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【NTT-ATシンポジウム2000 Vol.1】基調講演“次世代IPネットワークの課題と展望”--東京大学教授の青山友紀氏

2000年02月08日 00時00分更新

文● 編集部 高島茂男

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NTTアドバンステクノロジ(株)が主催するシンポジウム“NTT-ATシンポジウム2000--次世代IPネットワークの現状と今後の展望”が8日、都内において開催された。基調講演では、東京大学大学院工学系研究科の教授で工学博士の青山友紀氏が、“次世代IPネットワークの課題と展望”と題した講演を行なった。

青山友紀氏青山友紀氏



青山氏は、次世代インターネットを第2世代と第3世代に分類し、それぞれの技術課題などについて説明を行なった。第2世代インターネットでは、機能や性能、容量の向上が求められ、第3世代では、あらゆるものがインターネットに接続されるようになり、より使いやすいサービスの提供が必要と説いた。

青山氏は、“Everything on IP”、IPの上にあらゆるものがのることが実現する世代を“第2世代インターネット”。“IP on Everything”、あらゆるものの上にIPがのる世代を“第3世代インターネット”と分類した。

第2世代インターネットでは、QoS機能やマルチキャスト機能、モビリティー機能を向上させることが必要であると説明した。このほか、IPv6によるアドレス空間の拡大や、IP over WDM、フォトニックネットワークによる帯域の拡大、ルーターそのものの性能向上が必要であるという。

マルチキャストでは、受信者によって、帯域の細い人と太い人がいる。このどちらかに合わせると、もう一方にとっては満足できないサービスとなってしまう。それを解決するのが、“階層化マルチキャスト”だという。これは、元の映像を、例えば3階層程度に分けて送信する。帯域の細い人はもっともベースの階層の映像のみを受信し、再生する。逆に帯域の太い人は、すべての階層の映像を受信し、もっとも品質のよい映像を受信するという方式。これは、まだ実用化されていないが研究されている技術だという。

容量の面で、シリコンデバイスでは対応できないとすると、そこはフォトニックデバイス(光デバイス)が貢献できるという。フォトニックデバイスは、広帯域で高速、低損失という強さを持ち、高価で形状が大きいという弱さを持つ。“WDM(Wavelength Division Multiplexing)”*は、急速に進歩してきている技術で、速度/波長はそろそろ10Gbps、波長の間隔は実験室では25GHzを達成しているという。

*WDM:たくさんの波長を使って、Point to Pointで伝送する技術

青山氏は、次の第3世代では、あらゆるものがインターネットに接続される時代となり、通信媒体も有線、ワイヤレス、衛星、電線など多様になると説明した。インターネットで提供されているサービスも多様になってくると、目的のサービスを発見することが困難となり、サービス発見機能が必要になってくるという。

ネーミング/ディレクトリーサービスは、現状では「アドレスXにあるYというサービスを下さい」としているサービスアクセスを、これからは「Yというサービスを下さい」といったように、より使いやすいサービスを実現していくことが求められるとしている。

次世代インターネットでは、現在ATMベースで運用しているシステムも、状況によってフォトニックベースでやっていく必要が出てくるだろうとまとめた。

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