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ACCS、2001年度の著作権侵害対策事業について説明――ゲーム無断改造ツールの使用は違法

2001年02月16日 19時19分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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(社)コンピュータソフトウェア著作権協会(以下、ACCS)は16日、2000年度第2回通常総会を開催、同日報道関係者向けに今後の事業計画などを発表した。

ACCS理事長の辻本憲三氏((株)カプコン代表取締役社長)「2001年度は中古ソフト販売をどうするか結論を出さなければならない。新しいデジタル時代を迎える中で、著作権をどう守るか、ライセンスの集中管理をどうやるかといった問題に取り組んでいく」

地方のIT講習会に遺憾の意

ACCSは2001年度の事業計画として、デジタル著作物の違法コピーが、プログラムそのものからコンテンツの権利侵害に広がっているとし、違法コピーや海賊版販売、インターネット上での違法アップロードなどの侵害行為に対する法的措置への支援活動を強化するという。また、従来からの組織内でのソフトウェア不正使用を撲滅するべく対策活動を強化し、刑事手続きでの違法コピー解決を行ないたいとしている。

アジア地域における海外版ソフト対策については、現地の実態を調査しながら取り締まり機関への摘発要請、情報交換を行なう。また、組織内でのソフトウェア管理を徹底するためソフトウェア管理手法の研究成果をACCSのガイドラインとして公表、普及を図るとしている。さらに、情報モラルを考えるウェブサイトを運営することでデジタル情報の著作権などに関する情報提供活動も行なう。

2000年度の刑事事件件数は、2001年2月14日現在で18件。内訳はインターネットによる海賊版提供が13件、無許諾レンタルが1件、その他が4件(秋葉原の海賊版路上販売、ホテルやまんが喫茶でのゲームソフト無断上映など)となっている。

200年度の民事事件は、ACCSへの報告件数が'98年5月からの累計が376件、うち2000年度の新規調査開始案件が177件。現在調査対応中の件数が172件、解決したものが204件という。なおACCSは、各省庁および地方自治体(約3300)に対し、ソフトウェアライセンスの再確認と情報モラル推進の依頼文を本日発送したという。これは、地方自治体などで行なわれている“IT講習会”を考慮したもの。各地の学校などで自治体が実施しているIT講習会で、ソフトをコピーして家に持って帰るなどソフトを自由に使えるようにしようという動きがあり、ACCS側は大変遺憾だという。ACCSは、提供側も国民側もライセンスについて認識を新たにしなければならないと警告している。

ときメモ裁判、改造ツール使用は違法と最高裁判決

ゲームソフトの中古品販売問題については、ACCS会員が当事者となっている2つの訴訟(東京高裁の上昇VSエニックス、大阪高裁のカプコン/コナミ/スクウェア/セガ/SCEI/ナムコVSアクト)の控訴審判決がいずれも3月に下されるが、ACCSは会員会社の裁判を支援しながらも、中古市場と新品市場が共存できるルールづくりに取り組むという。ACCSは中古市場を撲滅する気はなく、10月1日に施行される著作権等管理事業法に則った集中管理により、妥当な金額の中で許諾を与えるとしている。集中管理事業については、当面は中古ソフト販売やまんが喫茶を対象に行なうが、どのコンテンツをどのような形で集中管理するかは検討中だという。

また、2月13日に最高裁が『ときめきメモリアル』用の改造データ入りメモリーカード販売は違法であるとの判決を下した件について、この判決が業界に与える影響は大きいとしている。この判決は、ゲームストーリーを改変できる改造メモリーカードを使用することはゲーム著作者の有する同一性保持権を侵害するもの、すなわち改造メモリーカードを使うプレイヤー個人が同一性保持権を侵害するものとなり、その改造メモリーカードを販売することは、同一性保持権の侵害を惹起したもので違法であると判断がなされた。

ACCSは、この判決について、同一性保持権の侵害において家庭の中にも法の手が入るという判断であり、無断でデータを改造するという行為が著作権侵害であると説明、例えば複数ゲームソフトのムービー部分だけをつなげてオリジナルの映像を作成できるツールなどは差し止め対象となり、そのツールを家で使うと同一性保持権の侵害となる可能性があるという。ACCSはゲームの改造ツール販売元に差し止めを求めるとともに、上記の最高裁の判断をユーザーに広く伝えていくとしている。

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