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「人間はロボットを愛せるか?」人間とロボットとの円滑なコミュニケーションとは?――“ロボフェスタ関西2001”
2001年7月23日
「だっこして」と頼むロボット
大阪国際会議場(グランキューブ大阪)で20日に開幕した“ロボット創造国際競技大会関西2001(ロボフェスタ関西2001)”に出展されたロボットの多くには、共通のテーマがある。それは、「人間とロボットのより良いコミュニケーションのありかたを考える」ということだ。
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少年に手を差し出すロボット『Robovie』 |
6月30日より公開中の、スティーブン・スピルバーグ(Steven Spielberg)監督の最新作『A.I.』では「ロボットは人を愛せるか」、そしてそれ以上に「人間はロボットを愛せるか」が、大きなテーマとなっていた。実際のロボット開発においても、「愛せるか」とまではいかないにしても、「ロボットと人間との円滑なコミュニケーションをどうやって構築するか」ということが、重要なポイントとなっている。
「だっこして」
(株)エイ・ティ・アール知能映像通信研究所が開発した『Robovie(ロボビー)』は、「遊んで」「だっこして」など、人間に頼みごとをするロボット。
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『Robovie』 |
『Robovie』は、視線が動く2基のCCDカメラ、360度全方位センサー、超音波距離センサー、感圧導電ゴムによる触覚センサーなどを装備しており、画像・音声認識を行うことができる。会場内で展示していた『Robovie』は、子供たちが触覚センサーに触れると「なあに?」と振り向き、「握手して」「遊んで」「だっこして」などと話しかけていた。
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『Robovie』とのコミュニケーション。会場では周囲の騒音のためか、なかなか音声認識がうまく作動してくれなかった |
『Robovie』は視線の動きや身振り・手振りで、人とのコミュニケーションを行なう。同研究所では、人とのコミュニケーションに機能を絞り、人間の話し合い手になるロボットを目指すとしている。『Robovie』は大学や研究機関に1台1200万円で提供しており、すでに5〜6台の納入実績があるという。
共同注意で学習するロボット
独立行政法人通信総合研究所の『Infanoid』は、人間が育てることで成長するロボット。
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『Infanoid』 |
同研究所は発達心理学の研究、すなわち赤ちゃんのコミュニケーションの発達過程の研究を目的として、『Infanoid』を製作した。人間の3歳児程度の大きさの上半身に、広角と望遠の2つのカメラがついた“目”を2つ実装した頭部が乗っている。それらは、画像処理を行なう専用ボードを搭載したパソコンに接続されている。『Infanoid』は人間の視線の方向を判別し、その視線の先にある物体を認識する。これは“共同注意”と呼ばれる行動で、たとえば、犬の人形を持った人が『Infanoid』にそれを見せ、自分もそれを見つめて「犬」だと声で教えると、それを反復するうちに『Infanoid』は犬の人形を「犬」と認識するようになる。
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顔の前に差し出された人形の動きに、2つの目がまるで本物の生物の目のように、追随して動く |
実際に展示していた『Infanoid』は、ピンク色の犬のぬいぐるみを持った人間の音声を認識し、ぬいぐるみを見て「ワンワン」と声を出していた。
そのほかには、表情や動作によるコミュニケーションのみを目的とした『SDEIR(セディア)』や、展示会場の案内を行なうインフォメーションロボット『Pb-BZ007』などが展示されていた。
『SDEIR』はインタロボット(株)が製作した、表情や身振りなどでコミュニケーションを行なうロボット。入力した人の声に合わせて、さまざまな身体動作をする。同社では、『SDEIR』と同様に、音声に反応した動作をする3Dグラフィックスなども開発している。ネットワーク上でチャットをする場合でも、人と人とのコミュニケーションには言葉だけではなく表情なども必要だと同社では考えており、チャットなどのインターフェースとして、『SDEIR』を提供するとしている。
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『SDEIR』を取り囲む子供たち。会場の『SDEIR』は、子供たちの質問に対してさまざまな回答をしていたが、これは音声認識しているわけではなく、テーブルの下にもぐりこんだ係員が、必死で答えているのだ |
『Pb-BZ007』は(株)ダイヘンの製作した、柔軟な運動機能を持つロボット。20基のサーボモーターはトルク制御や速度制御が行なえ、また負荷を検出するセンサーとしての役割も果たす。画像、音声認識による会話が可能で、また“心地よい握手”が行なえるよう、手首の動きなどを細かく調節したという。会場には同社が吉本興業(株)と共同開発したお笑いロボットと共に展示し、2台のロボットでの掛け合いで観客を喜ばせていた。
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『Pb-BZ007』とお笑いロボット。お笑いロボットは北海道・小樽のテーマパーク「観光名所 小樽よしもと」で展示している。この写真のポーズが何であるかは、書くまでもないだろう。ほかには、「うらめしや、おもてパン屋」などと、古典的なギャグを披露していた。ロボットの声には、実際に吉本興業のタレントが吹き込んだパートもあった |
遊び心あふれるロボットを
そのほかの会場の様子を、写真で紹介する。ちょうど連休、そして夏休みということもあって、会場内には子供たちの声が充満していた。
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ここでも『AIBO』は大人気だった |
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カメラを近づけると、目が赤く光った。怒ったのだろうか |
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(株)バンダイの『BN-1 わがままカプリロ』。女の子たちが欲しそうに押さえつけていた |
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トホホな顔の『BN-1 わがままカプリロ』。子供たちに叩かれすぎたのであろうか。ちなみに『BN-1』は、現在までに3000台弱を販売したという。5万円という価格もあり、子供のおもちゃというよりは大人が遊んでいるとか |
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『学天則』の模型。俳優の故西村晃氏(水戸黄門で有名)の父、西村真琴博士が昭和3年(1928年)に製作したロボット。左手のランプが光り、やさしく微笑み、右手のペンで字を書いたという。体内にはゴム管が張り巡らされており、これに圧搾空気を送ることでスムーズに動作した。実物は、残念ながら行方不明 |
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からくり人形を見つめる子供たち。真剣なまなざしだ |
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江戸時代のからくり人形ではなく、それに似せて雇用・能力開発機構の近畿職業能力開発大学校のみなさんが作ったロボットだった |
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ワークショップでロボットキットを組み立てる子供たち。一応、1時間で組み立てて1時間遊ぶことになっているが、2時間経っても組み立てられない子供もいるという |
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ロボカップのデモンストレーション。ピンクと水色の2チームが争ったが、ピンクのロボットはキーパー以外動こうともせず、水色の圧勝に終わった。ロボフェスタ関西実行委員会幹事長の浅田稔大阪大学大学院工学研究課教授は「チームワークのかけらもない」と笑った |
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こちらは『AIBO』によるロボカップ。ボールに全員が集まって身動きが取れなくなり、1点も入らなかった |
“ロボフェスタ2001関西”の会場内に響き渡る子供たちの歓声を聞いている限りでは、ロボットと人とのコミュニケーションは、うまくいっているように感じられた。
しかし、ひとつ気になったのは、各企業の担当者に将来の目標を聞くと「介護・福祉などで人間の役に立てば」という答えが多く返ってきたことだ。それだけ実用レベルに近づいている証拠なのかもしれないが、あらかじめ最終目的が設定されている研究というのでは、なかなか革命的なアイデアは産まれないのではないだろうか。
まだロボット開発の黎明期の現在では、必ずしも実用的である必要はない。夢のある、遊び心あふれるロボットを、見てみたいと思う。
(編集部 中西祥智)
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