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【エレクトロニクスショー'99 レポート Vol.4】多種多様なディスプレイデバイス(続)

1999年10月07日 00時00分更新

文● ケイズプロダクション 岡田 靖

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Vol.2では、時間の都合でLCDだけの紹介となってしまった。今回はその続きとして、さまざまな方向で高性能を目指すLCDから、PDPやEL、さらに特殊ディスプレイまで取り上げる。

・液晶の限界を追求~高品位LCD

LCDには、いくつか苦手な分野がある。現状では応答速度や画面サイズ、精細度などが向上の余地ありとして各社がそれぞれ開発を進めている。


カシオ計算機




反強誘電性液晶(AFLCD)を参考展示していた。ビデオ映像を流しているが、LCDにありがちな残像めいたものは一切ない。また、コントラストも高く、視野角も広い。詳細を聞きそびれたので、機会があったら追加取材を行ないたいものだ。

松下電器産業



対角23インチ(約58cm)という、非常に巨大なLCDパネル。しかも超高精細のUXGAワイドタイプ(1920×1200ドット)だ。

シャープ




対するシャープは、20インチ(約51cm)のUXGA(1600×1200)タイプを展示。Excelワークシートで、U61まで表示されるといえばわかるだろうか。

東芝



こちらは低温Poly-Si TFT(LTPS)で、画面サイズを15インチのままUXGAを達成した。133ppi(pixel per inch)だ。LTPSは画面内部回路の効率がよいので、高精細化に向いているといわれている。

NEC




しかし、通常のTFT(アモルファスSi TFT)でも、LTPSをしのぐ高精細を実現できる。なんと9.4インチの画面にUXGAを詰め込んで、211ppiという驚異的な精細度だ。電子書籍のような使い方を提案しているという。
ちなみに、今回は出展していなかったようだが、IBMも200ppiクラスのLCDを開発している。“Rentgen”というコードネームで、画面サイズも16インチと大型だ。精細度はQXGA(Quad XGA=XGAの4倍)。これも、機会があったら紹介したい。

ヒューネット



こちらでは、フィールドシーケンシャル方式のカラーLCDを開発している。3原色のバックライトを高速で順次点灯させ、液晶(特殊な高速応答タイプTN液晶)部分を同期させて色を出している。カラーフィルターが不要になるので、バックライトの光を効率よく利用でき、明るさとコントラスト、色純度などが向上する。今回展示していたものは固定パターンを明滅させるだけのものだが、年内には小型のドットマトリクスタイプを発表できるとか。対角1.5インチのフルカラーLCDを計画しているという。楽しみだ。
※高速シャッターで何枚か連続撮影してみたところ、色の違いが確認できた。左上は、スロー気味のシャッターで撮影した、肉眼に近い画像だ。ちなみに、赤はもっと純粋な色であるはず。青が混入したため、このような色になったものと思われる。

日本ビクター

独自のプロジェクタ用LCD、『D-ILA』デバイスと、周辺回路一式を展示していた。シリコン基板をベースにしており、特殊な配向を用いている。ちなみに、DはデジタルのDで、ほかに違った方式のディスプレイデバイスもあると聞く。

・LCD以外のディスプレイと、ディスプレイ関連部材

松下電器




37、42、50、60インチの各種PDP。対角60インチは、今のところ最大だ。筆者は2年ほど前から展示会レベルのPDPを見ているが、画質は徐々に向上してきたことを認識する。特にビデオ映像にあわせて画質をチューニングしてきたのだろう、DVDの再生などでは迫力が増した。

NEC






PDPを屏風状に並べて表示させていた。その名も『Byo-bu 2000』。プロダクツゾーンでは、さらに大規模にPDPを並べた展示があったようだ。これからの時代、プロジェクタでなくPDPでこのような展示を行なうようになるのだろう。
また、有機ELパネルも展示されていた。三洋電機/コダックのものと比べると大画面だが、まだ色味が今一つか。発光素材の優劣がそのまま画質に反映されるので、LEDより素材に依存する傾向が高いのだ。

ソニー



PALC(Plazma Addressinc Liquid Crystal)ディスプレイを、ひっそりと展示していた。シャープ、フィリップス、ソニーの3社で共同開発しているものだ。前回のエレショーでは大々的に展示していたのだが、なかなか製品化されないどころか展示そのものが小さくなってしまった。しかも、フィリップスはPDPを外部からOEM調達し、販売もしている。今後どうなってしまうのか、いささか不安なところである。

Philips



『CyberTube』という名のCRTを展示していた。スタイルがあまりにサイバーなので思わず撮影したものだ。まさか管球むき出しのまま発売したりはしないだろうが。

富士電気



薄型PDP用スイッチング電源のモジュール。非常にでかい。これで薄型というのだから、やれやれだ。PDPはまだ電力の消費が大きく、現状では200~300Wあまりを必要とする。その大半はドライバ回路で消耗しているというが、パネルそのものが高電圧を要求するのでいかんともしがたいところだ。

日本電気硝子





LCD/PDP/CRTなどのガラス。一言で“ガラス”というが、それぞれ要求される特性が大きく異なり、組成も大きく異なる。LCDでも、プロセスによって必要とされるガラスが異なるので、難しいところだ。

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