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早稲田大学、ネットベンチャー育成プロジェクト“Zaiya.com”をスタート


2000年4月28日

早稲田大学の研究機関・ネットワーク社会総合研究機構は28日、学生のネットベンチャー旗揚げを支援するプロジェクト“Zaiya.com(ザイヤドットコム)”をスタートさせたと発表した。意欲のある学生にオフィススペースやサーバーを無償提供するほか、公式サイトをクリエーター志望の学生の発表の場に開放する。大学が予算化した事業ではなく、ボランティアの学生が企業から協賛金を募って運営していく。同日、同大学内でシンポジウムが開かれ、「早稲田の“在野精神”にかえり、自分で道を切り開いて」などと学生に奮起を促した。

“Zaiya.com”の公式サイト
“Zaiya.com”の公式サイト



Zaiya.comは、学生の起業を物心両面で支援するプロジェクト。意欲はあるが資金や経営ノウハウを持たない学生をサポートし、IT業界で活躍できるネットベンチャー経営者を育成するのが狙いだ。プロジェクトの名称は、同大学創立者の大隈重信が唱えた“在野精神”から名付けたという。

当面の活動として、メーリングリストを開設し、“ウェブデザイン”“コンテンツ”“事業計画書作成”などの分科会に分かれて議論を深める。また公式サイト内にギャラリースペースを設け、クリエーター志望の学生が作品を発表できる場として整備する。

さらに5月以降、事業計画が認められた学生に対し学内のオフィススペースとサーバーを無償で提供する計画もある。自前で用意するのが難しい電子決済システムもサポートしていく予定という。

このほかマーケティング方法やビジネス立ち上げを学ぶセミナーを開催。ベンチャー企業に学生を派遣するインターンシップや、クリエーター向けの作品コンテストも実施する予定だ。

これらプロジェクトの企画や実施には、同大学出身のベンチャー経営者に協力を依頼する。参加は登録制(無料)だが、同大学の学生や卒業生以外でも自由に参加できる。プロジェクト代表は同大学理工学部教授の村岡洋一氏。運営には起業支援のNPOである“ETIC”のスタッフが参加するほか、ボランティアの学生も積極的に関わっていく。運営費はシスコシステムズ(株)や日本アイ・ビー・エム(株)ら大手企業の協賛金でまかなう。

「自分の道は自分で切り開け、それが在野精神だ」
Zaiya.comスタートを記念し、早稲田大学出身のネットベンチャー関係者を招いたシンポジウムが同大学で開かれた。

シンポジウムは、早稲田大学国際会議場の井深大記念ホールで開かれた
シンポジウムは、早稲田大学国際会議場の井深大記念ホールで開かれた



まずビットバレーアソシエーションのディレクターである松山太河氏が、インターネット革命の意義について講演を行なった。松山氏は「インターネットへの注目は、ほとんど“ニューエコノミー”といった経済面にのみ集まっている」として金がらみの話題が先行しがちな状況に苦言を呈した。その上で「インターネットは社会全体を変革する力がある。仮にインターネットが世界に100%普及すれば、国境がなくなり戦争も抑止できるかもしれない。若者が持つ自由を活かし、インターネットによって実現する“幸せな社会”づくりに取り組んでいくべき」と主張した。

松山太河氏
松山太河氏



Zaiya.com代表の村岡氏は、同プロジェクトの狙いを解説した。村岡氏は「早稲田には、明治以来優れた人材を送り出してきた在野精神の伝統がある上、サーチエンジンの“千里眼”など技術力も持っている。これらの力が爆発したのがZaiya.comだ」と述べ、早稲田の持つポテンシャルを活かすプロジェクトであることを力説。「Zaiya.comは誰にでも開かれている。学生はロートルに負けるな」と学生に向かって檄を飛ばした。

Zaiya.com代表で理工学部教授の村岡洋一氏
Zaiya.com代表で理工学部教授の村岡洋一氏



早大出身のネットベンチャー関係者によるディスカッションも行なわれた。まず(株)クリエイシオン代表取締役の高木利弘氏は、「故・井深大氏(ソニー(株)創業者)や西和彦氏((株)アスキー創業者、現取締役)のように、早稲田にはベンチャー経営者を生み出すポテンシャルを持っている。Zaiya.comではオープンなコミュニティーを作り出し、起業家志望の学生を参加者全員で育てていってほしい」と呼び掛けた。

就職活動情報コミュニティーサイト運営の(株)ジョブウェブジャパン社長の佐藤孝治氏は、「ジョブウェブを立ち上げた時は、サークルの部室や親のオフィスを借りるなど、常に事業に取り組める場所があった。Zaiya.comが場所を提供するのはいいことで、そこで大勢の仲間やベンチャーの先輩と出会うチャンスも生まれる」と新プロジェクトを歓迎した。

クリエイシオン代表取締役の高木利弘氏(右)と、ジョブウェブジャパン社長の佐藤孝治氏
クリエイシオン代表取締役の高木利弘氏(右)と、ジョブウェブジャパン社長の佐藤孝治氏



また“アクセス向上委員会”を運営する橋本大也氏は、「学生当時は1日10時間以上、食事も取らずにウェブサーフィンをし続け、それが今の仕事につながっている。学生はヒマなんだから、もっと好きなことを好きなだけやってもいい。社会も大目に見てくれる」と学生に奮起を促した。

Zaiya.comの運営に関わるNPO・ETIC代表理事の宮城治男氏は、「演劇や音楽など、好きなことをやっていた仲間が、次々と大企業に入社したりするのは残念な思いがあった。私は“在野精神”とはアントレプレナーシップ(起業家精神)、つまり自分で自分の道を切り開いて生きていく精神だと解釈している」と語り、意欲ある学生の登場を期待した。

“アクセス向上委員会”の橋本大也氏(右)と、ETIC代表理事の宮城治男氏
“アクセス向上委員会”の橋本大也氏(右)と、ETIC代表理事の宮城治男氏

(編集部 小林伸也)


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