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【INET2000 Vol.8】スクールネット―ヴァーシティネット―ウーズィーネット。アフリカのネットワーク教育プロジェクトとは!?


2000年7月31日

パシフィコ横浜で開催された“INET2000”。そのサテライトイベントとして“すべての人のためのインターネット展〜Internet is for Everyone”が開催された。このイベントはネットワークにも生じているバリアフリーの壁を取り除くことを目的とし、ISOCの理事である村井純氏の提案とさまざまな団体の協力によって実現したものである。本稿ではそのシンポジウムから“教育とインターネット”を紹介する。

講師をつとめたのは、早稲田大学教育プロジェクト・ジェリック(Japan Education Resource Information Center)のディレクターである宮澤賀津雄氏と、National Coordinator,SDNP Cameroonのワワ・ネグンダ氏の両名。まず、宮澤氏から日本でのネットワーク教育に関するプロジェクトの状況が報告された。


宮澤氏は日本のネットワーク教育の状況について「教育の中身と産業構造は連動していて、ライフスタイルそのものでもあることを念頭に置いたプログラムが必要」とした
ネットワーク環境が整う前に学ばなければならないこと

  '94年から'98年の第1フェーズでは、“100校プロジェクト”や“こねっとプラン”などが実施され、ネットワークを校内に取り入れる実験が行なわれた。次に'99年から2003年の第2フェーズでは、そこに教育が加わり、高校で“情報”の教科ができるといった動きが始まる。それに伴い、各教室にパソコン2台とプロジェクターが配備される予定もあるそうだ。また、3万9000校ぶんのドメインと生徒のアドレスを発行する必要についてはed.jpを順次発行しているそうだ。

日本では情報公開の意識が薄く数字資料を見る機会が少なく、こうしたデータは貴重なものとなっている

「物理的な問題よりも大切なのは、学校にネットワーク環境が整うまでに、セキュリティーやモラル、といったネットワークのルールを学ぶことです。日本ではインターネットを、コミュニケーションツールと課外リソースを得るためのツールという2つの視点で取り入れていくつもりだが、外部と接触することで、さまざまな問題が起きるでしょう。それを解消するには経験の積み重ねが必要で、これから情報を共有していかねばならないのです」

学校にネットワーク環境が整うと、それらが与える影響は思った以上に大きいことを、宮澤氏はさまざまなプロジェクトを通じて経験してきた。

「今まで校内だけの教育だったのが、インターネットで外とアクセスすることで、日本人であること、“個”であることを突きつけられるようになる。そこで学生たちは本当の意味での“個の尊重”を考えるようになる。そうした新しい意識に対応できる教育システムを考えていかないと、矛盾が生じることになります」

3つの高校をCU-SeeMeで結んで行なわれたネットワーク実験の様子。こうした現場では学生達の顔も生き生きしている
 

また、それ以上に影響を受けるのは先生たちで、ただ教える立場から一緒に考えるコーチ役になり、生徒との関係そのものが変わっていくという。しかも、教える内容が情報をどう得て、加工するかといった今までないものに直面するわけだ。

「新しい変化に対して先生も今から勉強を始めていますし、指導ポイントも具体的に検討しています。けれども先生の力だけではなく、今後は教育を地域活動の一部にするぐらいになってほしいですね」

学校卒業後もネットワーク環境を提供しつづけるアフリカのプロジェクト

   続いてネグンダ氏からは、昨年、アフリカで行なわれたネットワーク教育プロジェクトが紹介された。人口の半分が25歳以下のアフリカ地域では、教育システムを変えていくことが、国そのものを変える影響を持つ。平和を考えるには社会、経済の素地を築く教育システムが必要になるわけだ。

昨日に続いて、アフリカ地域でのインターネット教育の現状について報告したネグンダ氏

そこで教育コンテンツを立方体に見立て、技術、インフラ、資金というそれぞれをベースとした上で、教育の仕組みそのものを積み重ねていくという発想をしている。具体的には、高校までをスクールネット、大学までをヴァーシティネット、卒業後をウーズィーネットというように、ネットワーク環境を提供し続け、情報から切り離されるのを防ぐようにしている。

ネグンダ氏は教育システムを立方体にたとえ、それぞれの方向性からのアプローチを組み合わせることが大切とした

「せっかく教育を受けてもネットワークから切り離された途端に情報格差が生まれ、次世代へつながらなくなるのです。逆にネットにつながり続けていれば、そこで勉強することは可能です」

こうしたネットワークを維持するためにネグンダ氏らは世界を奔走し、パートナーシップを得るための活動を続けている。

「スクールネットはアフリカではかなり進行しています。英国政府からは25万台のパソコンを、米国からも資金援助を受けています。次のステップでは、そうした資源をベースに知識をアフリカ全体に拡大していきたいと思っています」

ネグンダ氏の話は、遠い文化も異なる状況での話だが、興味深いものであった。インターネットではさまざまな情報が手に入れられるが、それを得るためのきっかけも必要だ。こうした機会が今後も増えていくように自分たちの国はもとより、他国の事例に興味を持って欲しいと、ネグンダ氏は最後を締めくくった。

(野々下裕子)


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