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ゲームソフト大手5社、中古販売店を提訴

1998年06月12日 00時00分更新

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 ソニー・コンピュータエンタテインメント、カプコン、コナミ、スクウェア、ナムコのゲームソフト大手5社は、中古ゲームの販売会社、(株)ドゥー!(神奈川県相模原市)を12日、東京地裁に提訴した。ドゥー!は、関東地方を中心に全国60店舗以上を展開する中古販売大手である。



 中古ゲームソフトを無断で販売するのは、“映画の著作物”の頒布権を侵すものだと主張した。大手5社の代表作品計5種のゲームソフトの販売差し止めと廃棄を求めている。また、損害賠償の請求も準備している。

 中古ゲームソフトの販売を巡っては、ゲームソフトハウスの団体であるコンピュータエンターテインメントソフトウェア協会(CESA)やコンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)と、販売店の団体であるテレビゲームソフトウェア流通協会(ARTS)やジャパンテレビゲームチェーン協会(JAG)とが、対立を続けてきた。

 CESAやACCSは、ゲームソフトの著作権侵害訴訟において、ゲームソフトを映画の著作物として裁いた判例が多いことからゲームは映画の著作物だとし、そうすると、映画の著作物について著作権法に明記されている頒布権(新品や中古品の売買や無償譲渡を著作権者が制御できるという権利)が守られることになるから、中古販売のソフトは違法だとしている。

 一方ARTSなどは、映画の著作物の頒布権は、映画館から映画館へフィルムを受け渡ししていくときに映画会社の意図に反したルートになることがならないよう制御する、配給制度に限って法定化されたものだとしている。

 映画に限らない、すべての著作物に関して頒布権を確立すべきだという方向は、96年12月に成立したWIPO(世界知的所有権機構)の著作権条約で打ち出されており、世界の趨勢であるとはいえる。しかし現在のところ日本の著作権法は、映画の著作物にしか頒布権を認めていない。日本の裁判所は日本の国内法に基づいて審理を進めるから、WIPOの著作権条約に引きずられることは原則としてない。

 映画の頒布権が映画の配給制度に大きく影響されて制定されたという背景を重視するのか、頒布権が、大規模な先行投資がつきものとなっている映画やゲームの利益逸失を防ぐ歯止めになるという頒布権の根本精神を重視するのか、裁判所の判断が注目される。

 ACCSは、今後関西でも訴訟を起こすという。また、セガ・エンタープライゼスが訴訟に参加する方向で準備している。 (報道局 中野潔)

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