日本ユニシス(株)は6月15日、同社が推奨するエンタープライズシステムの新プラットフォーム“Windows
Data Center”について紹介する“Unisys e-@ction Forum 2000”を都内ホテルで開催した。
特別基調講演“Mega Presentation”には、米ユニシス社会長、社長兼CEOのLawrence
A. Weinbach(ローレンス・A・ワインバック)氏、米マイクロソフト社会長兼チーフソフトウェアアーキテクトであるBill
Gates(ビル・ゲイツ)氏、日本ユニシス代表取締役社長の天野順一氏が登場するとあって、会場は1500名の来場者で溢れかえった。会場に入りきれなかった人たちのために、講演を同時中継するTVモニターを用意した別室が3部屋が設けられ、そこにも500名ずつ計1500名が来場。合計3000名もの人が講演を視聴した。
総合受付の長蛇の列 |
「サーバーを支配するOSはWindows」とワインバック会長
トップバッターのワインバック氏は、ユニシスのe-business戦略について講演した。米ユニシス社会長、社長兼CEOのLawrence A. Weinbach氏 |
「e-business環境においては、まず拡張性が重要。e-business環境ではアクセス件数に応じた拡張性がなければならない。そのためメインフレームと同様の能力が必要。次に可用性。24時間365日利用されるので、可用性が重要となる。そしてセキュリティーだ。e-businessは高成長が続いており、その中で成功するためにはどれだけはやく成長できるかが重要。それが企業のビジネスそのものを加速化していく」
「ユーザーはビジネスの問題を解決するソリューションを必要としている。そのためにはスピードが何より重要。ユニシスの“e-@ction”は、ユーザーが必要としているニーズを満たすためのもの。e-businessは今後消えるものではなく、われわれとともにあるもの。今後は生活の一部となるだろう」
「ユニシスは、e-businessにおいて、オープンなテクノロジーが不足していると考えた。ユーザーはオープンなプラットフォームを必要としている。ユニシスはCMPアーキテクチャーによってオープンな環境を実現し、サーバーにそれを採用した」
「サーバーのトレンドとして、インテルがチップマーケットを支配するだろう。そして、Microsoft
Windows 2000が支配的なOSになるだろう。現在Linuxが何かと取り上げられているが、LinuxはUNIXの別物。複数のLinuxが出てくれば、以前、複数のUNIXがあったときと同じような状態になるだろう」
「Windowsが支配的なOSになるという考えが、マイクロソフトとのパートナーシップにつながった。お互いを補完しあいサポートしあえる関係となっている。Windows
2000をエンタープライズ分野にまで持っていけるよう、互いに協力し合った。共同コンサルティングやサポートも重要と考え、ワールドワイドでWindows
2000の検証センター“Center of Excellence”を開設している」
「エンタープライズ分野におけるパートナーシップはインテルとも行なっている。マイクロソフトとインテル、ユニシスは完璧なパートナーシップを組んでおり、それぞれが3社のためになるものを提供している。その結果がEnterprise
Server 7000(ES7000)だ。ES7000は、ユニシスのメインフレーム性能を備えており、OSはWindows
2000 Datacenter、チップはItaniumがそれぞれ利用できる」
「われわれはマイクロソフトとともにWindows 2000をエンタープライズの世界に移行している。これで本物のビジネスが実現するだろう。ES7000がユーザーのすべての課題を解決する。価格設定もまったく新しいものだ。価格性能比をみると、サンのEnterprise
1000と同性能で価格は3分の1だ。この価格の問題は重要。ES7000は日本でも成功するだろうと確信している」
「エンタープライズ分野に革命を起こす」とゲイツ会長
続いて来場者待望のゲイツ氏が壇上に登場した。ゲイツ氏は“Microsoft And Unisys 激変するビジネス環境へのソリューション”と題し、マイクロソフトのe-business戦略、およびユニシスとの協力関係について講演した。米マイクロソフト社会長兼チーフソフトウェアアーキテクトであるBill Gates(ビル・ゲイツ)氏 |
「インターネットテクノロジーはビジネスを変化させており、今まで以上に新たなる性能、信頼性が要求されている。マイクロソフトとユニシスで、メインフレームとPCのよいところを融合させたものを作り上げた」
「インターネットテクノロジーは今や成熟した段階に入ろうとしている。企業はデジタルエコノミーへの移行が重要であり、そのためには信頼性にフォーカスを絞らなければならない。そのため信頼性の高いサーバーが利用される」
「ユニシスとマイクロソフトは信頼性の高いサーバーを実現するために手を組んだ。これは新しいオンラインエコノミーの中心となるだろう。われわれは、性能や価格で“Data
Center”の革命を起こそうとしている」
「ハードウェアの進化によって、インターネットはますます普及する。今後10年はもっと大きな期待が持てるだろう。ブロードバンド接続や無線接続が普及し、PCも強力になる。携帯電話も活躍するだろうし、デジタル会議やデジタル学習も普及するだろう。これらすべてを、Data
Centerで扱わなければならない」
「われわれの製品は、ユーザーが要求する厳しい基準を満たしている。実現できたのも各社とパートナーシップを結んだからだ。特にユニシスとは強力なパートナーシップを展開している。今後のData
Centerにはより強力なハードが必要であり、複数のサーバーを組み合わせて、処理の負荷を分散させることも重要だ。例えばウェブサーバーは、常時稼動していなければならない分、信頼性において、過去のメインフレームへの要求より、ウェブサーバーへの要求のほうが厳しいものとなる。このような厳しい要求下において、われわれの製品は大きな性能を発揮する」
世界初、インテルCPU×32基を搭載したES7000実機デモ
講演会場では、ES7000の実機デモが行なわれた。利用したES7000は、CPUにPentium III Xeon×32基と、メモリーを32GB搭載したもの。OSはWindows 2000 Datacenter Server。32CPUを搭載したデモは世界初となる。デモ内容は、ES7000上で、Amadeus/ITA Software社製の航空運賃検索システムを実行するというもの。ワールドワイドレベルで2拠点間を結び、最適フライトルートと最低航空運賃を計算する。
最初に、平日での運用を想定しシステム処理に8CPUを割り当て、1日当たり45億回のルート割り出し計算を行なった。次に、週末運用を想定し、CPUを16にまで追加で割り当てた。CPUを追加割り当てする際は、“ジョブオブジェクトマネージャ”を利用し、即座に8から16のCPUが稼動、負荷も均等に割り当てられた。
続いて、ピークシーズン時を想定し、32CPUの稼動デモが行なわれた。16CPUから32CPUに割り当てられると、1日当たり165億回のルート割り出し計算処理が実演された。
講演の最後には日本ユニシスの天野社長が壇上に上がり、「ユニシスのビジョンは、ユーザーに最高のe-business環境を提供すること。これまで“信頼のユニシス”と言われてきたが、今後はその信頼を活かしつつ、最新技術を採用しユーザーンの課題を解決していく。“先進”と“信頼”を融合した製品とサービスを提供する」と締めくくった。
日本ユニシスの天野社長 |
講演の司会は元日テレアナウンサーの米森麻美さん |
同フォーラムでは、上記の基調講演を始め、Windowsによるエンタープライズシステムの構築事例や、Windows
Data Centerのビジネスモデルなどを紹介するさまざまなセッションが行なわれた。ゲイツ氏の効果か、予想を上回る受講の申込があったという。