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ゲートウェイがBTOをやめる!?

2001年04月20日 13時05分更新

文● 編集部 中西祥智

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“限定仕様BTO”はBTOの実質的な廃止だ

20日に発売した『Gateway PERFORMANCE JS』シリーズは、2つの意味で日本ゲートウェイ(株)にとってのテストケースだといえる。1つは、日本市場向けの製品は、今後日本で開発することについて。そしてもう1つは、今後BTOをどうするかということについてだ。

『Gateway PERFORMANCE JS』シリーズは、ほとんどBTOが利用できない。ディスプレーとスピーカー以外の、本体内部の変更は一切できない。これは、コスト削減のためにBTOメニューを減らしたためだ。上級者向けの機種はともかく、初心者・中級者向けの機種では、BTOで選択される構成はほぼ数種類にしぼられる。それなら、その数種類を販売すればいいのではないか、という考え方である。また、日本ゲートウェイでは、過去のBTOによる情報の蓄積から、顧客の望む製品構成はほぼ予測できるとしている。

BTOメニューを減らした背景には、米ゲートウェイ社(Gateway,Inc.)の経営状況がある。昨年の第4四半期の業績の悪化により、1月31日(米国時間で1月29日)にジェフ・ワイツェン(Jeff Weitzen)氏がCEOを退き、創業者であるテッド・ウェイト(Ted Waitt)氏がCEOに復帰した。しかし、今年第1四半期の利益はゼロになる見込みだ。テッド・ウェイト氏は「より良い製品を、より低価格で」提供するとし、製造・販売にかかるコストを少しでも削減するために製造ラインを大幅に縮小し、約3000人の人員削減を行なう。

メニューを減らしたBTOを、同社では“Limited(限定仕様の)BTO”と呼んでいる。従来のBTOでは、選択肢を増やせば、2のn乗というように、指数関数的に製品の数が増えていった。生産ライン数を減らすためには、BTOの選択肢を削っていくしかない。だが、“限定”とはどこまで選択肢を減らすことを意味しているのか。メモリーすら交換できないようでは、実質的にBTOを廃止したに等しい。

これは、日本ゲートウェイでも、米ゲートウェイでも、内部でかなり議論されたという。コスト削減のために“Limited BTO”にするのか、それとも従来どおりのBTOを維持するのか。そして議論の結果、今後ゲートウェイではワールドワイドで“Limited BTO”を展開する。それは、BTOを段階的にせよ、廃止するということを意味している。

しかし、これまでのゲートウェイの柱は、“豊富なBTOメニュー”と“Cow Spot(牛柄)”、“評価の高いユーザーサポート”だったはずだ。その3本柱のうちの1本を細く削ってしまってもいいのだろうか。他社製品とどうやって差別化していくのか。評価の高い充実したサポート部門を抱えるゲートウェイは、逆にそのために、コスト面では他社より不利になる。価格で差別化できないとすれば、いったい何をもってほかとの違いをアピールするのか。

“Cow Spot”以外の柱は?

日本ゲートウェイの出した答えは、今回発売された製品のオプション、“ソリューションパック”だ。ソフトウェアや周辺機器など、さまざまな製品を組み合わせたソリューションを提案し、そしてパソコンを購入してもらう。つまり、単なる“箱もの”としてのハードウェアを販売するのではなく、ソリューションという付加価値をつけることで、ほかとは違うことをアピールするというものだ。

“ソリューションパック”を、そして同社のパソコンを購入してもらうためには、同社がいかに魅力的なソリューションを提案できるか、多種多様なソリューションをそろえられるかがポイントになるだろう。はたして“ソリューションパック”がBTOに替わる柱になるのだろうか。

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