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日本でも本格的なオンデマンド印刷時代を予感――On Demand Printing Japan 2000より


2000年4月14日

最近、作家自らの手によってインターネット上で発表されているオンライン作品が注目を浴びている。米国の人気ホラー作家であるスティーブン・キング氏や、ミステリー作家の井上夢人氏らが結成した日本の作家集団“e-NOVELS”などの動きを見ると、作家の紙離れが進んでいるようにも思われる。しかし一方では、紙による新しい表現方法にこだわる作家もいる。

3月初めに、作家の村上龍氏が、富士ゼロックスのカスタム出版サービス『BookPark』を利用し、オンデマンド・セルフパブリッシングによる新刊の長編小説『共生虫』を先行販売した。この村上氏の試みはまさしく“Books On Demand(BOD)”を最大限に活用したものである。

BOD――オンデマンド印刷は決して最近の技術ではなく、むしろ成熟した技術と言える。オンデマンド印刷がビジネスとして動き出したことで、印刷業界のみならず一般のビジネスシーンにおいても、注目を集めるようになってきた。こうしたオンデマンド印刷の業界動向を知るには最適な展示会とコンファレンス“On Demand Printing Japan 2000”が、12日から14日まで東京・青山のTEPIAおよび日本青年館において開催された。本稿ではその展示会の模様をリポートする。

“On Demand Printing Japan 2000”、通称オンデマンドショーは、オンデマンド印刷にフォーカスしたトレードショーとしては国内唯一のもの。主催はオンデマンドプリンティング推進委員会。展示会では、プリンタメーカー、印刷機器メーカーなどによる最新オンデマンド印刷ソリューションが紹介された。

製本工程を重視したオンデマンド印刷の流れ
オンデマンド印刷機、DocuTechを擁する富士ゼロックス(株)は、最新鋭機である『DocuTech 6180』を中心に、Books On Demandソリューションを実現するシステムを紹介した。

富士ゼロックスのブース。Books On Demandのデモは、多くの来場者が注目。印刷・製本されたブックレットを手にした来場者は、一様にその仕上がりに感心
富士ゼロックスのブース。Books On Demandのデモは、多くの来場者が注目。印刷・製本されたブックレットを手にした来場者は、一様にその仕上がりに感心



このBODシステムは、モノクロプリンターのDocuTech 6180と、カラープリンターのDocuColor 4040に加え、版下管理サーバーにアルゴテクノス21社の『D-PRESS IIデータベースシステム』を搭載したもの。本身用のモノクロページはDocuTech 6180で、表紙用のカラーページはDocuColor4040で出力する。

さらに製本、断裁などの後処理には、ホリゾン社のインライン製本機を接続。中綴じ製本機『SPF-20X』と、くるみ製本機『BQ-340X』のジョブをD-PRESS IIで管理している。BQ-340Xによるくるみ製本では、インラインで1mmから40mm(24ページから800ページ以上)の厚さに対応した無線綴じを行ない、格調高いドキュメントの仕上りを実現。オンデマンド印刷でも製本工程を重視すれば、美しく仕上げられるという一例だろう。

富士ゼロックスのBooks On Demandにより制作されたサンプル(左)。これは中綴じされたもので、表紙はカラー、本身はモノクロ。出力状態も美しいが、綴じ、断裁も完成されたものと言える。ホリゾン社のBQ-340Xによるくるみ製本の工程を経て、無線綴じされ、完成
富士ゼロックスのBooks On Demandにより制作されたサンプル(左)。これは中綴じされたもので、表紙はカラー、本身はモノクロ。出力状態も美しいが、綴じ、断裁も完成されたものと言える。ホリゾン社のBQ-340Xによるくるみ製本の工程を経て、無線綴じされ、完成



ケイズカンパニー(株)のブースでは、こうした後処理部分、いわゆるポストプレスに焦点をあてた製本加工機器を出展していた。ユニバインドの『スティールカバーシステム』は、熱溶着方式の製本機で、ハードカバーの製本が可能だ。また、プラスティコイルの『PBS 20Eコンボ』は、穴あけ後、プラスチックコイルでリング製本に対応。

オフィス向けオンデマンド機器も参考出展
キヤノン販売(株)は、オフィス向けオンデマンド機器を出展していた。

参考出品の『NEW PIXEL カラーPODシステム』は、カラーオンデマンド印刷のエントリー機としての位置づけ。毎分21枚(カラー/モノクロA4判)の高速出力が可能で、トレーレス自動両面方式によりオンデマンド印刷を低価格で実現する。今後、サドルフィニッシャー対応で中綴じ製本も可能となる。発売時期は夏、価格は300万円前後。『Adobe Acrobat 4.0日本語版』のプラグイン形式でパーソナライズドプリントを実現するバリアブルプリント支援ツール『Easy Print』にも対応し、ワントゥワン・ビジネスのツールとしても効果的と言える。

キヤノンはNew PIXELを参考出展。ブースでは、「PIXELと言えばこれまでは高精細のイメージだったが、これはオフィスで使える高生産性モデル」と説明していた
キヤノンはNew PIXELを参考出展。ブースでは、「PIXELと言えばこれまでは高精細のイメージだったが、これはオフィスで使える高生産性モデル」と説明していた



さらによりオフィス需要に特化したものとしては、クラスタリングシステムを使ったオンデマンド・プリンティングシステムの提案があった。米国AHT(advanced Hi-Tech Corp.)社との共同開発によるプリンティングシステム『Document Server for Canon(DSC)』を出展していた。

DSCは、ネットワーク化が進むオフィスにおいて複雑化しているドキュメント作成フローを管理するための新しいプリンティングシステム。同社のデジタルコピー機『MEDIO GP605』、カラーコピー機『PIXEL MAX(CLC1000)』といったコピー機を使うことで、イニシャルコストを低減し、ワークフローの効率化、印刷や保存のジョブを管理する。既存の機器を活用できるだけではなく、システムの拡張にも柔軟に対応できる。さらに、最大4台のMEDIOを接続すれば、生産性を向上でき、システム障害や機器のダウンタイムも抑えられる。

キヤノンブースでの『Document Server for Canon』のデモ。クラスタリング・サーバーを用いることで、複雑化するプリントジョブを制御し、より効率的なドキュメント・パブリッシングを実現
キヤノンブースでの『Document Server for Canon』のデモ。クラスタリング・サーバーを用いることで、複雑化するプリントジョブを制御し、より効率的なドキュメント・パブリッシングを実現



同様にオンデマンド・クラスター・プリンティングシステムは、京セラミタ(株)が、『マイクロプレス』(米国T/R Systems社製)を紹介していた。

コンパクトなカラーオンデマンド印刷機
オンデマンド印刷の大きな流れの1つにカラー化があるが、カラーオンデマンド印刷機の中で最も使われている機器の1つが、ザイコン社のデジタル印刷機だろう。

サカタインクス(株)のブースでは、このザイコン社の新型機『Xeikon CSP 320D』を出展していた。これまでのDCPシリーズは、使いやすさをコンセプトにしてきた。CSP 320Dは同じコンセプトを受け継ぎつつ、よりコンパクトな筐体に技術を収めることに成功している。

コンパクトにまとめられた枚葉デジタルカラー印刷機『Xeikon CSP 320D』は、今回が国内初公開となった
コンパクトにまとめられた枚葉デジタルカラー印刷機『Xeikon CSP 320D』は、今回が国内初公開となった



このほか、昭和情報機器(株)は、両面印刷とハイライトカラー印刷を可能にした高速モノクロ機『SP2000 DSC PODプリンタ』を出展。また、東洋インキ製造(株)ではE-Printシリーズ向けのパーソナリゼーションソフト『TurboStream J』などを、日本アグフアゲバルト(株)ではChromapress向けのカスタマイゼーションソフト『Personalizer-X v2.0』を出展していた。

(千葉英寿)


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