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三沢にも傍受基地!? 世界的な通信監視ネットワーク“エシュロン”の実態を報告する国際シンポ開催


2000年7月25日

米国主導の世界的盗聴ネットワーク“ECHELON(エシュロン)”(コード名)による通信監視の実態を報告する国際シンポジウムが、18日に都内で開催された。主催は市民団体のJCA-NET(市民活動のための通信NGO)。協賛は、進歩的コミュニケーション協会(APC)、ネットワーク反監視プロジェクト(NaST)、盗聴法の廃止を求める署名実行委員会。このシンポジウム“[エシュロン]を知っていますか?”では、日本で8月に施行される予定の通信傍受法(盗聴法)に反対するアピールも同時に行なわれた。

日本の三沢基地にもエシュロンの施設
エシュロンについて報告したのは、英国のTVプロデューサのダンカン・キャンベル氏。エシュロンは、'98年に欧州議会に提出された科学技術に関する報告書の中で言及されており、またキャンベル氏がエシュロンに関するレポートを'98年8月に発表したことなどから、注目されるようになったという。

キャンベル氏は、各地の通信傍受基地の画像を見せながら、エシュロンの実態について説明。エシュロンでは、電話だけでなく、電子メールなどインターネット上のデータ、通信衛星など、ほぼすべての通信の監視が可能という。この世界的な盗聴の連携は、'47年の英国と米国の協定から始まり、その後に、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドが加わった。冷戦体制下の当初は、軍事目的での通信傍受だったが、現在では経済活動や外交的な情報、労働運動など、ターゲットを変えて傍受は続いているという。

「エシュロンの施設は別の用途と称して秘密に建設される」と、ダンカン・キャンベル氏
「エシュロンの施設は別の用途と称して秘密に建設される」と、ダンカン・キャンベル氏



青森県三沢市にも、実はエシュロンのための施設が米軍基地内にあるとされている。「施設のコードネームは、“LADYLOVE”(コード名に深い意味はない)。冷戦後に、ソビエト連邦側の人工衛星の数が減ったにも関わらず、三沢のパラボラアンテナの数は増え続けた。現在ではソビエトではなく、他の国の人工衛星の傍受をしていると見られる」と、キャンベル氏は説明した。

一方、APCのメンバーで、英国で盗聴法反対運動を展開するクリス・ベイリー氏は、電話による盗聴法が法制化され、法律が拡大されEメールなどに適用範囲が拡大しつつある英国の現状を紹介した。

「インターネットは市民の権利を守るため、これまで大きな役割を果たしてきた。インターネットにおける自由の権利を守るために、市民は連帯して世界的な検閲と闘わなければならない」と、クリス・ベイリー氏
「インターネットは市民の権利を守るため、これまで大きな役割を果たしてきた。インターネットにおける自由の権利を守るために、市民は連帯して世界的な検閲と闘わなければならない」と、クリス・ベイリー氏



「エシュロンを利用すれば、Eメールの傍受は簡単にでき、どのWebサイトを見ているか、誰としゃべっているか、インターネット上でどういった通信をしているかがすぐに分かる。日本でも、通信傍受法が施行されれば、これが現実となるだろう」と警鐘を鳴らし、インターネットでの自由と平等を勝ち取るための国際連帯を訴えた。

プライバシーや国家統制の問題に対し、国民の反応が鈍い韓国の事情
韓国の市民運動/NGOのための“進歩ネットワークセンター”のスタッフ、オ・ビョンイル氏は、韓国で住民登録証をIC化することによるプライバシーの侵害や国家による国民統制の危険性についてレポートした。韓国では、'68年より住民登録証の携帯が義務づけられており、これには氏名・生年月日、顔写真のほか、指紋などの情報が含まれるという。

「政府は町内会などを動員し、住民登録証をプラスチック製に切り替えるように、強力に政策を進めている。私自身、なぜプラスチック製にしないかと両親に問い詰められる」と、オ・ビョンイル氏
「政府は町内会などを動員し、住民登録証をプラスチック製に切り替えるように、強力に政策を進めている。私自身、なぜプラスチック製にしないかと両親に問い詰められる」と、オ・ビョンイル氏



'95年に、この住民登録証をICカード化するという動きが出てきた。ICカード化されると、住民登録証のほか、運転免許証、謄抄本、国民年金証書、医療保険証、印鑑証明など7つの分野、41項目、さらに141の細かい情報が埋め込まれるという。これにより、個人情報が今後大量にIC化され蓄積され、さらにネットワーク上に流出される危険性があることなどから、ICカード化に対する市民の反対運動が広がった。

市民の反対によりIC化は、'99年2月に取り下げられた。しかしその後、代わりに、これまで紙だった住民登録証がプラスチック化された。氏によれば、プラスチックでの発行システムや形態などは、ICカードのそれと類似しており、これをステップにいつでもIC化できる状態という。プラスチック化に対しても反対運動を展開したが、「韓国は'68年から住民登録証があるという事情から、プライバシーに関する市民の意識が希薄で、反対運動は広がらなかった」という。氏本人の住民登録証を含め、旧来の紙の住民登録証は今年6月で失効したが、これからも、反対運動は継続していくとしている。

インターネット上の情報に関しては、今年5月に、「金正日将軍を統一の広場に厚くもてなそう」という革命的内容の匿名文書が、労働・社会団体系の複数のホームページに掲載され、情報通信倫理委員会から、削除要求を受けたという。

氏が所属する進歩ネットワークセンターでは、ホームページのコンテンツそのものに同意はしないものの、コンテンツに違法性はなく、著しく誤った内容を流しているわけではないので、削除要求は不当という立場をとった。しかし、「驚いたことに、情報通信倫理委員会の削除要求に反対立場をとったのは私たちだけだった」という。

「青少年保護といった建前などのもと、インターネットを規制しようとする当局の動きがあるが、個人の情報が国によっておびやかされることに私たちは反対する。こうした問題は、情報の基本権、すなわち人権の問題であると私たちは考えており、政府当局からの介入を憂慮する。私たちは、韓国において個人の自由、表現の自由のために今後も闘っていく。日本でも盗聴法を無効化すべく闘うことを望む」と締めくくった。

会場には、通信傍受法に関心を持つ市民らが集まった
会場には、通信傍受法に関心を持つ市民らが集まった

(若菜 麻里)


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