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「インターネットが日本の金融システムを根本から変えるだろう」――セミナー“未公開株式の流動化”から


1999年10月15日

(財)2001年日本委員会は、“未公開株式の流動化――インターネットが興した金融革命”と題した、ベンチャー企業向け関係者のセミナーを開催した。ネット関連株が金融市場全体を押し上げた米国市場と、ベンチャー企業の資金調達が難しい日本との差が指摘され、ベンチャーの時代の到来と金融システム改革の必要性を来場者に強く印象付けた。


まず、慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授の千本倖男氏(ベンチャー企業経営論)が、インターネットによる金融革命について講演した。

「合併でさくら銀行の株価はやっと1000円を超えた。それに比べ、ヤフージャパン、ソフトバンク、トレンドマイクロの株価はいくらだろうか?」と語る千本氏
「合併でさくら銀行の株価はやっと1000円を超えた。それに比べ、ヤフージャパン、ソフトバンク、トレンドマイクロの株価はいくらだろうか?」と語る千本氏



千本氏は、住友銀行とさくら銀行の合併合意について触れ、「2大財閥が垣根を越えて合併しなければいけない時代になったということ。インターネット金融が社会システムを変えているという象徴的な例だ」とした。 千本氏は、インターネット革命は'95年8月、米ネットスケープ・コミュニケーションズ社が株式を公開した時に始まったと見ている。「これは“ビル・ゲイツ以後の世界”とも言える。これ以前とはまったく別の世界になった。米の平均株価は1万ドル(約100万円)を超えているが、数年前に3000ドル(約30万円)だったころでは考えられない。だが従来の企業の株価は前と変わってはいない。ゲイツ以後に現われたインターネット関連ベンチャーの株が押し上げた結果だ」と語った。 結論として、「日本は米国に比べ、IT関連が2.5年遅れているといわれている。だがこれからインターネット関連のベンチャー株が日本の市場で10パーセント以上占めるようになってくれば、日本の経済システムは変わる。インターネットが日本の金融サービスを根本から変えるだろうし、ベンチャーが主流にならなければ日本の再生はありえないだろう」と経営者らに奮起を促した。

「市場改革にはスピードが必要だと認識している」という小林氏
「市場改革にはスピードが必要だと認識している」という小林氏



続いて、日本証券業協会業務部長の小林繁治氏が、同協会が取り組む市場改革と、気配公表銘柄、いわゆるグリーンシート市場の活性化について説明した。 店頭市場改革では、複数の登録基準を選択できるようにするほか、これまで平均3年半掛かっていた登録準備期間を2年程度に短縮する。またマーケットメイク銘柄向け売買執行システムを本年度末までに稼働させ、環境を整えるという。また登録企業のディスクロージャーを四半期ごとに実施することも計画している。 同協会が取り組む改革の中でも重要なのが、グリーンシート市場の活性化だ。グリーンシート市場とは、未公開銘柄の気配情報を同協会が公表し、それを基に取引が行なわれている市場で、現在は地方銀行などを中心に38銘柄が扱われている。同協会では「ベンチャーの資金調達の道と、投資家が早い時期から経営に参加する機会を提供する市場」と位置付け、改革案として、これまで月2回だった気配情報と売買高情報の提供を週1回に増やすほか、情報提供や取引システムのインフラも充実させるという。 小林氏は、「協会は、グリーンシート市場の充実を柱として改革を進めていく。それには証券会社、企業家、ベンチャーキャピタル、投資家ら関係者の熱意があって初めて成功できる」として理解と協力を呼び掛けた。

「日本は米国に置いていかれっぱなしだった。日本も遅ればせながら改革が始まろうとしている。私もお手伝いしたい」と語る早川氏
「日本は米国に置いていかれっぱなしだった。日本も遅ればせながら改革が始まろうとしている。私もお手伝いしたい」と語る早川氏



最後に、この日ベンチャー企業向け投資専門の証券会社設立を発表したインターネットサービスプロバイダー、(株)エムティーシーアイ会長の早川優氏が、未公開株の流動化をテーマに講演した。早川氏は、「現状の銀行、ベンチャーキャピタルの理解はお粗末。半年かけて投資を決定しても、目まぐるしいIT業界ではすでに手遅れになっている。大切なのはスピードだ。投資する企業の選択は、イージーに行なったほうがいいことがある。ハイリスクだがハイリターンなのがこの業界だ」と指摘した。 その上で、「なまじ銀行に頼って、スローな経営感覚を持ち込まれたら致命的。これからは直接金融、つまり株式市場による資金調達に頼ることになる」とした。だが市場の流動性が低く、ベンチャーにとって資金調達が難しいのが現状だ。「株式をたくさん放出し、資金が循環すれば流動性も高まる。株を公募価格で買えるようにし、日本の莫大な個人資産も流通させれば、さらに流動化は進むだろう」とした。 最後に、「リスクに挑戦するのは個人の自由だ。しかし、次世紀のためにはリスクに挑戦する以外の道はない」と語り、ベンチャー中心の時代の実現を強く訴えた。

(編集部 小林伸也)


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