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【夏季特別企画インテル対談Vol.3】プロセッサーベンダーの統合から次世代プロセッサーまで


1999年9月9日


夏季特別企画対談インテル編では、周辺チップなども含め、x86プロセッサーの動向に詳しい元麻布春男氏と小林章彦氏をお迎えして、Pentium IIIやAMD Athlonなどの、現状と今後についてお話を伺った。Vol.3ではx86互換プロセッサーベンダーの今後の出方から、インテルの次世代IA32プロセッサーの予想までを語っていただいた

VIAがCyrixやWinChipを買ったのは“安いから”
編集部「VIAがCyrixのMIIプロセッサーだけにとどまらず、IDTのWinChipまで買った狙いはどこにあるのでしょうか?」

元麻布「安ければ買うでしょう。だってCyrixをナショナル・セミコンダクター(NS)が'97年に買ったときの値段が5億5000万ドルで、VIAが買うCyrixのスタンドアローンプロセッサー事業の値段が1億6700万ドル。で、IDTがいくらかな? Cyrixの値段とそれほど違うはずはないけど」

小林「VIAとしては結構条件がいいよね。だってNSの工場も使えるし」

元麻布「いや、使えるって言うけど、NSも本当は工場も誰かに買って貰いたいけど、誰も買ってくれないから」

小林「そういう意味で、VIAが委託するプロセッサーの生産コストもたぶん非常に安いんだろうね。そのうえ、労せずしてSocket 370互換のチップも手に入って」

編集部「CyrixのときもIDTのときも、チップ関連の施設が買収内容に含まれていますが、あれは生産工場ではなくて、研究設備みたいなものですよね?」

元麻布「設計の事務所みたいなものでしょう」

編集部「そうすると、CyrixとWinChipの両方を買ったことで、いくら違うプロセッサーとはいってもx86互換だから、研究者レベルでも、設備レベルでも、あるいはIPの部分においても重なる部分多いと思いますが?」

元麻布「いや、インテルがプロセッサー開発部隊だけで何チームいると思う? 10チームじゃきかないよ」

小林「AMDだって、2チームにしているけど、たぶん 2.5チームとか3チームぐらいはあるでしょう。次世代プロセッサー開発をやろうと思うと、現在のプロセッサーラインを改造して速くする部隊が必要で、それとは別にさらに新規開発する部隊がいないと、トランジッションできないから、最低2チームが必要なわけ。AMDがかつてつらかったのは、1チームしかなかったから」

元麻布「1チームしかいなかったからつらかったけれども、*NexGenを買収して2チームになった」

*NexGen(ネクスジェン):x86互換プロセッサーベンダーの1つで、2チップ構成のPentium互換プロセッサー『Nx586』をいち早く発表したことで知られる。1996年始めにAMDに買収された。

小林「2チームになって……」

元麻布「……いま 2.5チームぐらい」

小林「2.5チームぐらいになったので、次のやつを開発しやすくなってきた。プロセッサー開発のペースが順調なのはそういうところから」

VIAは始めたからには本気になってかかる
編集部「VIAはかなり真剣にx86市場を狙ってきますか」

元麻布「やるなら本気でしょう、それは。だって 1億6700万ドルもお金出してるわけだから、本気でやらないと、会社があぶない」

小林「少なくともVIAは、買った金額より高値で売れる状態になるようにするでしょう。」

元麻布「本気でやらないとね、VIAも。中途半端にやるんだったらやらないほうがマシ」

小林「だってインテルを怒らせて、お金投資して、結果、できませんでしたじゃぁしょうがない。やるんなら本気で生きるか死ぬかの戦いをせざるを得ないでしょう」

元麻布「プロセッサー持たないチップセットメーカーって、もう大きくなれないよね。だから成長したいと望むのであれば、VIAのような道に進むしかないと思う。そういう面ではVIAの行動は悪くないと思うけど、1つの大きな賭けだからね」

元麻布春男(もとあざぶはるお)。“DOS/V”登場以前からIBM PCクローンを個人輸入。インテルアーキテクチャーをはじめデジタルシーンにもっとも詳しい日本人アナリストのひとり。コラム“元麻布春男のソリッド・ステート・サバイバー”でもおなじみ
元麻布春男(もとあざぶはるお)。“DOS/V”登場以前からIBM PCクローンを個人輸入。インテルアーキテクチャーをはじめデジタルシーンにもっとも詳しい日本人アナリストのひとり。コラム“元麻布春男のソリッド・ステート・サバイバー”でもおなじみ



小林「そう」

編集部「Cyrixが開発していた*Gobiとか、あるいはIDTの*WinChip 4などのプロセッサーは市場に出るでしょうか?」


*Gobi:MIIを改良したコアと256KBのオンダイ2次キャッシュを持つSocket 370プロセッサー。

*WinChip 4:IDTの子会社でx86プロセッサー事業を行なっているCentaur Technologyが開発していたプロセッサー。400MHz以上で登場し、11段のパイプライン、128KBの1次キャッシュを備えるとされる。

元麻布「できているものは出すでしょう」

小林「うん、それで新しいプロセッサーを開発する時間を稼ぐことになるでしょう」

元麻布「NSはGobiとかには興味なかったということだね。彼らはヒートシンクを使うような石には興味ないわけ」

小林「それはもうCyrixを買ったときからそういう雰囲気だったですよね。ハイエンドのプロセッサーというのは、NSが目的とした周辺ロジックまで含めたインテグレーションチップのコアを作るためのテストプラント、という意味合いでしょ。

だけど、そのテストプラントが予想外に足を引っ張ることに気づいたんだよね(笑)。収支がトントンでいければテストプラントだからいいかと思っていたら、インテルやAMDがプロセッサーの値段を下げるものだから赤字が大きくなってしまった。

スーパーI/OなどのNSが得意としていた周辺チップが売れればまだ支えられるんだろうけど、その分野まで台湾ベンダーに持っていかれてしまって、そっちもあまり最近調子よくない。そうなると1ドルのチップ作っても儲かってるって業界でウワサされているNSが誇るラインをもってしても……」

小林章彦(こばやしあきひこ)。元月刊スーパーアスキー誌デスク。スーパーアスキー休刊後、編集長の小川氏、副編集長の打越氏とともに独立し、編集プロダクション“デジタルアドバンテージ”を設立。パソコン関連誌を中心に活動中。
小林章彦(こばやしあきひこ)。元月刊スーパーアスキー誌デスク。スーパーアスキー休刊後、編集長の小川氏、副編集長の打越氏とともに独立し、編集プロダクション“デジタルアドバンテージ”を設立。パソコン関連誌を中心に活動中。



プロセッサーは花形産業ではない
元麻布「いまは、プロセッサーっていうのはあんまりいいビジネスと思われてないよね。チップとして単価は高いんだけど、それに伴う開発費も膨大だから」

小林「開発費、製造費、そのほかいろいろなものが高いからね。開発設備とかも含めて、非常にコストが高い。そのうえ特許問題とか、解決しなきゃいけない部分が出てくる。インテルのプロセッサのライセンスを持っている工場に製造を頼むと高いしね」

元麻布「しかも半年ごとに性能上がんなきゃいけないしね。だから決していい商売じゃないって思われている。インテルがストリーミングSIMD命令を急遽、インターネット・ストリーミングSIMD命令って名称に変更したのは、要するにプロセッサーカンパニーよりインターネットカンパニーって呼ばれたいからだよ、きっと。株価対策という面もあるはず」

編集部「インテルはネットワーク関連にも大きな投資をしていますよね」

元麻布「プロセッサーカンパニーっていうのは、かつては証券会社からもすごく高い評価をもらっていたのが、評価が悪くなっている。そこで、インターネットカンパニーになろうと。いまインターネット関連は一番株価高いから」

小林「“トータル・ネットワーク・ソリューション・カンパニー”みたいなところが一番花形というか、うたい文句としては投資資金集めやすいから。下手にモノなんか作ってるっていうと、「設備投資が」とか「人的投資が」とか言われて(笑)。それよりもインターネットとかネットワーキングとかって言ってるほうが、(証券会社から見ると)少ない人数で濡れ手に粟、っていうイメージがしていいのでしょう(笑)」

安いプロセッサーはやらないはずのインテルが……
小林「以前のインテルは、100ドルのプロセッサー作ったら儲からないからやらないと言っていたよね」

元麻布「“100ドル切ったら儲からないからやめる”とインテルが言ったことで、逆にCyrixとかRiseはいけると思ったわけなんだよね。“うちは100ドル切っても儲かるプロセッサーを作る”というのが前提にあったのが、Celeronが出てきて、インテルが60ドルのプロセッサーを出すようになってしまって、彼らの行き場所がなくなってしまった」

小林「そう」

編集部「5年ぐらい前ですかね、インテルがそう言ったのは」

元麻布「Pentium以降、そう言っていたね」

小林「MMX Pentiumのときも、“100ドル切ったらやめる”と。“そろそろ100ドル切るな”って思っていると、次の世代にトランジッションしてたから。そうして、組み込み用のチップラインに持っていってた」

編集部「Pentiumのころは、新しい速いバージョンが出てくると、だいたい7万円とか8万円ぐらいでしたね」

小林「それが上のクロックの製品が出るたびに、以前のクロックの製品の価格はどんどん下がっていって、1万円ちょっと切るかなっていう価格になるともうなくなっちゃって」

編集部「現在インテルのデスクトップ用プロセッサーのラインアップとしては、Pentium IIはPentium IIIに変わろうとしていて、実質、Pentium IIIとCeleronの2ラインです。これは、今後もずっと続くのでしょうか」

元麻布「当面は続くだろうね。まあ、市場次第でしょう」

小林「そうそう、Celeronなんて、(インテルとしては)最初はあまりやる気なかった」

元麻布「(Celeronについては)何も技術的に新しいことをやったわけじゃないからね。本来上のラインのやつを、安くパッケージングするだけの話だから、いつでも出せる。

それをやるかどうかっていうのは市場の動向次第。今はPCも安い方向に向かっているからやるけど、これがまた逆にPCの値段が上がる方向に振れたらやめるかもしれない。それはもう市場次第でしょう」

市場シェアと利益は別の問題
編集部「低価格PCについては、最初は互換チップメーカーが始めましたよね。そして安いPCが登場して、儲かってきた。そこで、インテルもそっちの市場に行ってみようかと……」

元麻布「儲かったかどうかはわかんないんだよ。市場のシェアは上がったけれども。利益を得たかというと、それは別問題」

小林「利益はちょっと出てなさそうだね。(インテルとしては)何となく(低価格PCがはやるという)方向性が見えたところで、とりあえずCeleronを投入しちゃったんだよ」

元麻布「そこしかシェアを伸ばせるところがなかった」

小林「赤字でもとりあえず安く出してみようと、それで売れてマーケットシェアが取れれば黒になるだろうという、一種の先行投資的なところで出したら、意外に(低価格PCの)マーケットが大きかった」

編集部「もし仮に、ほかのx86互換プロセッサーメーカーが、このx86互換プロセッサー市場から撤退してしまったら、インテルは現在ほど本気で低価格プロセッサーをやらなくなるでしょうか。シェアが取れるということで」

元麻布「AMDのx86互換プロセッサービジネスは、絶対にパソコンメーカーが潰さないよ。コンパック、IBM、その他のメーカーがバックアップする。AMDのx86互換プロセッサービジネスが本当に潰れそうになったら、どこかが必ず救いの手を出すと思う。

AMDのx86互換プロセッサービジネスは、さすがに潰せないと思う。システムベンダーとして、インテルが100パーセント取ってしまったら、どうしようもなくなっちゃうから」

小林「まあ、AMDのx86互換プロセッサービジネスの行方は別として、インテルも低価格プロセッサーラインをやめることはないんじゃないかな。安いライン、安さのレベルはちょっと違ってくると思うけれど。いまはこのインテルの安値攻勢も、ちょっと弱まっているから、これ以上の低価格というのは望めないかもしれないけれど。いまのAMDなどの低価格のx86互換プロセッサーラインはなかなか切り崩せないしね。

それに、仮に低価格プロセッサー市場でインテルのシェアが大きくなったとして、価格を上げるといろいろ言われるしね」

元麻布「『インテル1社が大きすぎることの弊害だ』とか言われるからね」

小林「そうそう、独禁法の観点から会社をいくつかに分離するという話も出かねない。設計と製造を分けろとか、エントリー部門は分けろとか、言われかねないから」

低価格プロセッサーはチップセット統合型に?
編集部「インテルにしてもx86互換プロセッサーベンダーにしても、今後の見通しとしては、やはり統合チップのほうに行く方向でしょうか」

小林「インテルは、Celeronのラインで統合チップに行く可能性は少なからずあるかな」

元麻布「インテルも明らかになっている範囲では、Timnaとか、統合型の安いほうに向かっているけれども、上にいけるようなチップができたら、それを出すことを嫌がりはしないはず」

編集部「だからといって、統合型プロセッサーが高性能/高価格路線にいくかどうかは、ちょっとまだ不透明なところがある?」

元麻布「それはつまり、作れるかどうかの問題」

編集部「なるほど。それでAMDはAthlonを発表して、いまはAthlonを重点的にプッシュしていますが、K6-2やK6-IIIの今後はどうなるでしょうか」

元麻布「K6-2はCeleron対抗プロセッサーとして出し続けると思う」

編集部「K6-2は、K6-2Eなどといった組み込みプロセッサーとしてもラインアップを増やしていっていますよね。ああいったプロセッサーも、K6-2からK6-IIIに移行していくのかと思っていたのですが、それは難しいかもしれないということですね?」

元麻布「(K6-IIIは)トランジスター数が多いからね、安く売るには向かないよね」

小林「まあ向かない。特にAMDのラインでは安く作りにくいよね」

元麻布「0.18μmプロセスの製造ラインになると、もちろんよくはなるだろうけれども。ただ、(K6-IIIの)パイプラインの段数は低いから、クロック上げるのは不利だよね」

小林「それほどクロックを上げるつもりはないんじゃないかなぁ」

元麻布「でも、AMDがクロック上げなくても、インテルはCeleronのクロックをまだまだ上げてくるよ」

AMDとインテルそれぞれの悩み
小林「いまAMDがつらいのは、Athlonがうまく立ち上がってくれて、収益のほとんどをAthlonでまかなえるようになればいいんだけれど、Athlonはこれから立ち上がる段階で、一方のK6系は(低価格化などで)収益が下がってくるところでしょう。だからその辺りで、来年前半は資金的にかなりつらいんじゃないかなって気がする」

元麻布「でもどこかPCベンダーが資金を出すよ」

小林「出すとは思うんだけど……」

元麻布「AMDが発表した第2四半期のファイナンシャルリザルト(の予告)によれば、K6ファミリープロセッサーは、およそ600万個生産されそうだけれど、販売は370万個にとどまるだろうといっている。すると、その残りは在庫になるわけで、やめますとは言えないでしょう。200万個の在庫があるわけだから」

小林「確かに。売っていかないとしようがない」

編集部「すると結局、インテルは一番上のラインからおさえて……」

元麻布「インテルの悩みの種は、一番上のところでAMDに負けるかもしれないっていうことだよね。特に浮動小数点演算の速度で負けるっていうのは、屈辱的と言えなくもない」

小林「屈辱的だね。ま、昔からインテルのプロセッサは浮動小数点演算について、弱かったから」

編集部「その比較はPentium III XeonとAthlonでしょうか?」


元麻布「今のAthlonではPentium III Xeonには対抗できないよね。だからこれから出るという、Athlon ProfessionalやAthlon Ultraなんかで、Pentium III Xeonに対抗したいのだろうけれど。サーバーはサーバーで、パソコンと違って、いろいろとプロセスだけではないテクノロジーが必要になるから、その辺りをAMDがどのくらいできるか。例えば、いまのAMD-750チップセットだって、確かにパソコンには使えるチップセットかもしれないけど、サーバーには使えないよね」

小林「ちょっと難しいですね。そこら辺りをコンパックやほかのサーバーベンダーがうまくフォローしていければ……」

元麻布「コンパックっていうか、Reliance Computer Corporation (RCC)あたりがAthlonのチップセットを作るだろうから、それでサーバーもチップセットができれば、また展開が違うけれど」

RCC:サーバー、ワークステーション用のチップセットベンダー。コンパックのProfessional Workstation 6000などが採用している。

今年前半のプロセッサーの傾向
編集部「この辺で少し今までのお話をまとめさせていただくと、インテルの今年の動きとしては、低価格のCeleronでデスクトップもノートも攻勢をかけ、上のほうはCoppermineへ続く流れを作ったと。それに対して、AMDはAthlonの今後の展開がかぎになっているけれども、他のx86互換プロセッサーベンダーは低価格パソコン向けに(全体としては)いくらかシェアは持っているけれども、儲からなくて苦しい状況が続き、CyrixやWinChipなどは売却されてしまった」

小林「x86互換プロセッサーベンダーが儲からないのは、今に始まったことじゃないけれどね。今年になって変わってきたのはAMDかな」

元麻布「AMDの立場として違うのは、去年は作れなくて失敗したけれど、今年は作った。ただ、値段が下がりすぎて失敗したということだね。インテルのほうは去年も今年もあまり変わっていない」

小林「インテルは昔に比べれば柔軟になったかなという気はするけどね。製品のラインアップを見ても」

編集部「インテルの製品出荷ペースは上がっていますよね、特に今年になってチップセットの製品が多いと思うのですが」


小林「そうでもないよ。そう見えるだけ」

元麻布「Intel 810と440MXの2つだけかな、いまのところは。あとは全部440BXの機能限定バージョンだから」

小林「同じですからね。440BXや440ZXとかは、機能的に一緒だから」

元麻布「*モバイルIntel CeleronとモバイルPentium IIのような関係かな。単に制限した機能の違いによって名前が違うというだけの話」

*モバイルIntel CeleronとモバイルPentium IIはプロセッサーのダイに同じ物が使われているといわれている

小林「そうそう。名前と化粧を変えていろいろな店に出てます、みたいなノリ(笑)」

低価格化に苦しむ台湾のマザーボードメーカー
元麻布「逆にいえば、ハイエンドのチップセットをずっと440BXで変えなかったからこそ、台湾のマザーボードメーカーなんかはつらいんだよね。新機軸がないから、マザーボードの値段はどんどん下げなくちゃしようがない。だからマザーボードの品質が悪くなってくる。1年前に200ドルだったものを今も200ドルで売ることなんてできないから」

小林「マザーボードの価格が下がってきたから、もう440BXを440ZXにしても、基本的な製造コストはそんなに変わらない。だから、むしろ440BXのマザーボードを売っていたほうがいいという感じじゃないのかなぁ。もうメモリーソケットの価格とか、それぐらいの違いしかない。そこで困って、*デュアロンマザーボードとか、ああいう毛色の変わったものが出てくる」

*デュアロンマザーボード:本来Celeronは、Pentium IIと違い、マルチプロセッサーにはできないハズだが、Celeronでも2プロセッサーを実現するという触れ込みのマザーボードを指す。

編集部「FSBのクロックを変えたりできる製品が増えたのも同じ理由でしょうか」

元麻布「チップセットが変わらないから、少しでも高い価格をつけるためには、何かよそがやっていないことをやらざるを得ない。わざわざサードパーティ製のUltraDMA/66対応のIDEインターフェースを搭載したり」

今年後半のプロセッサーの動向は
編集部「今年後半のプロセッサーについてはいかがでしょうか」

小林「デスクトップ用は、クロックが上がるだけかな。基本的に」

編集部「ノートパソコン用プロセッサーでもそうですか? Geyserville対応の製品は、年内には無理でしょうか」

*Geyserville(ガイザービル):インテルがノートパソコン向けに開発した技術。この技術に対応したプロセッサーとチップセットが搭載されたノートパソコンでは、AC電源が供給された場合は、デスクトップに匹敵するフルパワーで動作し、バッテリー駆動の場合には、クロックを自動的に抑えて動作し、バッテリーによる駆動時間を延ばすことが可能になるといわれている。

橋本「Geyserville(対応製品)は年内には出ないでしょう。僕は今年2月の段階でないと思っていたけど。そういう原稿も書いた」

編集部「すると結局、ノートパソコンもクロックが上がるだけですか。あとは低消費電力版が出るくらいで」

元麻布「プロセッサーに関しては特に変化はないんじゃないかな。チップセットはデスクトップ用にDirect RDRAM対応製品が出るだろうけど。別にDirect RDRAMだからといって、システム性能はそうは上がらない。AGP4xのベンチマークだけは速くなると思うけど。ただし、AGP4xの機能を使うアプリケーションはない」

編集部「Direct RDRAMになってもそうシステム性能が上がらないのは、結局今のプロセッサーがメインメモリの性能を吸収するような仕組みになっているからですか。そうすると、Direct RDRAMを使って本当に意味のあるプロセッサーが出てくるのは……」

Willametteの重要性
小林「次の世代のプロセッサー。Coppermineではない」

元麻布「P6コアをそのまま使っている限り関係ない。ただし、次の世代のプロセッサーが、P7あるいはP6.5と呼べるようなコアになっている可能性は高い」

編集部「その次世代プロセッサーというのはWillamette?」

元麻布「インテルが昔、P5やP6などというコードネームをつけていたのが、それとはまったく別の“Pentium”というような呼び名をつけた。今では、プロセッサーの名前と(P5とかP6といった)特定のアーキテクチャーは対にはなっていない。

それで、P7と呼べるようなWillametteというのは、去年の段階でなくなっている。けれども、WillametteのアーキテクチャーがP8と呼べるものになったのではなく、P6.5とでも呼ぶべきものに変わったというのが私の考え」

編集部「そうするとP7アーキテクチャーが搭載されるはずのプロセッサーはどうなるのでしょうか」

元麻布「P7.5となって、もっと後から出てくる。Willametteに関しては、デコーダーとかフェッチの機能が少し強化されて、ひょっとすると実行ユニットも増えているといった、P6に対して物量的に増強したプロセッサーになるんじゃないかな。

そして、もっとバスやメモリーの性能に依存した設計に変わる。そのWillametteを生かすには速いメモリーがどうしても必要なので、インテルは今の段階からDirect RDARMを投入したいと思っている。

今まで速いメモリーがなくて、そこがボトルネックになっていたのだけれども、インテルとしては、Direct RDRAMで初めてそれなりの速度のメモリーが手に入ると考えている。PC133メモリーを使うと、メモリーアクセスのピーク性能は上がっても、実効性能は上がらないから。

インテルは、PC133かDirect RDRAMかという選択を考えているのではなくて、DDR(Double Data Rate)メモリーか、Direct RDRAMかという選択で、Direct RDRAMを選んだのだと思う」

編集部「P6の次世代アーキテクチャー採用のWillametteと、インテルがDirect RDRAMを採用する理由までうかがったところで、そろそろおひらきにしたいと思います。お二方とも長時間ありがとうございました」
(了)

【夏季特別企画インテル対談Vol.1】Athlon登場、Coppermineは……
 http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/1999/0819/topi02.html

【夏季特別企画インテル対談Vol.2】x86互換プロセッサービジネス、互換チップセットベンダーはどうなる?
 http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/1999/0824/topi03.html


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