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インテル、最高クロック2GHz/キャッシュ容量2MBの新“インテル Pentium M プロセッサ”3製品を発表

2004年05月10日 21時03分更新

文● 編集部 内田泰仁

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インテル(株)は10日、ノートパソコン向けCPU“インテル Pentium M プロセッサ”シリーズの最新モデルとして、『インテル Pentium M プロセッサ 755』(動作周波数2GHz)、『インテル Pentium M プロセッサ 745』(動作周波数1.80GHz)、『インテル Pentium M プロセッサ 735』(動作周波数1.70GHz)の3製品を発表した。今回発表された3製品は、同社CPUとしては初めて、製品名に動作クロック周波数ではなく“プロセッサ・ナンバ”と呼ばれるモデル番号を付記する形式を採用した製品となる。1000個受注時の価格は、Pentium M 755-2GHzが6万9930円、Pentium M 745-1.80GHzが4万6440円、Pentium M 735-1.70GHzが3万2280円。

『インテル Pentium M プロセッサ 755/745/735』

この日発表された“インテル Pentium M プロセッサ”シリーズの3製品は、“Dothan”というコードネームで開発されていた製品。同社としては初めて90nmプロセスルールで製造するCPU。従来の“インテル Pentium M プロセッサ”シリーズ(開発コードネーム“Banias”)の世代と比較して、

  • クロック周波数の向上(最高2GHz)
  • データ・プリフェッチャーおよびレジスター・アクセス・マネージャーといったアーキテクチャー面での強化
  • 電流をよりスムーズに流すことが可能となる“歪みシリコン”の採用によるトランジスター動作速度の向上
  • “Banias”の2倍となる2MBの省電力2次キャッシュメモリーの搭載

といった強化が図られている。これにより、Pentium M-1.70GHzからPentium M 735-1.70GHzでは約10%、Pentium M-1.70GHzからPentium M 755-2GHzでは約17%、モバイルPentium 4-M-2.60GHzからPentium M 755-2GHzでは約33%のパフォーマンス向上を果たしているという(ベンチマークテスト『Mobile Mark 2002』の“Performance”テストによる)。さらにその上で、搭載製品のバッテリー駆動時間は、“Banias”世代の“インテル Pentium M プロセッサ”シリーズと変わりのない時間を維持し、モバイルPentium 4-M-2.60GHzと比較した場合は各モデルとも約33%長いバッテリー駆動が可能だという。

新“インテル Pentium M プロセッサ”シリーズでの改良点“Dothan”世代のPentium Mと“Banias”世代のPentium M、モバイルPentium 4-M-2.60GHzのパフォーマンスおよびバッテリー駆動時間の比較

各モデルともに、FSBは400MHz、熱設計電力は21W、動作電圧は1.276~1.34V、パッケージはMicro FCPGAおよびMicro FCBGA。いずれも消費電力を最適化しノートパソコンのバッテリー駆動時間を延長する“拡張版Intel SpeedStepテクノロジ”を搭載し、バッテリー駆動時の動作クロックは600MHz。なお、従来の“インテル Pentium M プロセッサ”シリーズと同様に、“インテル 855 チップセット”シリーズおよび“インテル PRO/Wireless ネットワーク・コネクション”との同時搭載によるモバイル・プラットフォーム“インテル Centrino モバイル・テクノロジ”を構成するCPUとなる。

“Dothan”以降の製品で用いられる“プロセッサ・ナンバ”の命名ルール

今回発表された製品以降、同社ではCPUの製品名表記を、従来の“プロセッサー名+動作周波数”という表記から、“プロセッサー名+プロセッサ・ナンバ”という表記に変更する。“プロセッサ・ナンバ”は、Pentium Mシリーズは“7xx”、Pentium 4は“5xx”、CeleronおよびCeleron Mは“3xx”という表記になり(xxは任意の数字)、この“プロセッサ・ナンバ”は、採用するアーキテクチャーの種類、動作周波数、FSB、キャッシュ容量、搭載されるインテルのテクノロジーといった要素から決定されるという。なお同社は、この“プロセッサ・ナンバ”の採用は、機能の違いを消費者にわかりやすく案内するものだという。なお、この“プロセッサ・ナンバ”は、同一シリーズ内での性能・機能を比較/区別するもので、単純な性能の高速化の尺度ではなく、前述した要素をトータルした数値だとしている。

インテルの代表取締役共同社長、吉田和正氏“インテル Centrino モバイル・テクノロジ”の1年間の歩みを示すスライド。新プラットフォームの立ち上げとしては、同社市場最速になったという“インテル Centrino モバイル・テクノロジ”の1年間の歩みを示すスライドの後半。公衆無線LANスポットの検証プログラム、モバイル製品を持つ企業を対象としたキャピタルファンドの創設、パートナーと共同した家庭への無線LAN普及活動などが行なわれた

ノートパソコン市場の成長予測
この発表に合わせて開催された記者説明会は“モビリティ・デイ”と題され、“インテル Pentium M プロセッサ”シリーズの製品紹介のほか、“インテル Centrino モバイル・テクノロジ”のリリースから約1年の経過の説明が行なわれた。同社代表取締役共同社長の吉田和正氏は、“インテル Centrino モバイル・テクノロジ”の1年強の歩みを説明、全世界で150種類以上、国内で50種類以上の搭載製品がこれまでに登場し、生産数量としては過去最速の立ち上げを果たしたと述べた。また、この間に国内における企業向けノートパソコンの無線LAN搭載率は15%から30%に上昇し、ビジネス分野へのワイヤレス技術の浸透もアピールした。ノートパソコン市場成長については「拡大は今後も続く」という見通しを示し、2003年から2008年における年間平均成長率は、個人市場で16.7%、法人市場では15.0%と予想しており、今後のパソコン市場の成長はノートパソコンが牽引していくだろうとした。



マーケティング本部本部長のケヴィン・セラーズコクヨオフィスシステム(株)における“インテル Centrino モバイル・テクノロジ”搭載製品の導入による業務変革の実例を紹介するスライド。業務のモバイル化、公衆無線LANスポットの有効活用、レイアウト変更時のコストの大幅削減が図られたという

主に新“インテル Pentium M プロセッサ”シリーズの製品紹介を行なった同社マーケティング本部本部長のケヴィン・セラーズ(Kevin Sellers)氏は、製品紹介に加えて、“インテル Centrino モバイル・テクノロジ”全体の展開なども説明。個人ユーザーに対しては、エンターテインメントをより魅力的にする取り組みを展開し「新しい楽しさを提供」し、企業ユーザーに対しては「業務の変革と効率や生産性の向上」をもたらしていくとした。また、今後の日本国内でのプロモーション展開としては、同社ウェブサイト中のリニューアル、広告宣伝、販売店でのプロモーションに加え、同社が提唱する家庭向けコンピューティングの将来イメージである“デジタル・ホーム”の具体例のディスプレー、報道関係者向けのショーケース開催などを行なっていくとしている。

また、発表会場では、この日発表された新“インテル Pentium M プロセッサ”シリーズ搭載製品を含む、この夏のパソコンメーカー各社の“インテル Centrino モバイル・テクノロジ”の展示も行なわれた。

日本アイ・ビー・エム『ThinkPad T41』。Pentium M 745-1.80GHz搭載日本ヒューレット・パッカード『Business Notebook nx7010』。Pentium M 735-1.70GHz搭載富士通『FMV-LIFEBOOK 820NAL』。Pentium M 745-1.80GHz搭載
東芝『dynabook TX』。Pentium M 735-1.70GHz搭載東芝『dynabook Sateliite J30』。Pentium M 745-1.80GHz搭載ソニー『VGN-A60B』。ソニーの正式発表前だったため、発表会時点では詳細は非公開となっていたが、本機と同シリーズの最上位機種がPentium M 735-1.70GHzを搭載する

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