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日本TI、ハイエンドAV機器向けの8chデジタルアンプPWMプロセッサ『TAS5518』を発表

2004年10月12日 23時10分更新

文● 編集部 小西利明

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日本テキサス・インスツルメンツ(株)は12日、ハイエンドAV機器向けのデジタルアンプPWM(パルス幅変調)プロセッサー『TAS5518』を発表した。

   
『TAS5518』のチップ(左)とサンプルボード(右)

同社はデジタルオーディオ機器の入口から出口に至る各デバイスをデジタル化した製品を、AV機器メーカー向けに販売している。これらは入口となるアナログ/デジタルオーディオコンバーター、信号処理の中核となるオーディオDSP(Digital Signal Processor)“Aureus(オーリアス)”シリーズ、そして出口となる出力への信号変換を行なうデジタルアンプ回路などで構成される。オーディオ再生に必要な処理のほとんどの部分をデジタル化することで、アナログ回路につきものの音質の劣化を防いだ、高音質のオーディオシステムが構築できる。これを同社は“フルデジタル・オーディオ・ソリューション”と呼んでいる。
同社ではアンプ回路部分の製品を“PurePath Digital(ピュアパス・デジタル)アンプ”と称しており、今回発表された『TAS5518』は、デジタル化されたオーディオデータを処理する“DSP”と“PCM to PWM”を1チップに統合したプロセッサーである。ちなみに同社のPurePath Digitalアンプは、松下電機産業(株)のDVD/HDDレコーダーや、日立製作所(株)の液晶テレビなどにも採用されているという。

フルデジタル化されたオーディオ機器のブロックダイアグラム。『TAS5518』は中央にある“DSP”から“PCM to PWM”までの処理を行なう
フルデジタル化されたオーディオ機器のブロックダイアグラム。『TAS5518』は中央にある“DSP”から“PCM to PWM”までの処理を行なう

今回発表された『TAS5518』は、2004年2月に発表された『TAS5508』の強化版と言えるプロセッサーで、ハイエンドのホームシアターシステムやAVレシーバーをターゲットとした製品である。内部データバス48bitのDSPを内蔵し、対応周波数は32kHz~192kHz。32bit精度の8チャンネルPWMモジュレーターを備え、最大で8チャンネルまでのスピーカーチャンネルをサポートする。各スピーカーチャンネルごとに110dBという高いダイナミックレンジを実現している(TAS5508は11dB)。『TAS5518』でパルス幅変調され2値(1bit)に変換されたデータは、パワーステージと呼ばれるICを経由してスピーカーへと出力される。

『TAS5518』の特徴とブロックダイアグラム
『TAS5518』の特徴とブロックダイアグラム

『TAS5518』の特徴の1つが、“電源電圧可変ボリューム・コントロール機能”と呼ばれる同社独自の機能である。電源電圧を変更して出力音量をコントロールすることで、通常のデジタルボリュームで発生するデジタルデータのビット落ちを回避して、ノイズフロア(ノイズが現われる点)を24dBに低減している。

『TAS5518』はすでにAV機器メーカー数社にサンプル出荷が開始されている。価格は1000個ロット時単価で7.95ドル(約873円、64ピンTQFPパッケージ)。

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