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ソニー、運動性能とコミュニケーション能力を強化した小型2足歩行ロボット『SDR-4X II』を開発

2003年03月24日 21時17分更新

文● 編集部

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ソニー(株)は24日、2002年3月に公開した小型2足歩行ロボット『SDR-4X』の運動性能やコミュニケーション能力を向上させた『SDR-4X II』(試作機)を開発したと発表した。4月3日からパシフィコ横浜で開催される“ROBODEX2003”に出展する。会場ではエンターテインメントロボット“AIBO”用の新ソフトとして、『Photo Mail』(試作品)と開発環境『AIBOリモートフレームワーク(仮称)』も展示する。

『SDR-4X II』(試作機)『SDR-4X II』(試作機)

『SDR-4X II』(試作機)は、ロボット制御アーキテクチャー“OPEN-R”を採用し、リアルタイムOS『Aperios』を搭載した2足歩行ロボット。64bitRISCプロセッサー×3、64MBメモリー(DRAM)×3を搭載し、制御プログラムはメモリースティックで提供する。本体の関節自由度は計38自由度(首部4、胴部2、腕部5×2、脚部6×2、手部独立×5)で、センサーは測距/加速度/角速度/足底/温度/タッチのほか、挟み込みセンサー(全身各部18)を搭載し、本体背面にグリップスイッチも装備する。画像入力は11万画素カラーCCDカメラ×2を搭載する。目は4096色対応のLEDを採用。本体サイズは幅270×奥行き190×高さ580mm、重量は約7kg(バッテリー/メモリー込み)。従来のSDR-4Xの運動性能を向上させたほか、安全機能の向上、マップビルディング照合機能の搭載、対話機能の強化などを図ったのが特徴で、新たにエンターテインメントコンテンツや、充電用ステーションも用意する。

運動機能では、バランスを崩した場合に、転倒を未然に防止する回避行動をとるだけでなく、転倒してしまう場合には受身の姿勢をとり衝撃を緩和できる。転倒してしまっても、起き上がることができる転倒復帰機能を搭載する。安全機能では、新開発の小型アクチュエーターによる“アクティブコンプライアンス制御”や“アクティブ衝撃吸収制御”などの機能を強化し、ロボットの可動部に何かが挟まった場合に、接触センサーが検知して、アクチュエーターのパワーを安全なレベルまで下げるといった反射行動をとらせることが可能になった。本体背面のグリップで持ち上げれば、関節部が脱力して安全に抱き上げ保持することもできるという。

新機能のマップビルディング照合機能は、あらかじめ登録した色標識識別して配置を学習し、それを基にロボット自身の位置を推定するもので、ロボットの判断で適切な位置に移動したり、場所に応じた行動をとったりできる。対話機能では、音声認識/合成用のCPUを追加したことで、大語彙連続音声認識(語彙数約2万語)を本体だけで処理できるようになった。顔と名前の記憶対話機能も拡張され、人との対話で得た単語を記憶して、その人に合わせた対話が行なえるほか、プリセットされているトピックス的シナリオを利用してさまざまな応答を返す“フレーズ駆動型対話技術”も搭載する。

エンターテインメントコンテンツは、オリジナル曲『奇跡の旅』(坂本龍一作曲、仲畑貴志作詞)を含む10曲以上の歌や、大小1000以上のモーション、200以上の対話シナリオで構成される。さらに、これらを組み合わせて行動プログラムを設計できる開発環境も開発し、自律行動として自然にエンターテインメントを提供するロボットの開発が可能になったという。充電用ステーションは、ロボットの内部電池の充電と、ロボットの内部情報の取得や設定を行なう機能を持つ別置きロボットステーション。

エンターテインメントロボット“AIBO”用の『Photo Mail』(試作品)は、電子メールを利用して離れた場所からAIBOに写真撮影を行なわせるソフト。撮影した画像は電子メールで返信する。撮影方向や撮影音の指定も行なえる。『AIBOリモートフレームワーク(仮称)』は、パソコンからワイヤレスLAN経由でAIBOをコントロールするアプリケーションを作成するための 開発環境。AIBOからの音声/画像/関節角度/センサー値などのデータをパソコン側で処理し、それに応じた指令をパソコンからAIBOに与えるソフトを開発できる。これによりエンターテインメント分野以外にAIBOを利用できるようになるという。

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