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ATRとHonda、脳でロボットを操作する基礎技術を開発

2006年05月24日 18時36分更新

文● 編集部

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(株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)と(株)ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン(HRI)は24日、脳活動でロボットを操作する基礎技術を開発し、新しいインターフェース“ブレイン・マシン・インターフェイス”(BMI)を開発したと発表した。

写真1 写真2 写真3
(1)脳活動をMRI装置で撮像(じゃんけんのチョキの動作)(2)画像データをコンピューター解析している様子。脳の活動部位抽出(左)と抽出された脳活動パターン(右上)、動作の判定処理(右下)(3)ロボットハンドで再現
脳活動の計測からロボットハンドでの再現まで(1)~(3)

新たに開発したBMIは、これまでのBMI技術と異なり、脳に電極を埋め込んだり、特殊な訓練を行なったりせずに、自然な脳活動を解読して、リアルタイムに近い速度でロボットを動かせるのが特徴。ATR脳情報研究所の神谷之康(かみたに ゆきやす)研究員が、2005年5月に科学誌“ネイチャー・ニューロサイエンス”に発表した論文“ヒトの脳における視覚的・主観的内容のデコーディング[復号化]”(Decoding the visual and subjective contents of the human brain)の方法に基づいて開発したという。

両社が実施した実験は、“じゃんけん”の動作をロボットハンドで再現するというもの。脳活動の計測に、血流変化を計測するMRI装置を使用したため、人の動作から約7秒の時間差が生じるが、85%の正答率が得られたという。じゃんけん動作を行なっているときの脳活動そのものからグー/チョキ/パーの動作を判別することで、特殊な訓練が不要になったのが特徴。脳を外部から計測する方法にはほかに、脳磁場や脳波などが考えられるとしており、これらの計測法を利用すれば、時間差の大幅な短縮やBMIシステムの小型化に期待できるとしている。

なお、実験装置のリアルタイム化では、ロボットハンドによる動作の再現に関しては科学技術振興機構 国際共同研究計算脳プロジェクト(JST-ICORP)の装置を使用し、MRI装置関連ではATR脳活動イメージングセンタ(BAIC)が協力したという。

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