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日立と日立マクセル、テラバイト級の多層光ディスクの基本技術を開発――電圧で透明化する材料で最大100層に対応

2003年05月16日 17時44分更新

文● 編集部

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(株)日立製作所の研究開発本部は16日、日立マクセル(株)と共同で、テラバイト(TB)級の記録容量を持つ新概念の多層光ディスクの基本技術を開発したと発表した。

開発した基本技術では、光ディスクの記録層に、電圧印加により色が変化する“エレクトロクロミック材料”を採用し、記録したい層以外の層を透明化することで、最大100層程度の多層化を行なっても記録と再生が行なえるという。

多層化技術では、光の透過性を利用して、光スポットの焦点位置を移動させ、任意の記録層だけに焦点を合わせることで、選択的に記録や再生を行なう。これまでは5層以上に増やすと下の層では光が弱くなるという問題があった。そこで、着色させる電圧と透明にする電圧が異なるエレクトロクロミック材料を記録層に採用。着色された層では光の吸収があるため、記録や再生が可能となり、それ以外の層は透明となることから、5層以上の多層化が行なえるという。また、従来の多層ディスクでは記録したい層以外の層からの影響を受けないようにするために、層の間隔を25μm程度にする必要があったが、新開発の技術では、選択した層以外が透明になるため、0.3μmまで狭くできるため、従来の2層ディスクと同じ程度の厚さで100層に対応可能としている。

情報の記録と再生の原理は、

  1. 記録:選択した記録層へ強い光を照射すると、発熱で照射部の透過率が変わり透明になる。これが記録マークとなり、この状態が電圧によらず固定される。記録マークは透明で、電圧を切り替えてほかの層に記録や再生する際に影響しない。
  2. 再生:選択した層に弱い光を照射すると、着色された記録層と透明の記録マークでは反射光量に差が生じるため、記録情報を読み出せる。

両社は、記録層が1層の直径12cmディスクを試作し、記録と再生の原理実験を行なったという。ディスクの回転軸に取り付けたボールベアリングから約2Vの電圧を記録層に印加し、着色した記録層にレーザー光を照射して記録マークを生成、記録マークから信号を読み出すことができたという。光学系については、CDやDVDとの互換性を持たせられるとしている。

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