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'99新春スペシャル・トーク元麻布春男X塩田紳二 「そう思わん?」Part3

1999年01月06日 00時00分更新

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語る人:元麻布春男、塩田紳二
司会・進行:ASCII24デスク鹿毛正之、甘粕英
企画・構成:河村康文

(Part2からのつづき)

●『やるドラ』が示唆するもの

甘粕(以下、甘) 『ゼルダの伝説 時のオカリナ』って、週刊ファミ通のクロレビ史上初の40点満点になったんだって?

元麻布(以下、元) そう。ちなみに私まだ井戸の底。“水の神殿”

塩田(以下、塩) うちはまだようやく大人になったばっかり。

 “炎の神殿”あたりにいるな。

 いやいや“森の神殿”。

 あれを見て、もしかしたらプレイステーションって、ある時突然売れなくなるかもしれないっていう気がした。

 でも64って、任天堂だけっていう感じもする。

 それでもいいのかも。

 ゼルダクラスのゲームを年に2本出してくれたら何も文句はない。

 プレステのゲームって、『なんとか2』とか『3』とかばっかりでおもしろくないじゃんてみんなが思い始めたら……。

 ゼルダが40点満点なのは分かるけど、読者が選ぶゲームで、累計で1位が『ファイナルファンタジーVII』で2位が『サクラ大戦』というのは理解できないわけ。ぼく両方とも最後までプレイしたよ。おもしろくないもん。ビジュアルはきれいだよ、でもゲームとしておもしろくないわけ。

 プレステ・プラットフォームかどうかみたいなことがあるんじゃない?

鹿毛(以下、鹿) サクラ大戦は基本的にセガ・サターンでしたけど。コアな人気に支えられていましたよね。

 戦闘シーンも1回目はいいよ。2回目からもういいよ。イヤになるんだもん。

 何回もやらないでくれみたいな。

 ゼルダは少なくともボスキャラごとに特徴が違うしさ、手に入れたアイテムを使うと倒せるようになってるからさ、マンネリ化することを避ける工夫がある。FFVIIにしてもサクラ大戦にしても、同じことの繰り返しなんだもん。

 FFっていわゆるCGムービーの方向へ行き過ぎみたいな気がする。

 スクウェアは今度映画を作るそうだけど、それは正解だと思う。

 動画がいいなら映画を作れよって感じ。

 動画があるのはいいけどさ、楽しいんだけどさ、バランスとか考えるとさ……。

 自分で何かをやる楽しみというのがないからさ。でも逆に『やるドラ』シリーズが売れてるというのを聞くと、ほとんどの人はそれを求めていないのかなと。ボタンを押して先へ進めばいいのかと。

 とりあえず絵だけ見たいみたいなさ、きれいな絵だけ見たいと。

 やるドラ見てるとそう思うよね。

 あれもゲーム機を使った別のジャンルのものと思えばいいのじゃないか。でも達成感みたいなものがないじゃない。解いたー! みたいな、やっつけたー! みたいな。

●『Wing Commander』の悪い影響(?)

 スクウェアがヘンな方向へ行ったのはさ、Originの『Wing Commander』のせいかもね。

 悪い影響を与えたと?

 そう。ムービーとムービーの間を“作業”がつなぐと(笑)。そこがLucas Artsの『X-Wing』と違うところで、X-Wingは解いた! という達成感があったわけでね。

 Wing Commanderね、あの頃まではPCゲームやったな。

 最後にやったPCゲームは『F-16』かな。

 ぼくは最近HALF-LIFEをやってて、練習場とか行くと、動きとかけっこう細かいけれど、ゼルダをやってからご無沙汰。

 昔考えてたような、高解像度でテクスチャーもきれいで動きもスムーズなフライトシミュレーターとか、そういうのがもう現実にできちゃった。

 そういう意味ではMicrosoftの『Combat Flight Simurator』はよくできてるよ。しかも時代設定が第二次世界大戦だから、誘導ミサイルとかないのがかえっていい。

 あと『MYST』みたいにやたら絵はきれいみたいなやつ。ゲームとしてはただのパズルゲームみたいなやつね。

 MYSTは売れたけど、続編の『RIVEN』はアメリカでもかなり返品が多かったそうです。

 1回やればたくさん。『7th Guest』だってそうだもん。

 ああいうゲームって、ゲーム中の何もない部屋とかしげしげと見ちゃう。望遠鏡を覗いたりとかさ、とりあえずちょっと遊ぶみたいな使い方にはいい。

 CD-ROM5枚組みとかで……。

 フロッピー20枚組みのゲームとかあったよね。

●CeleronとPentium IIの差が出るアプリは“ソフトDVD再生”

 そういう意味でもDVD-ROMはいいと思うよ。Microsoftの『エンカルタ』のDVD-ROM版ってさ、調べたら2.2GBぐらいしか使ってないわけ。

 スカスカに空いてるね。

 スカスカ。だって両面2層にすれば17GB入るんだから。

 MSDNもDVD-ROMで配布するって言ってるし。

 今アキバでさ、CD-Rの読める第二世代のATAPIのDVD-ROMドライブが、運が良ければ8900円で買えるんだから。すぐ売り切れるんだけどさ。

 48倍速とかいってCD-ROMの高速化も行き着くところまで来た感じだし、PCメーカーもDVD-ROMドライブで差別化しないといけないと。DVD-ROMドライブがあればソフトDVDで映画が見られるし……。

 ソフトは買わないといけないけど、ATIの『Rage Pro』を持ってたら、ATIのDVDプレイヤー用のバンドル用のデコードソフトがバルクで1400円ぐらいで売ってるから、それを買うのがいちばん安い。少し重いけど。

 そういえば、ソフトウェアDVDビデオ再生というのは、CeleronとPentium IIの差が出るアプリケーションだよ。Celeron-300Aの128KBキャッシュと、Pentium II-300MHzの512KBハーフスピードキャッシュを比べると、Pentium IIのほうが速い。128KBじゃ辛いみたい。コマ落ちがひどい。めずらしくPentium IIで良かったねと思うアプリが1個あった。

 あとは、ソフトだから、リージョンコードが簡単に変えられること。でもこれあんまり大きな声では言っちゃまずいかも。映画の頒布件侵害の教唆ぐらいにはなるかも。

鹿 でもあれ法律で縛ってるわけじゃないんですよね。

 個人でリージョンコード“1”のソフトを持っててそれを見ることをとがめる法律はないけど、リージョンコード“1”のソフトを見れるように先導したりすると興行権侵害の教唆とか幇助になるかもしれない。

 それは映画館業界だけの利益の問題でしょう。

 でも日本映画とかさ、ビデオで成り立ってるようなものじゃない。アメリカはどうか知らないけど、なのに映画館業界がどうしてそんなデカイ顔するのかって気がする。

 ビデオが売れてさ、なおかつ映画館に客が入るというのは、映画館の料金が適正で中が快適だからお客さんが来てくれるわけだよ。

 アメリカは映画館の料金が安いんだもん。

 日本の映画館はそういう努力をしないからさ、どんどん客が減っていく。

 ビデオの売り上げのほうが映画館の興業収入よりデカいんでしょ。しかも、映画館の入場者数とビデオの売り上げはぜんぜんリンクしてないんだってね。映画館に客が入らなくても売れるビデオは売れるし、入ったからと言ってビデオが売れるとは限らない。『ビーバップハイスクール』とかさ(笑)、そんなにいいとも思わないんだけど、ビデオはけっこう売れてたりするんだよね。

 見たいときに見たいものを見たいと。で、それを権利を持っている人に正当な報酬をを支払うというシステムがあればいいわけだ。

 今のところいちばんそれに近いのがレンタルビデオなんだよね。

 なんだけども、実は十分に対応できてないと。

 レンタル屋も夜の2時頃までやっててさ、そうなるとあとはもうネットワークでストリーミング・ビデオとかしかないよね。

●青色レーザー100GBディスクに映画を全部入れろ

 それかさ、青色レーザーで記録するディスクでさ、100GBぐらい入ってさ、たとえば'98年の映画が全部入っててさ、オンラインで公開暗号鍵を送信して権利を売ると。で、メディアはタダでどんどん配る。

 なるほど、それもありだね。ホテルのビデオみたいに最初の10分はタダで見られると。

 オンラインで支払いの手続きして暗号の鍵をもらって、全部見ると。

 だから、必ずしも光ファイバーは必要ないと思うわけ。

 LDボックスとか買ってさ、ずーっと持ってるというのがもうイヤなんだ。

 イヤだね。

鹿 何でもネットで配信しろみたいな話もあるけど、そればっかりではないと。

 MP3みたいに違法アーカイブとか出そうだな。でも個人として楽しむのはいいってことで“MPEGMAN”みたいなものが出てくるかも。

 香港とオーストラリアでもう違法DVDビデオソフトが出回ってるそうですが。

 香港とかさ、ビデオCDなんて凄いよね。日本のドラマとか放送の翌日には売られてるっていうから。

鹿 『Photoshop』とかもネットから落とせますからね。

 アキバでも夕方になると屋台で売ってるしね。

 この前ハッカー雑誌と言われるものを立ち読みしてたらさ、ハッカーのすることといえば違法コピーのソフトを売ることみたいなことが書いてあってさ、おまえら程度低いなーって思ってさ。生活費稼いでますなんて書いてあって、そんなんで生活費稼がなくても……。

 それ単なる泥棒だよ。でも、自分でおカネを出して買ったコンテンツはできる限り自由に使いたい。

 早くみんなDVDになってほしいわけ。コピープロテクションもどんどんかけていいわけ。

 映画1年分ぐらい入っててほしいよね。で、予告編を見ながら……。

 モデム経由で暗号鍵をピックアップして観る。

 パラマウントの映画が全部入ってるとかさ。

 でもさ、フイルムでしか残ってないコンテンツを観る機会ってなくなっちゃうじゃない。

 そこでDVDがLDよりいいのはさ、ノン・インターレース、プログレッシブで入ってることなんだよね。LDは3:2プルダウンしたNTSCでしか入ってないからさ(元麻布春男のソリッド・ステート・サバイバー第9回『「Region Code」と「3:2プルダウン」処理機能について』参照)。DVDも製作工程では毎秒60フレームになるんだけども、一応最終的にはノン・インターレースになってるので、オリジナルに近いかなと。

●'99年グラフィックスチップ業界とSGI『Visual Workstation』

 マルチメディアといえば、3DfxがSTBを買ったことでしょ。

 リテールでグラフィックスカードを売りたい?

 グラフィクスチップ屋さんとグラフィックスカード屋さんはみんな一緒になっちゃう感じだよね。

 Matroxみたいに。

 ATIもそう。結局、Intelがi740であれだけ売りまくったおかげで差別化できなくなった。そもそも今ハイエンドのグラフィックスカードが200ドルぐらいでしょ。グラフィックスカード作って売ってるメーカーはコスト的な理由から付加価値の付けようがない。

 チップを買ってきてカードを作ってるメーカーが商売できなくなる。

 nVIDIAとDiamond Multimediaはくっつきそうな雰囲気がある。S3がHerculesを買うんじゃないかという気もする。

 再編が進みそうですね。

 そうすると、Creative Technologyがチップ屋さんを持ってるかというと、持ってないんだよね。

 話は変わりますが、Silicon Graphicsが1月11日に発表すると言われているIntelアーキテクチャマシン『Visual Workstation』はどうですかね。自社開発の『Cobalt』とかいうチップセットに、これまた独自開発のグラフィックスシステムがオンボードだそうですが。

 どうかね、SGIってグラフィックスでもうピークを過ぎた感はない?

 いちばん上は4WayのXeonのシステムだそうですが。

 かえって差別化しにくい方向へ行っちゃってるような気もするしね。

 でも、SGIは『WebFORCE』とかのアプリケーションを持ってるからさ。差別化しにくい方向って言うけど、じゃあMIPSの独自路線でやってて芽があるかというと……。

 MIPSを買った時点でさ……、あー、でも買わなかったらMIPSが先に潰れてたか。SGIこそ先にLinuxやればよかったのにね。他のCPUでもいいからみたいなさ。

●日本土着ソフト『花子』とCorelの明日

鹿 '99年はLinuxに駆け込むメーカーがもっと出ますかね。

 いけると思ったらやるだろうね。

鹿 CorelがLinux版の『WordPerfect 8』を出しましたが。

 だからさ、WordPerfectははっきり言えばWindowsのワープロでは勝ち組じゃないからさ。勝てなかった以上、違うプラットフォームへ行かざるを得ない。

 グラフィックスアプリとかやってるメーカーは、これ以上Windowsの世界でビジネスしてるよりさっさとLinuxとかの別のプラットフォームへ乗り込んだほうがいいという判断をするかもね。

 Microsoftが支配してる世界の外へ出るしかないよね。居場所がなくなっちゃう。

元 『PhotoDraw 2000』だっけ、あれはまだそんなに凄いものとは思わないけど、ついにMicrosoftがグラフィックスアプリも出したし。

 Corelもね、カナダの希望の星と言われて……。

 Corelはちょっとクオリティーが落ちてきてると思う。『CorelDRAW 8』へバージョンアップしたんだけど、昔と比べるとちょっとボロい感じ。特に日本語版がそう。

 だって、あそこ日本法人ないんだもん。

鹿 ソフトバンク技研に任せてますからね。

 アップグレードセンターとかしかないんだ。でもサポートは他のソフトメーカーに比べると親切なんだけどね。

 うちね、今使ってるのが『Visio』と『花子』なの。

 CorelDRAWで渦巻き描けるよ(笑)。

 ぼくもバージョン6ぐらいまでCorelDRAWを使ってたよ。

 うちはバージョン2から8までずーっと。

 今、見送り中なのが『Adobe Illustrator』。あれで素人が絵を描くのは難しいと思う。頭の中にインタープリターがないと、あの挙動を理解できないんじゃないか。

 あれで絵を描くって、普通の人には難しい。

 PostScriptのインタープリターが頭の中にあってさ、挙動が分かってる人でないと、ちょっと描けない気がする。あと花子は安い。9000円とか8800円で買えるんだもん。

 花子の最大市場は学校関係で、要は学校で生徒に配るプリントを作るのにいちばん使われてる。

 付属のクリップアートの泥臭さときたらすごい。

 法人でもDOS時代から花子のデータを山ほどため込んでる会社っていっぱいあるでしょ。

 どんなに使いやすいグラフィックスソフトでも、すでにあるクリップアートを使ったほうが早いんだから。

 花子で自分で描いてる人はほとんどいないという話もある。

 でも花子は自分で描いてもやれなくはないよ。悪くない。ここが凄いぜっていうポイントはないし、レイヤーとか高度な機能はないけど、付属のクリップアートが日本土着のすぐ使えるやつばっかりだからいいよ。

鹿 不動産屋がアパートの見取り図を描くのに便利だそうですね。

 いいんじゃない。日本の商習慣とかにベッタリ張り付いてるからね。

●3Dアクセラレーターのファンクションを全部使ってるユーザーはいない

 グラフィックスチップの話に戻るけど、たぶんあと1年から1年半でグラフィックスカードのベンダーの数はガクンと減るだろうね。生き残りがはっきりしてるのはIntel、ATI、nVIDIA、ここまでかな。

 AGPの4Xが出て、3Dのパフォーマンスをどんどん上げて……。

 3Dのパフォーマンス上げてもゼルダがないんだもん(笑)。でも、それをやるしかないから各社やってるけど。今はもうグラフィックスチップベンダーどうしの消耗戦だよね。半導体集積競争から脱落するやつが負けだよね。

 しかも、ほとんどのユーザーが、全部の3Dファンクションを使ってるわけじゃないんだもんね。なのにスペックだけを上げなきゃいけないって辛いものがあるよね。

 アメリカはまだPCゲームやってるヤツがいるからいいよ。日本なんてPCゲームやるヤツいったい何人いるよ。

 ゼルダみたいなゲームないんだもん。

 HALF-LIFEはできがいいけど、さすがにスピーチが全部英語じゃつらいしさ。

 たまにゲームのデモ版とかダウンロードしてやってみるんだけどさ。デモ版やって1面クリアして、あ、終わったみたいな。もういいみたいな。

 あとはもうそれの繰り返しだと。ネットワーク対応マルチプレイヤーゲームというのはおもしろいかもしれないけど、日本みたいに3分10円でおカネがカチャカチャ落ちていく音が聞こえてくるような国ではやってられない。

●Dreamcastを100倍売る方法

 Dreamcastももっと売るには『Ultima Online』みたいなゲームがないとダメでしょうね。

 でもそれも電話料金がなにだから難しいんじゃない?

 だから、ダビスタをからめてバクチをやるですよ(笑)。接続権を賭けるですよ。接続権1000ガバスで、湯川常務サイン入り下敷きプレゼントとかさ。

 そうだな、NTTをからめて通話料が儲かるっていうインセンティブがあるといいだろうね。

 大川会長、お読みになってるでしょうか。

 そう、つまりキャッシュバックになるような仕組みを作り上げればいい。

 バクチと喧嘩と……。

鹿 エロなんですけど、エロはできないから。

 いっそDreamcastはオープンにして誰でも勝手にソフト作って出していいということにしたらどうかな。SDKとかもフリーでダウンロードできるとかして。

 それをやるとゲーム機のメーカーは儲からないですから。ソフトの製造や流通を仕切らないと。「Mostly BeOS」の柴田文彦氏はプレステやNintendo64のソフトが動くエミュレーターを付けろとか言ってましたが。

 ゲーム機の場合、互換にしてもダメだからな。パソコンと違ってライセンスの問題があるから。ところでNECはもうゲーム機やらないの?

 だからPowerVRを使ってもらう見返りにPCFXをやめてDreamcastに乗り換えるわけでしょ。

 一時期PCFXはアニメゲーム専用機になってたけど。

 プレイステーションも『やるドラ』を見てるとそうなりつつあるのかもっていう気がする。でもDreamcastはインターネット端末として悪くないよ。春まで待てば『WebTV for Dreamcast』も出るし。

 でもゲーム機って採算点がかなり高く設定してあるから、インターネット端末みたいなパッケージソフトが売れないような体制で儲かるのかな。

 儲からない。でも、とりあえず普及しなきゃ始まらないでしょ。

 そうか、プロバイダーを込みで売れば、いけなくもないか。

 そう。PHSと同じ。ハードはタダで配るから、うちにつなげてねと。で、月々いくらいただきますというビジネスモデル。

 それならやれるかもね。

 一応Windows CEが動いてるんだから、セガが『Pocket Excel』か何か出せばいいんだよ。はがきソフトを出してさ、セガが印刷の取り次ぎをやればいいんだよ。2週間で宅配便でお届けみたいな。『Pocket Word』を5800円で売るとか。

 そういうアプリケーションを全部GD-ROMに焼いてばんばん配布して、モデム経由で暗号鍵を売ると。

 大川会長、お読みでしょうか。採用をご検討の際はご一報ください。

●KatmaiのキラーアプリはMPEG2エンコードとG.Lite

 なんか、どうやったら日本がおもしろくなるかとかいう話をしていると必ず“通信コスト”っていうことに話が行き着くような気がする。

 たとえば'99年のIntelのテーマはMPEG2のエンコードとADSL/G.Liteによる高速インターネット接続なわけ。簡単に言うと、この2つが『Katmai』のキラーアプリになる。で、高速ネットワークの常時接続があたりまえになってしまうと、それを前提としたコンテンツが出てくる。ところが、そういう通信事情の違いから、日本ではアメリカのコンテンツを楽しめないということもありうる。

 日本はISDNの64kで……。

 ISDN、なぜかMO、液晶ディスプレー。この辺はみんな日本ローカルなこと。

 インターネットにアクセスする日本人は30台前半の男性が圧倒的に多くて、そのセグメントはマーケティング的には最悪の層だそうです。なぜなら本・雑誌・ビデオ・CD・LD・DVD買わない、コンサート行かない映画行かないレストラン行かない旅行しないスキーしないテニスしないアート興味ないファッション興味ない……、おまえら来るなっていう連中だと某広告代理店の人から聞きました。

しかし、そういう閉塞的で寂しいパソコン業界にしないためのヒントがこのトークでいくつも出てきたと思います。'99年が読者の皆さんにとって良い年でありますように。元麻布さん、塩田さんありがとうございました。

(了)

収録:1998年12月17日


元麻布春男氏プロフィール
 “DOS/V”登場以前からIBM PCクローンを個人輸入。Intelアーキテクチャーをはじめデジタルシーンにもっとも詳しい日本人アナリストのひとり。航空機にも造詣が深く、フライトシミュレーターのヘビープレイヤーでもある。

塩田紳二氏プロフィール
 某“家電の巨人”メーカーでパソコンの開発に携わった後、フリーライターとして独立。ハード、ソフト両面での知識と経験と人間漫才のような企画力で雑誌、単行本、Web Zineで活躍中。

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