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JASRACとNMRC、インターネット音楽配信サービスにおける著作権使用料規定を策定

2000年08月17日 22時14分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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(社)日本音楽著作権協会(JASRAC)とネットワーク音楽著作権連絡協議会(NMRC)は17日、インターネット音楽配信サービスにおける著作権使用料規定を策定し、8月4日に文化庁長官に認可申請を行なったと発表した。'98年11月に策定された“暫定合意”の内容をほぼ踏襲し、さらに、非営利の法人/団体や個人による非商用配信(無料配信)に対する規定を盛り込んだ。

左からNMRC代表の佐々木隆一氏、JASRAC常任理事の加藤衛氏

認可申請された主な内容は以下のとおり。

●ダウンロード形式
・1曲ダウンロードするごとにいくらという情報料がある場合:1曲1リクエストあたりの情報料の7.7パーセント、または7円70銭のいずれか多い額に対し、月間の総リクエスト数を乗じた額(※1)
・情報量がなく、広告料などの収入がある場合:1曲あたりの月額使用料は、6円60銭に月間の総リクエスト数を乗じた額
・情報料や広告料などの収入がない場合:1曲あたりの月額使用料は、5円50銭に月間の総リクエスト数を乗じた額。非営利の法人が非商用目的で使用する場合で、リクエスト数の算出が困難な場合は、10曲までにつき年額5万円。個人が非商用目的で使用する場合で、リクエスト数の算出が困難な場合は、年額1万円

※1 携帯電話やPHS用の着信メロディ再生専用データの場合、総再生時間が45秒以内のデータは、5円に月間の総リクエスト数を乗じた額

●ストリーム形式
・情報料または広告料などの収入がある場合:月額の情報量および広告料などの収入に0.8~3.5パーセントを乗じた額
・情報料や広告料などの収入がない場合:1番組あたり年額5万円。非営利の法人が非商用目的で使用する場合は、年額3万円。個人が非商用目的で使用する場合は、年額1万円

非商用配信に関する規定の実施は2001年4月1日。例えば個人ユーザーの場合、年額1万円、毎月833円程度の負担がかかる(※2)。この使用料の設定基準についてJASRAC送信部部長の菅原瑞夫氏は、NMRC加盟企業などにアンケート調査を行なったところ、「インターネット接続料金などと比較して、この線で妥当だろうと了解が得られた」と説明した。

※2 市販のCD音源をホームページで公開する場合、音楽の著作権のほか、著作隣接権者(実演家、レコード制作者、放送事業者など)の許諾も必要となるので、実際にはそれ以上の負担になる

JASRAC側は、個人ユーザーの非商用利用に明確な基準を設けたことについて、一つの大きな意義を見い出している。JASRAC常任理事の加藤衛氏は、策定の経緯について、「“Napster”や“Gnutella”に見られるように、“インターネット上での音楽は無料”という感覚に染められている。かなりの抵抗があろうかと思うが、そこに使用料規定を定めて、合法的に使う窓口を設けて啓蒙していかなければ、違法なファイルはなくならない」と説明した。

適用期限は2002年3月31日まで

8月現在のNMRC加盟団体は、(社)音楽電子事業協会、(社)デジタルメディア協会、(社)日本テレコムサービス協会、電子ネットワーク協議会、日本インターネット協会、日本インターネットプロバイダー協会。(社)日本レコード協会は、'99年3月にNMRCより退会している。JASRACによれば、退会後に3回ほど協議を行なったが、著作権使用料の割合について双方の主張が折り合わず、「妥協する余地がなかった」(加藤氏)という。

加藤氏は、レコード協会側の意見について、「(今回の使用料規定に盛り込まれている)公衆送信権は経済的に評価できない。パッケージCDと同じく6パーセント、さらに20パーセントオフで4.8パーセントにせよという主張であった」と説明した上で、「海外でも、公衆送信権を使用料として評価している。今回の内容について理解は得られなかったが、文化庁の審議の中で、レコード協会が意見を述べる機会もあるだろう」と語った。

今回発表された規定の適用期限は、平成14年3月31日まで。関連技術の進化により、新たな配信形態、ビジネス形態が次々に登場するのは必至であり、「未来の配信方法について引き続き協議する」(NMRC代表の佐々木隆一氏)という。

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