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コンピューター技術満載の未来のハイテクスポーツ商品とは!!

2000年08月24日 01時14分更新

文● 編集部 井上猛雄

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ミズノ(株)は21日、東京・港区のヴェルファーレにおいて、ハイテク技術を満載した野球用具のコンセプトモデルを発表した。これは“Dare to Dream2020 未来を、夢をかたちに”をテーマに、新素材などの技術進歩により20年後の野球シーンがどのように変化するのかを考えるイベント。

自分の力を最大限に発揮できるコンセプトモデル

実は同社では'80年にも未来の野球用品として“2001年モデル”を発表している。このときのコンセプトモデルには、音声合成LSIを利用してベンチからバッターとランナーにサインを伝達する通信システムや、コンピューター技術を駆使したバーチャル投球練習機などがあった。

20年の歳月を経たいま、新素材の技術やコンピューターの発達により、技術的にも実用化が可能になったモデルもたくさんある。今回はスポーツをする上で自分の力を最大限に発揮できるようにするサポート商品を考案した。これらのコンセプトモデルのなかでコンピューターやデジタルに関連するものとしては、ムーバルセンサーシステムを使って、選手の足に合わせた形状にフィットし、爪の角度も変化するスパイクや、GPSシステムを利用し、コース攻略に有用な情報を蓄積、衛星からプレイをモニタリングする自走式ゴルフカートシステムなどがある。

発表会全景。来場者はプレス以外に一般客も参加して満員

ウェアラブルコンピューターのようなユニフォームで野球を

一方、野球関係では、巨人の松井選手が未来野球に託す夢を元に、野球グラブ、バット、スパイク、ユニフォーム、プロテクターなどのコンセプトモデルが展示された。

商品全景。一見するとサイボーグのような感じを受ける。2020年には野球のルール自体が大きく変化しているかもしれない

以下に実際に展示してあったコンセプトトモデルを紹介する。

ヘルメットのツバの部分にはCCDカメラが設置してある。バッターの視野をスクリーンに映し出し、観客がバッターになったような臨場感を味わえる。バットは打撃時の衝撃を吸収するためのアブソーバーや、日本伝統の刀の柄をヒントにした“サムライグリップ”なるものまで装備している。キャッチャーのプロテクターは脱着式のバイオパーマ。戦絡的なさまざまなデータを映し出せるように、キャッチャーの目元にはウェアラブルコンピューターのような装置が付いている。キャッチャーのユニフォームもクロスプレイに対する保護を万全にするために、アブソーバーなどの工夫がなされている。

ユニフォームのパワーベルトは、腹部を締めつけることにより打撃をサポートする
手袋とグラブにレールを設け、グラブ本体をはめると連結する構造。グラブが手と一体化する。素材は特殊樹脂を使用し、350gと軽量
スパイクは爪の角度が変化。“かかと”にあるパーソナルデータ受信ポイントから、足のフィティングデータをインプットする。タッチセンサーに触れるとアッパー甲部の人工筋肉に電流が流れ、最適なフィット感が得られるように収縮

F1のテレメトリーのように、無線で選手に指示を与える!?

2部のパネルディスカッションでは、司会に青島健太氏と栗原由佳氏が登場した。また、ゲストパネラーとして、スポーツキャスターの田尾安志氏、タレントのダンカン氏、雑誌『Number PLUS』の阿部雄輔氏が招かれた。青島健太氏、田尾安志氏ともに元プロ野球選手として活躍した人物。ダンカン氏も無類の野球好きとして知られている。ミズノ(株)代表取締役の水野正人氏とともにユーモアを交えながら未来の野球について語り合った。この模様はインターネットライブ中継により放映された。

水野氏は「これらのコンセプト商品は決して実現できないものではない。新素材の進歩や技術革新により可能となるだろう。ルールを無視するわけではないが、発想に制限を加えないように、一旦ルールを外してコンセプトモデルを考えてみることにした」と、コンセプトモデルの基本的な考えかたを明らかにした。

右からキャスターの青島健太氏と栗原由佳氏、ミズノ(株)代表取締役の水野正人氏

20年後の未来野球に関するゲストパネラーの意見として、「スポーツの発達はコミュニケーションツールの発展によるところが大きいと思う。F1のテレメトリーのように、無線でデータを飛ばして、選手に指示を与えることもできるようになるのではないか?」(阿部氏)、「デフェンス(守備)、オフェンス(打撃)のみを専門に行なう請負人ルールなどが登場するかも」(ダンカン氏)というように、スポーツ商品ばかりではなく、ルール面や戦略面での変化も十分ありえるという指摘もあった。

左からスポーツキャスターの田尾安志氏、タレントのダンカン氏、雑誌『Number PLUS』の阿部雄輔氏

なお、同社では、未来の様々なスポーツ用品のアイデアを提言する“ミズノ未来スポーツ研究所”というWebを8月1日よりスタートした。このサイトで'81年当時の未来商品の紹介や、2020年のコンセプトモデルのアイデアを公募している。期間は8月21日から12月31日まで。

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