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ウエスタンデジタルジャパン、外付け型HDD『Media Center』など2製品の発表会を開催――HDDレコーダー需要で業績好調

2004年03月22日 00時00分更新

文● 編集部

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ウエスタンデジタルジャパン(株)は22日、USB 2.0のHub機能を搭載し、8-in-1カードリーダーを搭載した外付け型HDD『Media Center』と、シリアルATAに対応した毎分1万回転のHDDユニット『WD Raptor 74G』の新製品発表会を開催した。両製品ともすでにプレス向けの製品発表ずみとなっていることから、発表会では同社の業績やHDD市場についての説明や、製品の位置付け/機能の紹介などが中心となった。

『Media Center』 『WD Raptor 74G』
『Media Center』『WD Raptor 74G』

『Media Center』は、容量が最大250GBの外付け型HDDに、パソコンとの接続用インターフェースにUSB 2.0×1とIEEE 1394×2を搭載し、USB 2.0/1.1対応の2ポートHubと8種類のメディアに対応したカードリーダーを搭載したのが特徴。WindowsとMac OS/Mac OS Xに対応しており、本体サイズは幅154.4×奥行き218.8×高さ44.2mm。『WD Raptor 74G』は、シリアルATAに対応し、容量が74GBで毎分1万回転の3.5インチ内蔵型HDDユニット。

金森苧氏
ウエスタンデジタルジャパン(株)代表取締役社長の金森苧氏

発表会には、同社の代表取締役社長である金森苧(かなもりあさお)氏、アプリケーションズ&フィールドクオリティーエンジニアリング ディレクターのアシュレー・ロー(Ashely Lo)氏、米ウエスタンデジタル社アジアパシフィックセールス統括副社長のジム・マーフィー(Jim Murphy)氏が出席した。

デスクトップパソコン向け3.5インチHDDのシェア。 同社の国内における出荷実績
デスクトップパソコン向け3.5インチHDDのシェア。青線が同社で24.7%。米シーゲイト・テクノロジー社、米マックストア社の3社で約85%を占める同社の国内における出荷実績。2003年第4四半期にはAV市場の伸びに牽引され850万台を超えている
現在は7社に減っている
HDDメーカーは1986年ごろの76社から現在は7社に減っている

冒頭、挨拶に立った金森氏は、一時期の経営不安が噂された時期から回復し、11期連続で黒字を計上していることを紹介。豊富なラインアップを揃えており、今年の夏には2.5インチのモバイル向けHDDを発表する予定であるとした。市場の推移について、1986~87年には76社のHDDメーカーがあったが、競争により毎年10社ずつ淘汰され、今では7社しか残っておらず、そのうち、米シーゲイト・テクノロジー社、米マックストア社、同社の上位3社で85%以上のシェアを占める状態になっていると説明した。同社のデスクトップ向けHDDのシェアは過去3年で10%から24.7%に増えているという。業績推移については、完全に復活していることをグラフで示した。

ジム・マーフィー氏アジアパシフィックセールス統括副社長ジム・マーフィー氏

続いて、ジム・マーフィー氏が、米ウエスタンデジタル社の概要について説明した。氏は、日本市場が重要であると考えており、アジアパシフィックの拠点をシンガポールから日本に移すことや、最近、磁気記録ヘッド技術を持つ米Read-Rite社を吸収したことで事業を強化したこと、工場がタイにあること、サンノゼに開発センターがあることなどを紹介した。

各国の拠点
各国の拠点

氏は、HDD市場は3つのセグメントに分かれており、3.5インチのデスクトップ/コンシューマー向けでは24.7%、3.5インチのエンタープライズ向けでは1.2%のシェアとなっていることを示し、今後はノート/ポータブル向けの2.5インチにも力を入れる予定であると説明。業績についても、昨年度の売り上げが2700万ドル(約2477億円)であり、順調に推移していることをグラフで紹介し、その背景として、パソコンメーカーへのOEM出荷が好調であることを挙げた。パソコンメーカー上位11のパソコンの約3分の1に同社の製品が搭載されているという。

今後、3.5インチデスクトップ向けが6.2%、2.5インチモバイル向けが11.6%、HDDレコーダー/STB/ゲーム機向けが53.9%、エンタープライズ向けシリアルATAが134.3%というように、市場の飛躍的な伸びが予測されているが、特に日本市場については、HDDレコーダー(PVR/DVRなど)の需要の伸びが大きいことから事業を強化すると説明した。

用途別シェア 今後も成長が見込まれている
用途別シェア今後も成長が見込まれている。特に日本市場とアジアパシフィックに注目しているという

最後に、外付け型HDDの市場について、インターフェース別とエリア別の市場予測を示し、インターフェースではUSBとUSB&IEEE 1394が大きく伸びること、エリア別では日本とアジアパシフィックを重要と考えており、拠点を日本に移し、同氏が日本にいるのもその理由となっていると説明した。

インターフェース別 エリア別
インターフェース別ではUSBとUSB&IEEE 1394が大きく伸びると予測エリア別では、日本とアジアパシフィックを重要と考えているという
ワールドワイドでのマーケット予測

次に、アシュレー・ロー氏が製品の説明を行なった。同氏は、米国で技術と品質の統括を担当しており、今回、2年の期間限定で日本市場での品質と技術の向上のために来日しているという。

アシュレー・ロー氏
アプリケーションズ&フィールドクオリティーエンジニアリング ディレクターのアシュレー・ロー氏

氏は『Media Center』には、8-in-1カードリーダー付きの『The Media Center with Dual-option Backup』とカードリーダーの付いていない『The External Combo with Dual-option Backup』の2製品をラインアップしていることを紹介し、製品の大きな特徴として、バックアップ機能を挙げた。本体前面には“Automatic Backup(オートマチックバックアップ)”と、“Manual Backup(マニュアルバックアップ)”の2つのボタンが搭載されており、オートマチックバックアップボタンを押すと、あらかじめ設定たスケジュールで自動的にバックアップを行ない、マニュアルバックアップボタンでは押して数秒でバックアップが開始されるようになっている。スケジュールやバックアップ場所などの詳細を設定するためのソフトとして米Dantz Development社のバックアップソフト『Dantz Retrospect Express Backup』が付属する。

本体前面 本体背面
本体前面。左からオートバックアップボタン、マニュアルバックアップボタン、セーフパワースイッチ、USB 2.0/1.1ポートの4つが並んでいる。上部に8-in-1カードリーダーが2つ(3+5)に分かれて装備されている本体背面には、ケンジントンロック、IEEE 1394(FireWire)×2、USB×2、電源コネクターが並ぶ
Media Center

水平に置いた場合、本体上面となる部分には2スロットに分かれた8-in-1カードリーダーを搭載する。本体背面には、電源コネクター、パソコンに接続するためのUSB 2.0/1.1×1、Hub対応のUSB 2.0/1.1×1、IEEE 1394×2、そのほか盗難防止用のケンジントンロックスロットが用意されている。

アイコン表示
Media Centerは、Windowsの“My Computer”ではドライブ本体、Compact Flashドライブ(3メディア対応)、5-in-1カードリーダーとして認識され、アイコン表示される

コンピューターからは、Media Center本体、Compact Flashドライブ(Type I、Type II、マイクロドライブの3種類に対応)、5-IN-1(スマートメディア、マルチメディアカード、SDメモリーカード、メモリースティック、メモリースティックPROの5種類に対応)の3つのドライブとして認識される。

同氏は、そのほかの特徴として、本体前面にUSB 2.0×1(Hub)を搭載していること、セーフパワー機能付き電源ボタン、放熱効率のよい筐体デザイン、スタック対応で512GBまで拡張できることなど挙げた。ファンは、安全性を高めるために、電源を切ってから10秒後に停止するようになっているという。ホットスワップにも対応する。内蔵するHDDユニットは同社製の高速で高信頼性の高い『Caviar』を採用しており、毎分7200回転、8MBキャッシュ、流体軸受けのほか、ユーザーのアクセスがないときにオフラインでデータエラーのチェックを行なう自己診断機能“Data Lifeguard”を搭載しているという。製品ラインアップとして、このほか、USB 2.0のみに対応した製品(容量が80G/120G/160GB)について国内販売するか検討中という(米国では製品化ずみ)。

『Media Center』のラインアップ
『Media Center』のラインアップ。今後USB 2.0のみの製品の投入検討しているという

同氏は、これらの製品では、データの安全性を提供する“Data Safety”、高品質を約束する“Quality”、誠実にユーザーに対応する“Integrity”を付加価値として提供すると説明した。

『WD Raptor 74G』の特徴
『WD Raptor 74G』の特徴

続いて、シリアルATAに対応した内蔵型HDD『WD Raptor 74G』について説明した。これは同社がパソコンだけでなく、サーバー/ネットワークストレージ市場向けに展開するラインアップで、シリアルATAインターフェースを採用し、毎分1万回転、平均シーク時間が4.5ミリ秒と高速であるのが特徴。現在SCSIが主流のワークステーション/サーバー向けに、SCSIよりローコストで提供できることを強調した。信頼性について、平均故障時間(MTTF)が120万時間、保証期間が5年(通常は1~3年)であることを挙げた。信頼性を向上させる機能として、サーバーなどに複数のユニットを搭載した場合に生ずる各種の振動(ドライブ本体の振動やほかの搭載機器による振動)を自動補正する機能(RAFF Rotary Vibration Compensation)、流体軸受け、温度センサー、SCSIでも採用されている機能を搭載した診断機能“EESA(Enterprise Extensions SMART Accessed)”などを搭載していることを紹介した。パフォーマンスを向上させるためには、Ultra/150コマンドキューイングによりコマンドを実行する順序を最適化しているという。これらにより、ウェブサーバーに利用する場合は平均45%、ファイルサーバーでは平均30%、SCSIよりコストパフォーマンスが高くなるという。

振動対策による効果 Ultra/150コマンドキューイングの効果
振動対策による効果Ultra/150コマンドキューイングの効果。グラフでは差が少なく見えるが、実際の効果は大きいという

『WD Raptor 74G』(WD740GD)のほか、ラインアップとして、SCSIで広く使われている容量が半分の36.7GB『WD360GD』が用意されている。平均シーク時間は5.2ミリ秒。今後、容量が144GBの製品の投入も予定しているとした。

『WD Raptor』のラインアップ
『WD Raptor』のラインアップ。74GBの『WD740GD』のほか、容量が半分の36.7GBの『WD360GD』が用意されており、今後は144GBの製品を投入する予定

最後の質疑応答では、2.5インチ製品を今年の秋に発表する予定で、その後、1.8インチなどの小型ドライブについて検討することや、IDE対応ドライブを中心に製品展開することなどが説明された。

質疑応答の様子
質疑応答の様子

今回発表した『Media Center』は、HDDユニットメーカーによる外付け型ドライブという点で注目できる製品と言えるだろう。サポートを含め、付加価値をユーザーにどのようにアピールするか、既存の周辺機器メーカーが販売している製品との差別化をどうするかといった点が、特に気になるところだ。今後の動向に注目したい。

『Media Center』 『WD Raptor 74G』
『Media Center』『WD Raptor 74G』
会場の後ろには製品を展示

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