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いよいよPentium 4も64bit時代に突入!――インテル、64bit拡張や拡張版SpeedStep対応の新Pentium 4を発表

2005年02月22日 23時24分更新

文● 編集部 小西利明

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先週末には早くも秋葉原のパーツショップに並んだPentium 4 6xxシリーズ 報道関係者向け説明会で披露された、Pentium 4 660を搭載するキューブ型パソコン。EISTによる低消費電力化により、高クロックのCPUを小型のキューブ筐体にも搭載可能になる
先週末には早くも秋葉原のパーツショップに並んだPentium 4 6xxシリーズ報道関係者向け説明会で披露された、Pentium 4 660を搭載するキューブ型パソコン。EISTによる低消費電力化により、高クロックのCPUを小型のキューブ筐体にも搭載可能になる

インテル(株)は22日、64bit拡張技術に対応した新しい600番台のプロセッサーナンバーのPentium 4プロセッサーと、Pentium 4プロセッサー エクストリーム・エディション(Pentium 4 EE)など計5製品を発表した。秋葉原のパーツショップなどでは、すでに先週末より販売が開始されており、いよいよPentium 4シリーズも本格的に64bit対応へと移行が進み始めた。発表されたCPUの製品名および主な仕様は以下のとおり。価格は1000個受注時の1個当たりの価格。

発表されたPentium 4新製品の一覧
製品名 クロック周波数 価格
HTテクノロジ インテルPentium 4プロセッサ エクストリーム・エディション-3.73GHz 3.73GHz 10万3900円
HTテクノロジ インテルPentium 4プロセッサ 660 3.60GHz 6万2920円
HTテクノロジ インテルPentium 4プロセッサ 650 3.40GHz 4万1700円
HTテクノロジ インテルPentium 4プロセッサ 640 3.20GHz 2万8390円
HTテクノロジ インテルPentium 4プロセッサ 630 3.00GHz 2万3300円

Pentium 4 6xxシリーズは、ビジネスおよびコンシューマー向けデスクトップパソコンの、ハイエンドからメインストリームまでをカバーする主要CPUに位置づけられている。従来のPentium 4 5xxシリーズと比べての進化点は以下のとおり。一方で同様の点は、800MHzシステムバスに対応し、パッケージはLGA775。90nmプロセスで製造され、トランジスター数は約1億6900万個にのぼる。対応チップセットはIntel 925X/XE Express、Intel 915G/GV/GL/P/PL Expressなど。Pentium 4 EE-3.73GHzが対応するチップセットは、Intel 925XE Expressのみ。これらのチップセットを使用するマザーボードならば、BIOSのアップデートによりPentium 4 6xxシリーズにも対応できる可能性がある。

64bit拡張技術 インテル エクステンデッド・メモリ64テクノロジ(EM64T)
IA-32プロセッサーの64bit拡張技術。IA-32用OSやアプリケーションとの互換性を保ちつつ、64bit OSやアプリケーションにも対応する。
2MBの2次キャッシュを内蔵
2次キャッシュメモリー容量が1MBから2MBへと倍増。
拡張版インテルSpeedStepテクノロジ(EIST)
ノートパソコン用CPUと同じ省電力技術を導入。省電力化と低発熱化を実現。
エグゼキュート・ディスエイブル・ビット(NXbit)対応
バッファーアンダーランエラーを利用するウイルスや不正アクセスプログラムの動作を防止する。
Pentium 4 6xxシリーズの仕様と機能 Pentium 4 EE-3.73GHzの仕様と特徴。EISTは搭載しない
Pentium 4 6xxシリーズの仕様と機能Pentium 4 EE-3.73GHzの仕様と特徴。EISTは搭載しない

Pentium 4 EE-3.73GHzはEISTを搭載しないが、システムバスが1066MHzと高速化されている。内蔵キャッシュ容量などはPentium 4 6xxシリーズと変わらない。またPentium 4 570Jは3.8GHzで動作するが、今回発表されたPentium 4では、最高クロック周波数は3.73GHzまでとなっている。

従来のPentium 4 550と、新しいPentium 4 650のベンチマークテストの比較。同じクロック周波数ながら、キャッシュ容量の倍増により若干のパフォーマンス向上を見せている
従来のPentium 4 550と、新しいPentium 4 650のベンチマークテストの比較。同じクロック周波数ながら、キャッシュ容量の倍増により若干のパフォーマンス向上を見せている

インテルCPUでの64bit拡張技術への対応は、サーバー&ワークステーション向けCPUであるXeonシリーズが先行しており、Pentium 4シリーズはごく限定的に出荷されているものしか存在しなかった。しかし今回のPentium 4 6xxシリーズの登場により、Pentium 4シリーズは一気に全ラインナップが64bit拡張技術に対応したことになる。現時点では64bit版のWindowsは、マイクロソフト(株)が早期評価プログラムとしてWindows XP Professionalなどを公開しているが、製品版の登場時期は未定。さらにアプリケーションの64bit化は今後の課題なので、ユーザーが64bit化の恩恵を受けるのにはしばらく時間がかかるだろう。しかし2006~2007年に登場予定の次世代Windows“Longhorn”では32bit版と64bit版が同時に提供される予定とされており、長期的に使うマシンのCPUとして選択するのも悪くない。

Pentium 4 6xxの省電力技術について説明するインテル チャネル事業本部シニアフィールドアプリケーションエンジニアの天野伸彦氏
Pentium 4 6xxの省電力技術について説明するインテル チャネル事業本部シニアフィールドアプリケーションエンジニアの天野伸彦氏

64bit拡張以上にユーザーにメリットを与えそうなのが、EISTへの対応であろう。Pentium 4 6xxシリーズの電力制御について、同社チャネル事業本部シニアフィールドアプリケーションエンジニアの天野伸彦氏は、従来のPentium 4(Prescott)が搭載していたクロック周波数の低減技術“C1E”と熱状況をモニターして、異常な温度に達すると電圧やクロック周波数を制御する“TM2(Thermal Monitor 2)”などの技術に加えて、CPUの負荷に応じてクロック周波数と電圧を随時変化させるEISTの、3つの技術がPentium 4 6xxシリーズに搭載されていると語った。クロック周波数はプロセッサーごとの最高クロック周波数、3.2GHz、2.8GHzの3段階に変化する。最高クロック周波数が3.2GHz以下のCPUの場合は、最高クロック周波数と2.8GHzの2段階のみとなる。報道関係者向けの説明会で披露されたデモでは、CPU負荷が低い状態では2.8GHz程度で動作していたCPUが、負荷がかかるとただちに3.6GHz程度までクロック周波数が上がり、負荷が減ると再び2.8GHzまで落ちるという動作を披露した。現在のPentium 4は100Wを超える高い消費電力と、すさまじい発熱が問題視されているが、EISTを搭載するPentium 4 6xxシリーズならば、平均消費電力は大幅に削減でき、発熱量も低くなると期待される。

披露されたEISTのデモの様子。CPU負荷が高い状態(写真上)では最高クロックで、低い状態(写真下)では最低の2.8GHzで動作しているのが分かる
披露されたEISTのデモの様子。CPU負荷が高い状態(写真上)では最高クロックで、低い状態(写真下)では最低の2.8GHzで動作しているのが分かる

ただしOSによる制御を行なう以上、OS側もEISTに対応することが必要となる。現時点ではPentium 4 6xxシリーズのEISTに対応するのは、Windows XPのService Pack 2のみとなっている(天野氏によれば、Linuxカーネル2.6.9以降も対応するとのこと)。これはWindows XP SP2にだけ、Pentium 4 6xxシリーズ用のプロセッサードライバーが含まれているためである。プロセッサードライバーは単体配布されていないので、必然的にWindows XP SP2でのみの対応となるわけだ。さらにコントロールパネルの“電源オプション”で、“電源設定”欄を“ポータブル/ラップトップ”に設定しておく必要もあるとのことだ。既存のシステムをPentium 4 6xxシリーズに交換してEISTを利用する場合は、電源オプションの設定も変更する必要があるだろう。

Pentium 4 6xxシリーズを搭載する製品は、常に最新仕様のCPUをいち早く採用するデル(株)やエプソンダイレクト(株)などの直販大手ベンダーから、(株)MCJや(株)KOUZIRO、プロサイド(株)など、以下の17社19ブランドが発表、あるいは発表を予定している。

  • 企業名:販売店名
  • アプライド(株)
  • アロシステムズ(株):パソコン工房、ツートップ、フェイス
  • (株)エイチ・アイ・ティー
  • (株)エディオン
  • エプソンダイレクト(株)
  • (株)MCJ
  • (株)グッドウィル
  • (株)KOUZIRO:ヤマダ電機
  • (株)サードウェーブ:ドスパラ
  • (有)サイコム
  • (株)ストームシステムテクノロジー
  • (株)ZOA
  • 九十九電機(株)
  • デル(株)
  • (株)パルテック
  • プロサイド(株)
  • ロジテック(株)

存在意義の希薄なエクストリーム・エディション
2005年後半にはデュアルコアも登場

Pentium 4が5xxから6xxに進化し、内蔵2次キャッシュメモリーが2MBへと増量されたことで、存在意義が希薄になってしまったのがPentium 4 EEだ。従来のPentium 4 EEは、Pentium 4ではなくXeonベースのCPUコアを使用しており、512KBの2次キャッシュに加えて、2MBの3次キャッシュメモリーを搭載していた。しかし今回のPentium 4 EE-3.73GHzはPentium 4 6xxと同じコア(Prescott 2M)を使用しているため、性能面での優位性はシステムバスのクロック周波数の差しかない。そのうえEISTにも対応しない。市場価格で10万円を超えるCPUでありながら性能面の優位性がごくわずかとなると、もはや存在意義すら疑問に感じられてしまう。

また今年後半には、デュアルコア版のCPUが、ハイエンド~メインストリームセグメントへと投入される予定もある。デュアルコアCPUは、クロック周波数はPentium 4 6xxほど高くないと予想されているが、同社は今年後半のコンシューマー市場に対しては、デュアルコアCPUを推進していく予定という。デスクトップパソコンにも64bit拡張技術を普及させるPentium 4 6xxシリーズではあるが、その前途は多難なものとなりそうだ。

今年前半と後半の、コンシューマー市場向けCPUのロードマップ。後半のハイエンド~メインストリームセグメントには、Pentium 4 6xxの名はない
今年前半と後半の、コンシューマー市場向けCPUのロードマップ。後半のハイエンド~メインストリームセグメントには、Pentium 4 6xxの名はない

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