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NTT、プラスチック製光メモリー“インフォ・マイカ”を開発――プロトタイプでは切手サイズに1GBのデータを記録


2004年2月12日
記者説明会

日本電信電話(株)(NTT)は12日、都内で記者説明会を開催し、デジタルデータを2次元ホログラムに符号化して記録、その映像を読み取って複合化する“薄膜ホログラムメモリ”(光メモリー)をプラスチック樹脂媒体で実現し、切手サイズで1GBのデータ記録/読み出しが可能なプロトタイプを完成したと発表した。同社が昨年7月から開始した“総合プロデュース機能”(※1)のもと、『インフォ・マイカ(Info-MICA)』(※2)の名称で2005年中の製品化・事業化を目指すとしている。

※2 総合プロデュース機能 持ち株会社であるNTTが、NTT研究所で研究中の技術のうち事業化が有望なものを選別して、NTT内に“プロデューサー”“ディレクター”を設定して、NTTグループ内の関連企業や他社との協業を図りつつ事業化を進めていく事業形態。

※ インフォ・マイカ Information Multilayered Imprinted CArdの略で、雲母(mica、マイカ)のように層状の構造を持つメモリー媒体から命名した、とのこと。



光ファイバーの原理で薄膜ホログラムを実現
100枚の積層で1GBに!!

容量1GBの『インフォ・マイカ』のプロトタイプ
女性の指先にあるのが、容量1GBの『インフォ・マイカ』のプロトタイプ
インフォ・マイカを10円切手と比較したところ
プロトタイプのインフォ・マイカを10円切手と比較したところ
ホログラムを表示する面とは反対側にレーベルを印刷
ホログラムを表示(出力)する面とは反対側にレーベルを印刷したモックアップ。製品化・事業化の際には、こうしたレーベルにコンテンツのタイトルなどが記録できるという

発表会には、NTT内にあるNTTサイバースペース研究所 第一推進プロジェクトディレクターの八木生剛(やぎしょうごう)氏、NTT 第三部門ビジネスクリエーションプロデュースチーム担当部長(プロデューサ)で工学博士の阪本秀樹氏らが出席し、NTTが光メモリーの研究を進めてきた背景や今後の製品化への道のりなどを説明した。

記者会見に出席したNTTの関係者
記者会見に出席したNTTの関係者。左端が阪本秀樹氏、その右が八木生剛氏

両氏の説明によると、ホログラムを使った光メモリーは1960年代から各社で研究を開始しているが、どこも実用化には至っていない。その理由は、当初開発されたものが3次元ホログラフィックス(体積ホログラム)を利用したもので、記録密度は高いが光源の波長が変動したり、媒体の熱膨張による変形などで取り出される映像(3次元ホログラム)が変化し、読み出しに支障が出てしまう。また、2次元ホログラムについても、単純な重ね合わせでは複数の情報が同時に読み出されるため、必要な情報の特定が難しかったという。

インフォ・マイカの原理
インフォ・マイカの原理
体積ホログラムと薄膜ホログラムの違い
体積ホログラムと、インフォ・マイカで採用した薄膜ホログラムの違い

今回NTTが開発したのは、光ファイバーと同様に積層導波路構造(※3)を用いて側面から入射した光を一定範囲に収めることで、目的の層に記録した2次元ホログラムのみを取り出す(読み出す)ことが可能になった。加えて、“開口多重アクセス技術”によって、1層に複数のホログラムを重ね合わせて記録し、再生時に液晶シャッターによるフィルターを透過させることで特定のパターンのみを読み出すことができるという。これにより1層あたりの記録密度を上げるとともに、サブミクロンオーダーで記録したホログラムをミクロンオーダーのCCD/CMOSなどの撮像素子で読み出すことが可能になったと説明する。

※3 積層導波路構造 屈折率の高い“コア層”と屈折率の低い“グラッド層”を交互に積層することで、光がコア層の中に閉じ込められるように伝搬する構造。インフォ・マイカではこの伝搬する経路に凹凸があり、光が途中で散乱してホログラムの画像を生成する

積層導波路構造の仕組み
インフォ・マイカで採用している積層導波路構造の仕組み
開口多重アクセスの仕組み
インフォ・マイカで採用している開口多重アクセスの仕組み
インフォ・マイカと読み出しドライブの開発に必要な技術
インフォ・マイカと読み出しドライブの開発に必要な技術として、光を入射する層を切り替える“入射サーボ技術”、画像を復号化する“画像整形・二次元符号技術”などが挙げられた
インフォ・マイカの読み出しドライブ
インフォ・マイカの読み出しドライブ。構造がわかるようにカバーをトランスルーセントで作ったものがデモ展示された
側面にあるインフォ・マイカを挿入するスロット
読み出しドライブの側面にあるインフォ・マイカを挿入するスロット
ノートパソコンと同じ程度の底面積を持つ制御装置
ノートパソコンと同じ程度の底面積を持つ制御装置。試作機のためにかなり大型だが、製品化の際には読み出しドライブの中に組み込まれる予定

今回試作品としてデモンストレーションされたのは、切手サイズ(幅25×奥行き25×高さ2.1mm)で一見透明なプラスチック板の試験用記録媒体(インフォ・マイカ)と、読み出し用ドライブ(幅88×奥行き37×高さ22mm)、および制御用回路と読み出しに用いられたWindows XP搭載のノートパソコン。厚み2.1mmのインフォ・マイカには100層の薄膜ホログラムメモリが積層され、容量は全体で1GB(1層あたり10MB)を実現する。薄膜ホログラムメモリ1層あたりの厚みは1.5μm。1層ごとに微細な凹凸パターンを描画してデータをホログラムとして記録するが、この成型にはCD/DVDのマスタリング技術が流用可能で量産性が高い。現時点では読み出し専用だが、材料の研究・調達によって将来は書き換え可能なメディアも開発できるという。また、記録密度の向上などにより、同じサイズで10GB以上の記録(※4)も実現できると、将来の展望を語った。

※4 10GB以上の記録 開発研究段階での顕微鏡を用いた試験では、1層での最大記録密度が1インチ2あたり1.7Gbitを確認したとのこと。
掲載当初、本文中の単位/数値に誤記がありました。関係各社ならびに読者の皆様にお詫びして訂正いたします。

インフォ・マイカの利用例、その1
インフォ・マイカの利用例、その1
インフォ・マイカの利用例、その1。子どもが遊んでいる携帯ゲーム機に装着して、新しいゲームや映画などを楽しめる

量産時のコストは、読み出し用ドライブが数千円、メディアは100〜200円程度を想定している。主な用途としては半導体ROMの代替(パチンコ/カーナビゲーションシステムの地図情報/電子辞書など)、紙に代わるもしくは雑誌などに添付する簡易配布媒体、小型で大容量の特性を生かして携帯電話や小型携帯ゲーム機などでのリッチコンテンツの発行用途、などを挙げている。

インフォ・マイカの利用例、その2
インフォ・マイカの利用例、その2
インフォ・マイカの利用例、その2
インフォ・マイカの利用例、その2
インフォ・マイカの利用例、その2。情報誌にインフォ・マイカを添付して、映画の予告編などを配布し、読者(ユーザー)は携帯電話などの小型端末でいつでもどこでも気軽にリッチコンテンツを楽しめる

なお、CD/DVDなどと違い、反射層がないため素材はプラスチックのみで金属を含まないため、リサイクル(インフォ・マイカの再生産や洋服などの素材に利用)が可能と述べ、環境への配慮も行なっていることをアピールした。

(編集部 佐久間康仁)


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