このページの本文へ

三菱電機、AdobeRGBのほぼ全域をカバーする“高精細広色域LEDバックライト液晶モニター”を開発

2004年03月22日 16時47分更新

文● 編集部 佐久間康仁

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

三菱電機(株)は22日、印刷/色校正業界で利用されるAdobeRGBの色表示領域をほぼ全域サポートできるという、表示解像度1920×1200ドットの“高精細広色域LEDバックライト液晶モニター”(23インチサイズ)の試作機を開発したと発表した。同社ではこの試作機を、米国・サンディエゴで今月20日から4月1日に開催される平面ディスプレー関連の技術会議“US FPD Conference 2004”に出展するほか、技術内容をディスプレー技術学会“SID(Society for Information Display) 2004”で発表する予定。今回の開発は、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の平成15年度基盤技術研究開発促進事業(民間基盤技術研究支援制度)の成果の一部に基づくものとしている。

“高精細広色域LEDバックライト液晶モニター”の試作機
“高精細広色域LEDバックライト液晶モニター”の試作機

“高精細広色域LEDバックライト液晶モニター”は、パソコンのCRTディスプレー向けの色再現空間“sRGB”よりも色表示領域が広い“AdobeRGB(1998)”を、ほぼ全域にわたって再現できる高い色再現性が特徴の液晶パネル。同社では、ほぼ1年前にWXGA表示(1280×768ドット)で同等の色再現性を実現する試作機を開発しているが、“LED応用バックライト技術”、“色変換技術”、ならびにNEC三菱電機ビジュアルシステムズ(株)のディスプレー開発技術などを応用して高解像度/高精細化を実現したという。

LEDバックライト方式とsRGB、AdobeRGBでの再現可能な色空間領域の比較
LEDバックライト方式とsRGB、AdobeRGBでの再現可能な色空間領域の比較

色再現性を上げるために、液晶のバックライト光源をRGB(赤緑青の三原色)に対応する3色のLEDを用意、組み合わせているほか、高精細化にともなう開口率の低減(輝度低下)(※1)を抑えるためにLEDを従来の2倍に増加。さらに、LEDからの発熱によって起こる“色ずれ”を“ビルトインキャリブレーションシステム”で補正するなどの工夫を加えたという。

※1 RGB各色の発光部分を高精細化(高密度化)すると、表示単位(RGB3色で1セット、1ピクセル)に比べて比較的小型化が難しい制御回路(非発光領域)の比率が高くなり、開口率が下がって輝度が低下する

LEDバックライト方式と従来の冷陰極蛍光管バックライト方式の発光特性の違い
LEDバックライト方式と従来の冷陰極蛍光管バックライト方式の発光特性の違い

液晶方式には、視野角の広い“IPS(In-Plane Switching)方式”を採用し、輝度は600cd/m2を実現。表示可能な色空間は、緑、青方向がAdobeRGB(1998)とほぼ同等で、赤方向にはAdobeRGBより広い再現領域をカバーする。これは医療業界の需要にこたえるため、改良を加えたものだという。

現在同社では、この試作機をベースに製品化に向けて仕様の確立、キャリブレーションシステムの精度向上や、用途の開拓を進めていくとしている。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン