米マイクロソフト社は19日(仏時間)フランスのカンヌで開催中の“2001 3GSM World Congress”において、スマートフォン向けWindows CE“Stinger”(スティンガー:コードネーム)のβ版を披露した。韓国のサムスン社やSendo社がStinger搭載携帯電話のデモを行なっており、これらのメーカーから2001年の秋にも製品が出荷される見込み。三菱電機(株)も自社製品へ採用すると発表している。
『Sendo Z100 Smartphone』 |
3GSM World Congressはヨーロッパで主流のGSM方式携帯電話に関するトレードショーで、23日まで開催される。マイクロソフトはStingerのほか、GSM方式携帯電話に関連する企業で構成される“GSM Association”への加入、WAP2.0やcHTMLに対応した携帯電話向けブラウザー『Mobile Explorer 3.0』、携帯電話キャリアーと共同でのモバイルデータサービスの実験開始についても同時に発表した。
Stinger
Stingerは、2.5G(2.5世代)と呼ばれる現在の携帯電話や次世代の3G携帯電話に、インターネット機能やPIM機能を備えたスマートフォン向けのOSプラットフォーム。携帯電話向けに最適化されたWindows CE3.0ベースのOSで、メモリー消費量を抑え、バッテリー寿命を延ばすとしている。208×240ドットまでのカラー/モノクロ液晶ディスプレー、SDカード、スマートメディア、メモリースティックなどの小型メモリーデバイスをサポートしている。動作するCPUは英アーム社のARMプロセッサー(60MHz以上)という。
そのほか、片手で操作することを前提としたユーザーインターフェース、SSL、XML、JScriptをサポートし、WAPやHTMLを意識することなく利用できるウェブブラウザー、ショートメッセージやボイスメールも統合した受信メールボックス、パソコンとの情報の共有などがサポートされるとしている。
Windows CEを搭載した三菱電機テレコムヨーロッパ社の『Trium』 |
3GSM World Congressでは、Stingerを搭載したSendo社のカラースマートフォン『Sendo Z100 Smartphone』のプロトタイプを展示している。Sendo社は2001年の秋に製品化の予定。三菱電機はグループ会社の三菱電機テレコムヨーロッパ社が発売している“Trium”(トリウム)ブランドのスマートフォンにStingerを搭載して、2001年中に市場投入することを19日にマイクロソフトと共同で発表した。
Mobile Explorer 3.0
Mobile Explorer 3.0は、HTML、WAP2.0、cHTMLをサポートし、それらで書かれたウェブサイトをシームレスに利用できる携帯電話向けのウェブブラウザー。3GSM World Congressで、サムスンがMobile Explorer 3.0を搭載した携帯電話を展示しており、2001年第2四半期に出荷を開始するという。また、フィンランドのベネフォン社やソニーデジタルテレコミュニケーションヨーロッパ社サポートを表明した。
サムスンのMobile Explorer 3.0搭載携帯電話 |
Mobile Explorer 3.0においては、WAPで規定されたセキュリティー手順“WTLS protocol 3”や“SSL 3.0”、ユーザーがいる地域の天気予報などWAPベースのプッシュ型コンテンツについてもサポートするとしている。