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フィリップス、携帯音楽機器用の統合LSIを発表──HDD型プレーヤーで連続45時間のMP3再生が可能に

2005年05月23日 19時44分更新

文● 編集部 小林久

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(株)フィリップス エレクトロニクス ジャパンは23日、携帯音楽プレーヤー用の統合型LSI“Nexperia”(ネクスペリア)シリーズのミッドレンジ製品となる『PNX0106』を発表した。すでにサンプル出荷を開始しており、10月には量産体制に入る。1万個出荷時の参考価格は12ドル(約1300円)。

『PNX0106』は、12mm角の小さなチップながら、DSPやARM9相当のCPUなど携帯型音楽プレーヤーの主要機能を1チップに収めている

PNX0106は、ハードディスク内蔵型の携帯音楽プレーヤーに必要な基本機能を1チップで提供するもので、MP3やWMAのデコード処理に必要なDSP(Digital Signal Processor)やARM9ベースの組み込みCPU、各種周辺デバイスやコントローラー類を幅12×奥行き12×高さ1mmのコンパクトなサイズにまとめている。同社はすでに、フラッシュメモリー型プレーヤー向けの『PNX0102』を発表しているが、今回の製品は静止画や動画なども扱えるより高機能なチップと鳴っている。さらに同社は、ビデオの視聴を中心とした高機能なデバイス向けの製品『PNX0190』の出荷も予定しているという。

ハードウェアメーカーは、このPNX0106にHDDや液晶パネルなど、いくつかの部品を追加するだけで、音楽プレーヤーを作成することができ、機器の開発が容易になるほか、従来別チップで提供されていた各種機能が統合することで消費電力も少なくなる。フィリップスの説明では、MP3デコード時の消費電力は平均60mW。800mAhのバッテリーを使用した場合には、45時間の連続再生が可能だという(液晶パネルなどの消費電力は除く)。



PNX0106のブロック図

PNX0106に搭載されているデバイスは、Javaコードの実行にも対応した組み込み型CPUのARM926 EJ-S-132MHz、100MHz駆動の24bitオーディオDSP、ステレオ対応のADC(Analogue Digital Converter)とDAC(Digital Analogue Converter)、SDメモリーカード/MMCやSDRAM用のコントローラ、HDDやCF用のIDEコントローラー、2系統(カラー/モノクロ)のLCDインターフェース、USB 2.0(High Speed)に対応したUSBコントローラーなどとなる。

DSPはプログラマブルとなっており、標準で対応するMP3、AAC、WMA以外の形式にもソフトウェアの追加で対応できる(WMAを使用する際には、別途米マイクロソフト社からライセンスを受ける必要がある)。

また、オーディオ機能をBluetooth機器に直結するための“IOM-2”インターフェースやフィリップスの汎用音声バスである“I2S”(The Inter-IC Sound Bus)の入出力を1系統ずつ備える。また、無線LANやソニー(株)とフィリップスが共同で進めている短距離の無線規格“NFC”(Near Field Communication)、との接続も容易に行なえるようにしていくという。



『PNX0106』の評価キットを紹介するフィリップス エレクトロニクス ジャパン 半導体事業部 ポータブル コンシューマ システムマーケティング マネージャの紺野 祐喜(こんの ゆうき)氏。すでに一部のハードウェアメーカーには配布しているという表示部分やインターフェース部分は取り外して交換できるようにして、テストをしやすくしたという。発表会ではCPUでデコードしたMPEG-4動画を再生するデモも行なわれた

PNX0106の生産は台湾TSMCが行ない。プロセスルールは当初は0.13μm。将来的には90nmに移行していく予定。

フィリップス エレクトロニクス ジャパン半導体事業部 事業部長のスコット・マークォート(J.Scott Marquardt)氏。「半導体業界で競合がないのはありえない」としつつも、新規参入メーカーも容易にハードの開発ができること、従来から参入している企業はより低コストな製品開発が可能になる点、“ATRAC3”を始めとしたさまざまなコーデックにも対応できる点などを挙げながら、競争力が強い製品であることを強調した

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