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日本AMD、開発者向けカンファレンスでDDR SDRAMをアピール

2001年08月27日 01時50分更新

文● 編集部 佐々木千之

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日本AMD(株)は23日、“AMD Developer's Conference Summer 2001”を開催した。テーマはDDR(Double Data Rate) SDRAMで、メモリー、チップセット、マザーボードベンダーがプレゼンテーションを行なった。

日本AMDではこうしたカンファレンスを年数回行なっており、今回で9回目の開催。対象となる参加者はカンファレンスの内容によって異なるが、今回はパソコンメーカーや販売チャネル関係者、および報道関係者ら百数十人が参加した。

日本AMD代表取締役社長の堺和夫氏
日本AMD代表取締役社長の堺和夫氏

カンファレンスは、日本AMDの堺社長、CPGマーケティング本部長のサム・ローガン(Samuel Rogan)氏の挨拶に続いて、米AMD社のデパートメントマネージャーであるレビー・マレー(Levi Murray III)氏による、DDR SDRAMに関するAMDの基本戦略説明で始まった。

米AMDのデパートメントマネージャー、レビー・マレー氏
米AMDのデパートメントマネージャー、レビー・マレー(Levi Murray III)氏

マレー氏は、DDR SDRAMの価格が通常のSDRAMの価格とほぼ同じ水準になっていること、米韓日欧台の各メモリーメーカーから出荷されていることによる入手性の容易さ、ロイヤリティーを必要としないオープンスタンダードであることなどが、DDR SDRAMを採用するPCシステムにアドバンテージを与えると述べた。またパフォーマンスについては、PC133 SDRAMとPC2100(PC266) DDR SDRAMを比較し、ビジネスアプリケーションの使用において8%、ゲームアプリケーションにおいて11%向上するというデータを挙げて、ローコストで高性能を実現しているとした。

AMDが示したDDR SDRAMのテクノロジーロードマップ
AMDが示したDDR SDRAMのテクノロジーロードマップ

続いて日本マイクロン・テクノロジー(株)アカウントマネージャーの山ノ上氏と、(株)メルコ応用技術グループリーダーの大嶋氏が、メモリーベンダーの立場からDDR SDRAMの現状と将来についてスピーチした。

マイクロンによる、PCセグメント別のメモリーシェア予測
マイクロンによる、PCセグメント別のメモリーシェア予測。RDRAMがパフォーマンスデスクトップ/ワークステーションだけに登場し、しかも少数派

日本マイクロンの山ノ上氏によると、同社ではPC133 SDRAMとPC2100 DDR SDRAMの価格が、2001年第4四半期に同じになると予測していたが、すでに同じ水準になりつつあるという。また、DDR SDRAMは、システムパフォーマンスの向上が見込めるだけでなく、モジュールの駆動電圧が2.5Vと、SDRAMの3.3Vと比べて下がることから、パソコンの消費電力低減というメリットもあるとし、今後もメモリーチップベンダー、メモリーモジュールベンダーとしてDDR SDRAMに力を入れていくとした。なお、DDR SDRAMとは直接関係ないが、最近のメモリーの値崩れについて、終始“悲しい”と発言していたのが印象的であった。PC2700(PC333) DDR SDRAMの出荷予定は、市場のニーズにもよるが2002年第1四半期、2002年後半にはPC2100と同じ価格まで下がるのではないかと予測している。

マイクロンが提供予定のDDR SDRAMチップのテクノロジーロードマップ
マイクロンが提供予定のDDR SDRAMチップのテクノロジーロードマップ。バスクロック150MHzのPC2400(PC300) DDR SDRAMはスキップするようだ
SDRAM、DDR SDRAM、RDRAMの消費電力の比較表
SDRAM、DDR SDRAM、RDRAMの消費電力の比較表。データ読み出し時の消費電力がSDRAMの半分以下なのがわかる

メルコの大嶋氏は、メモリーモジュールベンダーとして、同社がJEDEC(※1)において、DDR SDRAMモジュールの標準化作業に積極的に関与していることなどを紹介した。また、現在ノートパソコン用として使われているSO-DIMM(Small Outline Dual-in-line Memory Module)が、今後はデスクトップや高さ1Uの薄型サーバーでも使われるようになり、DIMM(Dual Inline Memory Module)は、ミッドレンジサーバー以上で使われるようになるという見通しを述べた。理由としては、256Mbitや512bitのメモリーチップの登場で、小型のSO-DIMMでも十分な容量が達成できることと、パソコンの小型化に対するニーズを挙げていた。

※1 JEDEC(Joint Electronic Devices Engineering Council):電子デバイス部品の標準化を推進する米国の業界団体。現在、半導体コンポーネントのメーカーなど、約300社が会員として加盟する。

メルコによる、メモリーモジュール市場におけるDDR SDRAMのシェア予測
メルコによる、メモリーモジュール市場におけるDDR SDRAMのシェア予測
メルコ製の PC2700(PC333) DDR SDRAMの、SO-DIMM
メルコが展示していたPC2700(PC333) DDR SDRAMの、SO-DIMM
日本AMDが示した、Athlon/Duronプラットフォーム向けのチップセットロードマップ
日本AMDが示した、Athlon/Duronプラットフォーム向けのチップセットロードマップ。今後登場予定のものはすべてDDR SDRAMサポートだ

昼食を挟んだ午後のセッションでは、台湾のSilicon Integrated Systems社(SiS)、Acer Laboratries社(ALi)、米NVIDIA社、台湾のVIA Technologies社のチップセットベンダー4社が、それぞれのDDR SDRAM対応チップセットについて説明した。

台湾SiSの、AMDプラットフォーム用のDDR SDRAMをサポートするチップセットロードマップ
台湾SiSの、AMDプラットフォーム用のDDR SDRAMをサポートするチップセットロードマップ
台湾ALiの、AMDプラットフォーム用のDDR SDRAMをサポートするチップセットロードマップ
台湾ALiの、AMDプラットフォーム用のDDR SDRAMをサポートするチップセットロードマップ。2001年第4四半期にHyperTransport、AGP8Xをサポートする『M1667』をリリース予定
米NVIDIAの、AMDプラットフォーム用チップセット『nForce』のラインアップ
米NVIDIAの、AMDプラットフォーム用チップセット『nForce』のラインアップ
台湾VIA Technologiesの、デスクトップ向けAMDプラットフォーム用チップセットロードマップ
台湾VIA Technologiesの、デスクトップ向けAMDプラットフォーム用チップセットロードマップ
台湾VIA Technologiesの、ノート向けAMDプラットフォーム用チップセットロードマップ
台湾VIA Technologiesの、ノート向けAMDプラットフォーム用チップセットロードマップ

さらに台湾のASUSTeK Computer社、エーオープンジャパン(株)(AOpen)、日本ギガ・バイト(株)(Gigabyte)、エム・エス・アイ・コンピュータ・ジャパン(株)(MSI)のマザーボードベンダーが、それらのそれらのチップセットを搭載したマザーボードと、今後のロードマップを紹介してカンファレンスを終了した。

台湾ギガバイトの『GA-7VTX』。VIA TechnologiesのKT266チップセットを搭載
台湾ギガバイトの『GA-7VTX』。VIA TechnologiesのKT266チップセットを搭載
台湾MSIの『MS-6367』。NVIDIAのnForceチップセットを搭載する
台湾MSIの『MS-6367』。NVIDIAのnForceチップセットを搭載する。正式なリリース時期は未定
台湾SiSは、SiS735チップセットを使って、PC2700(PC333) DDR SDRAMを動作させるデモを行なった
台湾SiSは、SiS735チップセットを使って、PC2700(PC333) DDR SDRAMを動作させるデモを行なった

AMDは2000年10月に、DDR SDRAMをサポートするAthlon(Thunderbird)用チップセット『AMD-760』を発表した。その発表会では、日本AMDの堺和夫社長が「DDR SDRAMをサポートする製品の発表は2000年下半期の最も重要な発表」と挨拶し、'99年初めに同社とメモリーメーカーなどで設立した、DDR SDRAMの標準化と普及を目指す業界団体“TeamDDR”の企業が次々にスピーチするなど、DDR SDRAMを強力に推進していくという立場を印象づけるものだった。

AMDは、今回のカンファレンスの目的として、同社がDDR SDRAMに強くコミットメントしているということをAMD-760発表以来、ほぼ10ヵ月ぶりに改めてアピールすることをあげている。技術的には目新しい発表はなかったものの、各社が、SDRAMと変わらない価格で高性能・低消費電力というメリットを持つDDR SDRAMに期待していることは伝わってきた。DDR SDRAMを使用したパソコンシステムが、まだ大手メーカーから大量出荷されるまでに至っていないせいか、AMDの挨拶やプレゼンテーションは淡々としたものだったが、「(RAMBUSでなく)DDR SDRAMを選んだのは大正解だった」といいたかったに違いない。

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