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富士通研究所、直径1mmで長さ1mのプラズマチューブアレイを開発――100インチ超の薄型ディスプレーの実用化へ

2003年11月12日 00時00分更新

文● 編集部

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(株)富士通研究所は12日、直径が1mmで長さが1mのガラス細管内にPDP(プラズマ・ディスプレー・パネル)の発光素子構造を持つプラズマチューブを作成する技術と、それを並べて電極基板で挟みアレイ化する技術を開発したと発表した。併せてプラズマチューブを128本アレイ化した試作ディスプレーにより、カラー動画像の表示に成功したことも発表した。同技術を利用すれば、画面サイズが対角100インチを超える薄型で形状の自由度の高いディスプレーを、同じサイズのPDPに比べて小規模の設備で製造することが可能になるとしている。

原理図
プラズマチューブアレイとそれを利用したディスプレーの原理図

現在、100インチを超える屋外用のディスプレーには、主にフロントプロジェクターが利用されているが、輝度が低いことから自発光型のディスプレーが望まれている。自発光型ではLEDアレイが実用化されているが、100万個単位のLEDを1ドット単位で並べなければならないためコストを下げるのが難しいうえ、メモリー機能を持たないため、マトリクス駆動回路の規模が大きくなり、LEDの低消費電力という特徴が生かせないという。

表示例
プラズマチューブアレイディスプレーを利用した画像の表示例

今回、同社が開発したプラズマチューブアレイ技術は、PDPと同じ発光素子構造を持つ直径1mmのプラズマ発光チューブを多数並べることで大画面化を図った独自技術。RGB各色のプラズマチューブを並べ、電極基板で挟んだ構造をしており、チューブを挟む電極間にパルス電圧を印加することで発色させる。駆動方法がPDPと同じであるため、PDP用の市販のドライバーLSIを利用できるほか、電極がプラズマチューブと別基板となっていることから電極形成もPDPより容易という。また、PDPのようにガラス基板が不要であることから、現行のPDPの4分の1以下に軽量化できるのも特徴。形状もドーム形や円筒形にすることが可能。さらに、原理的にセルサイズ(放電空間)が大きいほど発光効率が高くなるPDPの性質から、セルサイズを大きくできるプラズマチューブでは、発光効率をPDPより上げることが可能という。発光効率として、現在のPDPの4倍を目指しており、最終目標は1Wあたり5ルーメン以上を目標としているという。製造面でも、PDPのように巨大なガラス基板を扱うための製造装置が不要となり、設備を小型化できるだけでなく、クリーンルームも必要なくなるという。

同社では、現在、信頼性評価や製造技術の開発を行なっており、今後2年程度で製品に適用できる信頼性を確保するとともに、製造設備の実用化にめどをつける予定としている。

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