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'99新春スペシャル・トーク元麻布春男X塩田紳二 「そう思わん?」Part2

1999年01月05日 00時00分更新

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語る人:元麻布春男、塩田紳二
司会・進行:ASCII24デスク鹿毛正之、甘粕英
企画・構成:河村康文

(Part1からのつづき)

●Apple Computerは吉野家か

塩田(以下、塩) 結局、画面中の位置でしか、複数あるアプリケーションを区別できないじゃん。だから、たとえば音声認識だと、どのウインドーに対する命令なのかということを直接指定できないから、カレントウインドーに対する命令にしかならない。そうなるとGUIを持ち込んで、ここにあるこのメニューをみたいなことをせざるを得ないんだよね。

元麻布(以下、元) 面倒だよね。

 なんか、おれがワープロだと思えばワープロの画面がアクティブになるみたいなのがほしい。

鹿毛(以下、鹿) GUIといえばMacintoshですが、便利かもしれないけど、OSがバージョンアップしても同じで、それがかえって足かせになっているという面もありますね。

 まあ、あれはそれがポリシーなんだろうね。

甘粕(以下、甘) バージョンが上がってもインターフェースは同じだというのが売りものなんでしょ。

 ここまでくるとね、この人まだこの芸やってるみたいな、ほら正月になるとテレビに出てくるチャンバラトリオみたいな(笑)、あれを思い出す。

 牛丼一筋80年。

 あそこまで変えないのは立派だって思うけど。

 最近はMacのほうがなんだかWindowsくさくなったりしてる。デスクトップのアイコンの下にエイリアスの表記が出たりとか。

 でもMacがマイナーだから知られてなかっただけで、Windowsのほうが真似したということはいっぱいあるけどね。でも、ああいうふうにGUIになったら、みんな一緒で、枠のデザインがちょっと違うだけみたいな。

 差のつけようがない。

●“自動化”ということについて

鹿 自動車だったらオートマもあればマニュアルもあって選べるけれども、コンピューターの場合はそうもいきませんね。

 自動車だって完全自動にはできないでしょ。ギアチェンジを自動にしてるだけで。自動的にハンドルを切ってくれるわけじゃない。行き先をセットすれば自動的にそこまで連れていってくれるなら本当の自動だけど。

 トヨタのセルシオとかで、前のクルマを自動追尾して適当にブレーキをかけて車間距離を常に一定に保つというのがあるそうですが。

 でも国によって道路事情がまるで違うから、一見走りやすそうなアメリカとかのほうがかえってカーナビが必要なのかも。一つ間違うと砂漠でガソリンなくなって死ぬことになるかもしれないし。

鹿 アメリカって知らない街に行ったときに地図がないとえらい不便です。ロスとか、あんな巨大な街なのに、通り1本の名前でしか位置を特定できない。だからこそカーナビがあると便利だと思いますよ。

 そう言えばアトランタでさ、“ピーチツリードライブ”とかピーチなんとかという通りがやたらいっぱいあって、また桃かよコイツっていう(笑)。

 ダッシュボードにTVモニターを付けてはいけないという州がいっぱいあるから、カーナビも矢印しか出せないんだよね。クラリオンの『AutoPC』もそう。

 でも携帯電話で事故が増えてるというなら、カーナビに気を取られて事故というのもきっとあるよ。

 カーナビの液晶画面を見てたらぶつかったっていうのけっこうあるらしいよ。

 ジャンクションの3D表示とか思わず感心してじーっと見ちゃって、バーンって……。

 女房が運転するとき、危ないからカーナビ使わせないもん。横でぼくが一人でカーナビで遊んでる(笑)。

●“ウェアラブルコンピューター”の本当の使い道

 カーナビで事故とかいう話があるのに、“ウェアラブルコンピューター”なんて、あんなもん付けて道歩いてたらクルマに轢かれるよね。

 あれさ、飛行機の整備工とか、そういうバーティカルな世界ならありだろうけどね。

 でも飛行機の整備とかでウェアラブルコンピューターなんていうのは、もう10年くらい前から言ってることなんだよね。

 昔からあるよね、背中に背負うやつ。小さくはないけど、一応昔からある。

 CD-ROMが出てきたときに、整備マニュアルをCDに入れて、腰に付けて仕事するんだっていう話があった。だけど、市場が小さい。世の中に飛行場がそんなにいっぱいあるわけじゃないし。しかも、ああいうものが有効になるのはジャンボとかさ、少なくともジェット旅客機クラスの大きさのものでないと……。

 セスナじゃペイしないもん。

鹿 ぼくはけっこうウェアラブルっておもしろいと思うんですよ。コンピュータって汎用性を求めてるけど、単機能で何かするっていうことに興味を覚えます。

 で、何する? 少なくとも視界を覆われるということはさ、その瞬間からパブリックスペースには出られないよ。室内で使うソニーの『グラストロン』、あれだって快適じゃないもん。

鹿 FedExではドライバーの腕に端末を付けて、単機能でやってますが……。

 トラッキング? だからバーティカルだよ。

 たとえば電子メールとかをウェアラブルコンピューターでハンドリングする必要ないじゃんっていう気がする。

 アイ・コンタクト・ディスプレーを付けて、『ユニバーサル・ソルジャー』のジャン=クロード・ヴァン・ダムみたいな格好してさ……。

 それで電車に乗ってたら笑っちゃうよね。でも、すごくちっちゃくてシャツのポケットに入るぐらいのマシンで、そこからイヤフォンが出ててメールを読み上げてくれるみたいなのならありかもしれない。今言われてるウェアラブルコンピューターって大きすぎない? それにわざとらしいサイバーな雰囲気がありすぎてさ。

 最終的にはウェアラブルの使い道ってさ、“軍事”じゃないの? 軍事目的なら使い道あるよ。

 兵士全員に持たせて部品のように使うみたいな。「2時の方向へ向かって撃て!」とか「今撃て!」みたいな。

 “命中ウィザード”とかあったりして。

 “爆発物処理ウィザード”とかさ。すでに軍事車両にはデータリンクするコンピューターが積まれてるんでしょ。

 全部積んでる。

 そのうち兵隊全員に持たせてGPSで常にどこにいるかモニターできてみたいなね。司令部ではディスプレーに点で表示される兵隊をマウスで操作して作戦行動を指示するとか。あるいは、DOOMとか『Quake II』みたいなインターフェースになってたりして(笑)。

 実際、今度のイラク空爆=“砂漠のキツネ”作戦でも、New York Timesの記事とか見ると、軍の司令部にそれに近い感じのディスプレーが置かれている写真とか載ってるよね。

●全部を腕時計に入れたい

 ウェアラブルといっても、ウォークマンとか腕時計ぐらいのイメージなんじゃないの。あれ以上おおげさになるとちょっと。

 SIIの『ラピュータ』だって大きいよ。

 だから普通の腕時計サイズね。

 昔のさ、セイコーのBASICの動いた時計ってもっと小さかったよね。ラピュータみたいに大きくなかったよ。

 それウチにあります(笑)。たぶん例のTimexの『Data Link』と同じぐらい。四角くて。結局メモにしかなってないけどね、プログラムを一応ダウンロードできるんだけど。ラピュータみたいに開発環境をオープンにしてなかったので、すぐすたれた。でもあれ中古市場で異様に高いんだってね。ワンセット10万円以上するって。セイコーとしては製造した数がすごく少ないんだって。

 当時の値段で今売ってたら買うかも。

 大学を卒業したくて買ったんだ。当時は腕時計までチェックされないからさ、一生懸命数式を入れてさ、今何時かなみたいなふりをして見てさ、実は熱力学の公式がいっぱい入ってるっていう(笑)。ウェアラブルコンピューターだよ。違うか、単なるメモだな。でも、たとえば1MBぐらいのメモリーが入ってて、メールが読めるんなら1万円ぐらいなら買ってもいいかな。

 あの種のデバイスはディスプレーが小さいんだよね。

 メール専用端末が腕時計サイズになればいい。

 マシンが小さくなると表示デバイスも小さくなるから、それをどうするかだね。

 でも“何時にどこ”みたいな、ディスプレーが小さくても済むメールもあるから。

 腕時計サイズのメール端末にMIMEでJPEGの画像を張り付けたメールが来たら困るよ。

 昔あった腕時計テレビみたいにさ、ここにJPEG画像が出るっていう。

 WCDMAの携帯電話とかでさ、反射式カラー液晶とか付いてたら……

 ウルトラセブンのビデオシーバーになっちゃう。

 JPEGならまだいいよ。PDFファイルとかWordのファイルとか添付されてたら……。

 原稿ができたので送りますとか。ちっちゃい字で延々とスクロールするの。困っちゃう。

 腕時計コンにプロジェクターが内蔵されてて、近くの壁に投射して読むというのはどうですかね。

●Word 97の“宛名ラベル”作成機能のスゴさ

 どこやらから来た発表会のご案内メールがExcelのファイルだったことがあった。

鹿 そういう場合、自分が使っているExcelのバージョンが古くて、開けなかったことがありますよ。

 よくある。Office 95からOffice 97にバージョンアップしたのは、よそからアタッチされて来るExcelやWordのファイルがオープンできないから。95で何も困ってなかったのに。

 でも後からコンバーターだかフィルターだか出たでしょ。というか、だいたいビュアーが出るのが日本は異様に遅いんだよね。

 アメリカだと同時に出るけど、日本は忘れた頃に出る。

 あれはひどいよね。

 Wordが95から97になって、うちの奥さんは喜んだ。Word 97でタックシール印刷のサポートがものすごく強化されたから。

 うち、あれで名刺を印刷してますよ。

 パディントンのシートでさ、名前のシールが作れるって。

 Wordの場合、タックシールは今もう製品名で選べるんだよね。それで選ぶともう印刷設定が完了してて、すごく楽なんだけれども、ものすごい特殊な状態になってるんだよね。表かなんかを作ると、その特殊なルーチンが動いてガーっと印刷するという。Wordの何の機能を使ってるのやら分からないみたいな、追加機能みたいになってるのね。でもそれさ、Word本体の機能はほとんど使ってないまるっきりの拡張機能みたいなやつなんだよね。

鹿 名刺作成ソフトとして別パッケージにして売ってもいいような。

 タックシールソフトみたいなものが無理矢理くっつけられているような状態なんだよね。はがきの宛名印刷機能ウィザードもそういうふうになってて、製品としては1個なんだけど、無理矢理接着剤でくっつけたみたいな。

鹿 Wordがどんどん機能拡張しちゃうと、『はがきスタジオ』とか要らなくなっちゃう。

 普通の人はWordにそういう機能があることを知らないからさ(笑)。機能が増えるとさ……。

 呼び出しにくいんだよ。

●アメリカ人はDVDをドルビーの5.1チャンネルとセットで買う

 いわゆるマルチメディアの話しましょうか。DVDとか。

 うちのレーザーディスクプレーヤーって古いのでワイヤード・リモコンなんだけど(笑)、レーザーの出力が弱くなってきてノイズが目立つようになってきたのでLD/DVDコンパチプレーヤーを買おうかとか思ってるんだけど。

 いや、10万円クラスのLDプレーヤーと普及クラスのDVDプレーヤーにしたほうがいいよ。マルチディスクプレーヤーはサーボ系のトラブルが多いよ。

鹿 アメリカではDVDソフトのタイトルってすごいたくさん出てますよね。

 もう2000タイトルいってるね。

 '98年のクリスマスでDVDがブレークするって……。

 もうブレークしてるらしいよ。シリコンバレーに住んでる友達とかに聞くと、みんなドルビーAC-3の5.1チャンネルのサラウンド付きのDVDプレーヤーがほしいって言ってる(http://www.dolby.com/)。5.1チャンネル付きでないとダメだって言うわけ。DVDプレーヤー、ドルビーデジタルプロセッサー、アンプ込みで1000ドル、それでドルビーデジタルプロセッサーをDVDプレーヤー側に持つか、それともアンプ側に持ったほうがいいかというのが今の話題の焦点。

 あれはどうなの? おカネ払って見るやつ。

 『DIVX』? あんまりパっとしなかったみたい。まだタイトルが少ない。最初はFoxとかがDIVXしかやらないとか言ってたのが、結局普通のDVDソフトもやることになちゃったからさ。(※DVDの一種だが、専用プレーヤーと専用ソフトの組み合わせからなり、ユーザーがコンテンツ単位でプレイヤー内蔵のモデムを経由して支払いと同時に暗号鍵を受け取って視聴するシステム。ソフトは4ドル程度で、返却の必要のないレンタルビデオとも言える。)

 DIVXって、システム的にはすごくスマートでいいと思うけどな。

 いいと思うよ。返さなくてもいいレンタルビデオ。

 そういえばうちの近所のレンタルビデオ屋でDVDのレンタル始まったな。プレーヤーも貸してくれるんだよね。

 そう、東芝製のプレーヤーね。うちはさ、リージョンコード“2”(日本)はソニーのDVDプレーヤーで、リージョンコード“1”(北米)はPCで見てたわけ。今度アメリカ行ったときにDVDプレーヤー買ってこようなかって思ってる。もしかしたら、うちはリージョンコード“1”のソフトのほうが多いかもしれない。『アルマゲドン』だってアメリカで1月5日発売だよ。

 DVDを見た後でLDを見ると、色のダイナミックレンジとかが明らかに狭くておもしろくないんだよ。

 LDってさ、普通のテレビ放送ぐらいの感じでしょ。

 ビデオよりはいいけどね。エッジ部分がきれいとかさ。でもDVDには負ける。

 あとはLDでカバーしてたソフトの部分がどれぐらいで移行するかだね。

 でもそれはLPからCDへというのと同じことでね。

鹿 レンタルビデオ屋がレンタルDVD屋に……。

 なるかもね。

 あと、DVDソフトの価格がもう少し安くなればね。アメリカだと17ドルだからな。

 だからうちはリージョンコード“1”のが多いんだよ。'99年は5.1サラウンドかな。

 なんでアメリカ人は5.1サラウンドにこだわるの?

 やっぱり住宅環境が日本とは違うからだと思う。

 リアスピーカーが置ける広い部屋があるわけだ。

 うちも子供がいなければ置くけどな。

●ああ勘違い!“リビングルームPC”

 アメリカでDVDビデオプレーヤーはブレークしてるんだけど、HDTVはブレークしてないですよ(笑)。

 地上波デジタルTV放送ね。

 そう、まったく兆しもない。

 なんか静かに始まったというニュースを聞いただけで。

鹿 10年後にはアナログ放送はなくなるそうですが。

 しかしパソコンでテレビを見るというスタイルが定着するとは思えないな。

鹿 松下とかはデジタルTVデコーディングカードを出してますけど。

 だってさ、どう考えてもパソコンとテレビじゃ置かれてる場所が違うでしょ。

 ディスプレーとの距離が違う。

 家庭環境を考えてないパソコン関連製品って多いよね。ISDNのターミナルアダプターとかさ、留守番電話になるとかいうけど、パソコンのある部屋に留守番電話を置かれても困るんだよね。しかも、かかってきちゃうとパソコンにつながったマイクとスピーカーで会話するしかないようなソフトだと、そんなの子供にかかってきた電話とかの場合どうしろっていうの(笑)。独身者が独りで住んでいる家では使えてもさ、一般家庭には絶対入り込めないなっていう感じがする。

 ぼくらみたいに1日10時間以上パソコンのディスプレーに向かっているような人間はさ、ここでDVDビデオが映って1日中映画見てたらいいなとか思うけどさ……。

 Microsoftの人とかもうそういう生活してるじゃん、だからここにテレビの画面が出るといいとか思うんだろうけど、そうじゃない人は普通のテレビを見てるわけで、パソコンでテレビなんて思いもしないんじゃないかな。

 “リビングルームPC”をやろうとして困ったのは、結局テレビにパソコンの画面は出せないのよ。出したら目が痛いのよ。

 うちも出してない。17インチディスプレーを別に置いてる。

 セガの『Dreamcast』がなぜエラいか。320×200ドットで使えるGUIを作ってるから。Windowsは最低640×480ドットの解像度がないと使えないわけ。ATIの『Rage Theater』が800×600でパリっとテレビに出ないかとか思って、まだ諦めてないんだけどね。東芝の『Vision Connect』とかもパっとしないけど、結局WindowsではリビングルームPCは無理だということね。

 ゲーム機の場合、テレビの画面でちゃんとオペレーションできるようになってるでしょ。アイコンなんかも大きめになってるしさ。たまにデザインに失敗して何のアイコンだか分からないのがあるんだよね。スーパーファミコンの『聖剣伝説』だったかな、円形にアイコンが並んでて、それをグルグルっと回すんだけど、ものすごく分かりにくいアイコンが中にあって、これは失敗だと思ったな。

 『PC 99 System Design Guide』とか読むと、PCのビデオ再生機能はテレビより優れたものでなければならないとか、勇ましいことがいっぱい書いてあるわけ。ところが実際に使ってみると箸にも棒にもかからないわけ。

鹿 『WebTV Plus』みたいなものはどうでしょうね。

 インターネットにつながるNonPCデバイスと呼ばれるものが'99年はいろいろ出ると言われてますが。

 NonPCインターネットデバイスというのはいっぱいあっていいと思うよ。この前ニュースで見たんだけど、シカゴかどこかで何歳以上かのお年寄りにWebTVを配ったんだって。すごく評判が良かったんだって。みんな一度はパソコンをやろうとして難しくてダメだった人が多くて、WebTVなら使えたと。それが一点目、ニ点目は自分が生まれた街の新聞が読めるということなんだって。生まれた街で今何が起こってるか新聞記事で読める、これがとにかくいいと。

 それは、WebTVネットワークスの古川会長じゃないけど、世の中体力の有り余ってる若いやつばかりじゃないわけで、お年寄りの立場に立って考えればさ、そういうデバイスだってありでしょう。

●『ゼルダの伝説』はWindows 98より手間暇がかかっている

 あと何ですか、ゲームとかですか。うちでの奥さんが隣で『ゼルダの伝説 時のオカリナ』をプレイしてるのを見てると、見てるだけでおもしろいんだなこれが。

 うちの奥さんも同じことを言うよ。

 うちもあれがやりたくてNintendo64を買ったよ。あれってさ、ムービーシーンに入ると画面の上下が切れるんだよね。

 あれでプレイヤーに識別させてるんだよ。

 その瞬間、イベントに入ったなというのが分かる。

 シナリオいい、演出いい、キャラクタいい、グラフィックスいい、BGMいい、効果音いい、操作性いい、つまり全部いい。

 だけどね、「ソリッド・ステート・サバイバー」の原稿にも書いたけど、今のPCで技術的、ハードウェアパフォーマンス的には、ゼルダ作れるんだよ。Pentium II-450MHzとRIVA TNTがあればできるわけ。でも、ああいうゲームソフトを書いてくれるソフトメーカーがない。ゼルダはたぶん開発に3年から4年かかってるけど、3~4年先のハードウェアパフォーマンスを予測してゲームを開発できるだけの体力のあるメーカーがもうPC業界にはない。Microproseハズブロに買われたでしょ、Sierraもどこかに買われた。壊滅状態でさ、そう考えるとゲーム機業界には勝てないよね。

鹿 ゲームは日本のお家芸のはずですが。

 ゼルダも実はQuake IIとか『Unreal』とかの影響はあるんだけどね。でもそれをうまくアレンジしたというか、もっとおもしろく作り込んだというか。

 最初のゼルダからの遺産みたいなものが案外大きいと思う。DOOMみたいな3Dのシステム使ったゲームはいっぱいあるけども、最後はおもしろいかどうかというところに行き着いちゃうからね。

 だからさ、Quake IIエンジンのライセンス、あるいはUnrealエンジンのライセンスで作ったゲームっていっぱい出たわけじゃん。『Shogo』もそうだし、『Sin』もそうだし、はっきりいってみんなおもしろくない。『HALF-LIFE』だけは許せるけど、ゼルダとは比べものにならない。ゼルダが何がエラいかといって、1stパーソンじゃなくて、キャラクターがちゃんといることね。

 キャラの動きとかボイスがまた細かいんだ。

 ハートが1個になると「ハァハァ」言ったりするんだよね。

 技術的にはPCでもできるんだよ。でも技術の問題じゃなくて、おカネとか会社の体力の問題。

 Nintendo64登場時にもうゼルダってアナウンスされてて、製品が出るまでここまで時間がかかってるわけでしょ。

 その間ずっと作り込みだもんね。

 それに比べてWindows 98なんて2、3年しかかけてないんだよ。

(Part2終わり、Part3は1月6日に掲載予定。お楽しみに!)

元麻布春男氏プロフィール
 “DOS/V”登場以前からIBM PCクローンを個人輸入。Intelアーキテクチャーをはじめデジタルシーンにもっとも詳しい日本人アナリストのひとり。航空機にも造詣が深く、フライトシミュレーターのヘビープレイヤーでもある。

塩田紳二氏プロフィール
 某“家電の巨人”メーカーでパソコンの開発に携わった後、フリーライターとして独立。ハード、ソフト両面での知識と経験と人間漫才のような企画力で雑誌、単行本、Web Zineで活躍中。

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