調講演を行なったソニー安藤社長。「メモリースティック対応機器は2000万台を突破、クリティカルパスに達した。今後さらに加速がかかるだろう」

メモリースティックは、ワールドワイドにおける出荷累計が3月時点で2000万枚を突破、対応製品の出荷累計台数も2000万台となっている。同社は、メモリースティックの出荷累計が2003年に6000万枚、2004年に1億2000万枚と見込んでおり、対応製品の累計出荷台数も2004年で1億台になると予測している。

メモステ出荷数量
メモリースティックの出荷数量を表わしたグラフ
メモステシェア
メモリーカードのシェアを表わしたグラフ。「この結果はデジタルカメラに依存している部分が大きい。今後は携帯電話の発展をどうみるかがポイントとなる」(ソニー)

フォーラム内で同社は、メモリースティックのロードマップについて説明し、“メモリースティック Duo”を7月に発売すると発表したほか、メモリースティックの新ラインナップである“メモリースティック-R(仮称)”を開発中であることも明らかにした。

Duo
メモリースティック Duo(写真下)と、標準のメモリースティック(同上)

メモリースティック Duoは、小型機器向けに開発された小型の記録メディア。本体サイズは幅31×奥行き20×高さ(厚さ)1.6mm、重量は2gで、既存の標準メモリースティックと比較しサイズが3分の1、重量が2分の1と小型/軽量化を実現、携帯電話やポータブルオーディオプレーヤーなどでの利用に適しているという。また、専用アダプターを装着すると、標準メモリースティックと同等に扱えるようになり、既存のメモリースティック対応機器で利用できる。

7月に発売されるメモリースティック Duoの容量は16MB。また、メモリースティック Duoも既存のメモリースティックと同様に、標準版(青いタイプ)とマジックゲート対応版(白いタイプ)があり、7月に発売されるのは青いタイプ。価格は現時点では未定だが、専用アダプター付きで発売されるため、既存メモリースティックより高めになる見込みという。

さらに、ソニーの代表取締役社長である安藤国威氏は、フォーラムの基調講演において、NTTドコモの静止画送信サービス“iショット”において、メモリースティック Duoが記録メディアとして利用されることを明らかにした。メモリースティック Duoスロットを搭載したiショット対応のカメラ付き携帯電話端末が、ソニーではない他メーカーから後日リリースされるという。

Duoパッケージ
メモリースティック Duoと専用アダプター、およびパッケージ外観のイメージ

メモリースティック-Rは、1度だけ書き込み可能なライトワンス型メモリースティック。読み出しは何度でも可能。記録再生型に比べ低コストで生産できるため、デジタルフィルムのような使いかたが可能という。また、かなりの容量を記録できるため、コンテンツをディストリビュート(配布)するメディアとしても利用できるとしている。現在開発中で、発売時期や価格は未定。採用している技術なども非公開となっている。

ロードマップによれば、7月のメモリースティック Duo発売後、今秋には標準メモリースティックの1GB容量版や、Duoのマジックゲート対応版および大容量版(32/64/128MB)などをリリースするという。

メモステロードマップ
メモリースティックのメディアロードマップ

基調講演で安藤社長は、「メモリースティックの賛同企業は246社(5月末時点)、対応製品は50カテゴリー/300種類におよぶ。ブロードバンド時代において、メモリースティックはさまざまなネットワーク機器をリムーバブルにつなげるメディア。将来は、個人IDや認証キー、GPSにも利用できるだろう。メモリースティックはハード、ソフト、サービス、コンテンツをつなぐプラットフォームメディアであり、これからの新しいビジネスに大きな役割を果たすだろう」と語った。

プレステとメモステ
安藤社長が説明したメモリースティックプラットフォームのさらなる拡大をイメージしたイラスト
メモステビジネス
メモリースティックによるビジネスアライアンス。ソニーは、メモリースティックのラインナップが増えることで、それらに適したビジネスを展開できるとしている

また、同フォーラムでは、メモリースティック賛同企業によるメモリースティック製品戦略の説明が行なわれた。

(株)日立製作所の半導体グループは、メモリースティックスロットの著作権保護技術“マジックゲート(MagicGate)”のIPライセンスを受け、マジックゲートに対応したシステムLSI『SH-Mobile』の量産を2003年3月に開始すると発表した。『SH-Mobile』は、2.5G/3G次世代携帯電話向けのアプリケーションプロセッサー。同社はSH-Mobileを皮切りに、SuperHファミリーやH8Sシリーズにおいてもマジックゲート対応製品をリリースしていくという。

日立のLSI
日立のマジックゲート対応システムLSI『SH-Mobile』の概要図

(株)ソーテックは、同社製品にメモリースティックを採用することを表明、第1弾製品として、スリムタワー型デスクトップパソコン“PC STATION A”シリーズ、およびパワーユーザー向けデスクトップパソコン“PC STATION GX”シリーズの新機種を発表した。どちらの新機種も本体にメモリースティックスロットを搭載している。

『PC STATION A4200AVR/L5J』は、CPUにPentium 4-2AGHzを採用、256MBのメモリー(DDR266)と120GBのHDDを搭載する。また、DVD-R/RWドライブやUSB 2.0ポートを装備し、TVチューナーを内蔵、15インチTFTカラー液晶ディスプレーが付属する。OSはWindows XP Home Edition。18日発売で、価格は22万9600円。

『PC STATION A4170AV/L5J』は、CPUにPentium 4-1.70GHzを採用、256MBのメモリー(DDR266)と60GBのHDDを搭載する。CD-R/RWとDVD-ROMのコンビネーションドライブやUSB 2.0ポートを装備し、TVチューナーを内蔵、15インチTFTカラー液晶ディスプレーが付属する。OSはWindows XP Home Edition。25日発売で、価格は18万9600円。

『PC STATION GX4200AVR』は、CPUにPentium 4-2AGHzを採用、256MBのメモリー(DDR266)と80GBのHDDを搭載する。DVD-R/RWドライブを装備し、TVチューナーを内蔵する。OSはWindows XP Home Edition。20日発売で、価格は16万9800円。『PC STATION GX4200AVRB』は、GX4200AVRにOffice XP Personalをプレインストールしたもの。25日発売で、価格は18万9800円。

フォーラム内で、ソーテック代表取締役社長の大邊創一氏は、「無線だけがすべてではない。記録メディアを通じて他のパソコンやデジタル家電とつながるという環境が今後も続くだろう。パソコンにメモリースティックスロットを搭載することで、われわれの持っていないAV機器にパソコンがつながっていくのは面白い」と語った。

また同社は、他のパソコンシリーズにも順次メモリースティックスロットを搭載していくほか、液晶TVやMP3プレーヤーなどパソコン以外の機器にもメモリースティックスロットを搭載し、今秋より順次発売するとしている。

ソーテックPC
ソーテックのメモリースティックスロット搭載パソコン“PC STATION A”シリーズ。なお、昨日付けで一部報道が“ソニーとソーテックがパソコンで提携”といった内容を報じたが、ソーテックはメモリースティック賛同企業として、今回のメモリースティックスロット搭載パソコンをリリースするだけで、ソニーとパソコン事業について提携したわけではない。なお、メモリースティックスロットはNECのノートパソコンなどにも既に搭載されている

(株)ソニー・コンピュータエンタテインメントの常務である岡本伸一氏は、メモリースティックを利用したプレイステーション2(PS2)の戦略について説明した。岡本は、PS2のさらなる成長戦略として、PS2のブロードバンドへの対応と、デジタル家電機能の搭載を挙げた。PS2をメモリースティックに対応させることで、さまざまなデジタル家電とPS2がつながる世界を実現したいという。

つながるPS2
SCEIが提示した、メモリースティックにより他のデジタル機器とつながるPS2のイメージ

同社は現在、PS2向けブロードバンドサービス“PlayStation BB”用のソフトとしてマルチメディアプレーヤー『PlayStation BB Navigator』を提供しているが、(株)レーベルゲートと提携し、BB Navigatorの追加機能として音楽管理ソフト『PlayStation Juke BOX』を近日中に提供するという。『PlayStation Juke BOX』を利用することで、音楽配信サイトから楽曲データをダウンロードできるほか、メモリースティックなどにデータをチェックアウトすることも可能という。

ジュークボックス
『PlayStation Juke BOX』のイメージ

PS2とメモリースティックをどうつなげるかなどの具体的な説明はなかったが、安藤社長の基調講演では、USB対応メモリースティックアダプターをPS2に接続したイメージイラストが提示されていた。音楽データのチェックアウトが可能ということから、マジックゲート対応と思われる。

岡本氏は、「今年中にPS2のデジタル家電機能に関するリリースを行なうという。デジタル家電機能をPS2に持たせることで、ユーザーにデジタル家電体験を積んでもらいたい」と説明、従来のビジネスを拡大し、デジタル家電の連携の要としてPS2を位置づけたいとしている。

SCEIの説明について、ソニー常務の中川裕氏は、「これまで、いろいろな人に“なぜPSにメモリースティックを使わないのか”と聞かれてきた。そのたびに、SCEIはSCEIのビジネスモデルと思想で事業を展開しているので、時期がきたら使うでしょうと答えてきたが、今回のSCEI側の説明は、SCEIが真剣にメモリースティックとの新たな世界を作る意思表明だと思ってもらえれば」とコメントした。

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