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第11回マイクロマシン展開催――10年の研究成果が出揃う


2000年11月9日

8日から10日までの3日間、東京/北の丸公園の科学技術館で“第11回マイクロマシン展”が開催されている。マイクロマシンとは、ミリ単位以下の微少加工技術を使って製作されるメカのこと。人が近づけない場所での検査/修復作業や人体内部での治療などさまざまな分野での応用が考えられている。

会場には超小型ロボットやデバイス、生産技術などさまざまな展示が行なわれた。マイクロマシン展は、回を重ねるごとに規模が大きくなっており、今回は過去最多の93出展社が参加した。

三菱、松下、住友の細管検査システム。5×9×6.5mmサイズのマイクロマシン10台を連結してパイプのまわりを囲んだところ。この状態のまま上下回転しながらパイプの傷を発見する。茶色く見えているのはメカ同士を連結するマイクロコネクター

マイクロマシン技術は、通産省が主導する“マイクロマシン技術の研究開発プロジェクト”として、この10年来プロジェクトに参加する主な企業で重点的に開発が続けられてきている。今年はプロジェクトの最終年となるため、今回のマイクロマシン展はその成果発表の場にもなっている。

また、マイクロマシンはロボットと同じく日本が世界をリードする分野であるが、米国政府が国を挙げて注力すべき3つの技術分野のうちの1つとして挙げたことでも注目されている。展示された中から注目の技術をいくつかピックアップして紹介しよう。

三菱、松下、住友が細管検査システムを展示

三菱電機と松下電器産業、住友電気工業の3社が開発に当たっているのが『細管群外部検査試作システム』だ。発電所の蒸気発生管のように林立する細管群の傷の検査を目的に開発されているものだ。細管群の間を移動するために普段は個々のマイクロマシンで行動するが、検査時には複数のマイクロマシンを連結して行なうのが特徴だ。

ひとつひとつのメカの大きさは5×9×6.5mm。重さは0.5gというもの。このサイズに駆動デバイスと減速走行デバイス(ギアボックス)を搭載しており、メカ同士は電磁コイルを応用したマイクロコネクターを利用する。今年は減速走行デバイスを改良して、トルク伝達効率の目標値(10%)を達成したほか、メカの上からCCDカメラで撮影し、動きをフィードバックしての狭いところの移動や、傷を探す“探傷センサー”を搭載しての検査の様子などを公開した。


パイプに開けた穴(傷と想定)を探傷センサーで探し当てるデモ。実際には群となって移動する

連結される10台のうち実際に駆動するものが赤い色の4台。うち1台が検査を行なう。ほかのメカは連結のためのダミーメカだ

5×5mmの大きさの減速走行デバイス。マイクロモーターの出力から移動に必要なトルクを得るためのギアユニットが必要になる。厚みは1mm。当然1mm以下のギアや部品が複数使われている

駆動デバイスに使うマイクロ電磁モーター(左)とマイクロ探傷センサー(右)。モーターの軸径は1.6mm。センサのサイズは0.4×0.95×2mmというサイズだ。モーターには三菱のマークが加工されている

上からカメラでメカを認識して動きをコントロールするデモも行なわれた。ひとつひとつの円柱が細管を表しており、その間隔は約10mmに設定されている
オリンパス。オムロン、村田は機器内部の検査システムを紹介

オリンパスとオムロン、村田製作所が共同で研究しているのが『機器内部作業試作システム』だ。タービンなどの複雑な内部形状を持つ機器を分解することなく内部検査や補修作業を行なう内部点検用メカに必要な技術を開発している。


オリンパスとオムロンと村田製作所の内部作業システム。先端の2本のアームは形状記憶合金製で溶接デバイスが取り付けられている。アームの間にモニタリングデバイスがある

公開されたメカは0.8mm径の湾曲ユニットの先端に、モニタリングデバイスと姿勢検出デバイス、補修用マニピュレーターを集積したもの。昨年まで個々に開発されていたものを一体化させることに成功した。複数のアナログICを集積したパターンシートに各デバイスを実装、シートを3次元的に折り曲げることで先端部分への実装を実現している。


先端部分の拡大図。ほんの指先大のサイズに複数のユニットが集積されている。写真の左が展開されたモジュール

オムロン製のモニタリングデバイスは、ライトを備えたカメラと、温度や重力を感知する複数のセンサーを集積したもの。サイズは2×4×3mm。小型化のために複数の機能基板を積層して3次元的な配線を行なっている。


モニタリングデバイスのデモ。中央白いチップの上に赤く光っているのがそれ。赤い光源を当てて対象物を読み取っている

上記のデモを別方向から見た様子

上記のデモで認識された画像をパソコン側で表示したところ。0.5mm以下の解像度を持っている

モニタリングデバイスは2×4×3mmで6枚の基盤を積層したもの。3次元に配線が行なわれている

そしてさらに村田製作所製の姿勢検出デバイスを組み合わせることで、先端からの映像を見ながら微少な動きを制御しつつ、形状記憶合金製マニピュレーターの先端に取り付けられた溶接デバイスで損傷箇所の簡易修復が可能になっている。

オリンパスはこのほかにマイクロマシンの組み立てに必要な機能を集積した『組み立て計測ステーション』や、超小型の感圧/感触センサーなどを展示していた。


オリンパスの組み立て計測ステーション。拡大されたモニタを見ながらスティック操作でマイクロマシンの組み立てや計測などが行なえる。カメラは倍率50倍、マニピュレーターは10mmのストロークを実現している

(浅野純也)


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