東京・渋谷駅前に竣工した情報発信型商業ビルのQFRONTにて、17日のオープンを前に内覧会が開催された。同ビルの主要テナントであるSHIBUYA
TSUTAYAをはじめ、イベントスペースの“e-style”、デジタルハリウッド(株)が運営する“bitvalley=shibuya
デジハリ”などが公開された。
渋谷駅前のセンター街入口に立つQFRONT。地下2階~4階にTSUTAYA、5階にe-style、6階にデジハリが入居している |
商品の置き場所検索や映画館の空席情報も提供
SHIBUYA TSUTAYAでは、TSUTAYAの店舗としては初めてICカードタイプの会員証を導入。利用金額に応じてポイントが貯まり、貯めたポイントは店内に設置されたインフォメーション端末で確認することが可能だ。TSUTAYAのICカードでは、周辺店舗との提携によるポイントシステムの導入などが検討されているという |
店内には22台のインフォメーション端末を用意。ポイント確認のほか、ビデオ/CD/書籍といった商品が置かれている場所を検索できるシステムが提供されている。また、渋谷周辺の映画館で上映されている映画のタイトルと、空席情報を表示する機能も備えている。
各フロアに2~3台用意されている端末ではアーチスト名による商品検索も可能、ちなみに端末はエプソン製 |
地下2階には、MDに楽曲をダウンロードするKIOSK端末を7台設置。1曲あたり100円~300円ほどで、楽曲の販売を行なっている。端末の種類は、メディア
ラグ(株)のMusic Deliが1台、(株)ブイシンクのMUSIC PODが1台、(株)デジキューブのデジタルコンテンツターミナルが5台となっている。いずれの端末も試用期間中とのことで、3種類の端末が揃っている店舗は全国的にも珍しいとのことだ。
最多の5台を設置するデジキューブの端末。楽曲以外にも、アーティストのブロマイド画像をプリントアウトして販売する(1枚150円) |
作品発表の場も提供--e-style
5階のフロアーを占めるのは、(株)デジタルスケープが運営するイベントスペースの“e-style”。企業向けにフロア貸しを行なうほか、アート作品の展示などを通じてクリエーターの支援も行なうとしている。インターネット放送に対応したスタジオを併設しており、同スペースで催されるイベントを、ストリーミング中継することも可能だ。ビデオプロジェクターなどの機材を備えるe-style、奥に見えるガラス張りのスペースが、インターネット放送のスタジオだ |
ストリーミング中継は、Real PlayerとWindows Media Playerに対応。ビデオ編集システムとしてAvid
XpressとSOFTIMAGE|DSを用意しており、素材はビデオサーバーに蓄積される。映像は、QFRONTビルの前面に設置された大型スクリーンのQ'S
EYEで放映することも可能。
ストリーミング放送は17日からプレ放送を開始し、31日にニッポン放送が主催するミレニアムイベントにおいて本格放送をスタートする予定となっている。
午前1時開講のコースもオープン
6階には、デジタルハリウッドの渋谷校にあたる“bitvalley=shibuya デジハリ”が開校する。クリエーター養成スクールのデジハリにはプラクティスルーム2室とセミナールーム1室が用意されており、Webデザイナー/プロデューサー専攻コースと3DCGアニメーション専攻コースが開講される。教室内には、日本ヒューレット・パッカードの『HP VISUALIZE P600C』を24台用意。Windows NTでネットワークを構築しているほか、各マシンには3Dソフトの『3D Studio MAX』がインストールされている。スクールは24時間オープンで、始発電車を待ちながら作品制作を行なえるのがウリだ。また、2000年7月を目処に、午前1時にスタートするコースをオープンする予定。
各マシンには、“braque”や“chagall”など、20世紀に活躍したアーティストの名前が付けられている |
内覧会に際して、デジタルハリウッド学校長の杉山知之氏が、shibuya
デジハリの紹介を含めたプレゼンテーションを行なった。杉山氏は、'90年の時点で「21世紀にはデジタルコミュニケーションを社会人がやらなくちゃいけないと思っていた」と語りつつ、「当時はデジタルのハードもソフトも高かった」と述べ、デジタルが普及した現代の状況を歓迎する姿勢を見せた。
また、インターネットが一般にも普及している現状にも言及。「2年前には魚屋さんに“インターネットをやって商売を盛り上げよう”と言ってもわかってもらえなかったが、今ならわかってもらえる」と語り、ネットの普及度とその重要性を指摘した。
デジタルハリウッドの杉山知之学校長、「政府は新しい産業を興そうと言うが、実際にはどんな動きをしているのでしょうか?」と、IT分野がおざなりにされている現状をチクリ |
shibuya
デジハリでは“情報発信型産学協同システム”を目的のひとつとしており、渋谷周辺に集まっているデジタル系ベンチャー企業との連携により、渋谷ビットバレーを盛り上げたいという意気込みを口にした。
また、渋谷QFRONTへの進出については、「(TSUTAYAの)増田社長がデジタルに注目しており、誘われた」とのことで、渋谷に物件を探していたデジタルハリウッドとTSUTAYAの思惑が一致したことをアピール。さらに、「今は、すべての産業が(デジタル)クリエーターを必要としている」と語り、デジタルハリウッドが渋谷駅前の一等地に進出する意義を強調した。