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Visa、日本政府の支払制度に働きかけ、現金決済からカード決済への刷新を要請


2001年8月29日

ビザ・インターナショナル(以下、Visa)は29日、日本政府に対し、経済構造改革の一環として従来型の政府支払制度の刷新を働きかける意向を明らかにした。Visaは、メンバー金融機関(カード発行会社)にVisaカードブランドを提供するとともに、Visaカードの決済ネットワークおよびサービス運営、開発を行なう組織。

高木日本総支配人とカリコ上席商務官
ビザ・インターナショナル日本総支配人の高木正明氏(左)と、米国大使館商務部上席商務官のフランク・G・カリコ氏(右)

現在、日本政府が推進するIT国家戦略“e-Japan計画”において、インターネットバンキングによる口座振替やクレジットカードによる決済手段が検討されているが、Visaはこのe-Japan計画を積極的に支援するべく、カード決済およびMIS(マネージメントインフォメーションシステム)の導入を提言するという。具体的には、Visaは日本政府に対し、『Visaコーポレートカード』および『Visaパーチェシングカード』の導入を推奨するとしている。

Visaコーポレートカードは、企業や組織団体向けのカードで、社員/職員が利用した旅費や交通費等の経費精算に利用するもの。社員/職員別に利用限度額を設定でき、利用状況の管理も可能。全世界のVisa加盟店(2200万ヵ所)で利用できるほか、世界200ヵ国70万台以上のATMおよび40万ヵ所以上のVisaメンバー金融機関で現金を引き出せる。請求書は企業や組織団体の要望に合わせてカスタマイズ可能。

Visaパーチェシングカードは、企業や組織団体が物品購入時の注文処理を合理化するための購買カード。カードホルダーがインターネットや電話、FAX等を利用して物品を注文すると、物品供給先がVisaネットワークを経由してカードホルダーの銀行/カード会社に照会する。銀行/カード会社は購買額が事前に承認された限度額内であるかどうかを確認して供給先に結果を送信、請求手続きが完了する仕組み。その後銀行/カード会社から、その企業/組織団体に属するカードホルダーすべての取引を一括した請求書が送られる。

Visaは、カード決済を採用し、MISを導入することで、決済業務の簡素化と現金処理に費やしているコストを年間数百億円規模で節減できるとし、また会計の透明化や、責任の所在の明確化も図れるとしている。

ビザはカード会社、業界団体、政府関係機関と協力し、IT集約型の“スマート・ペイメント”技術の利点を政府にアピールするほか、従来型の政府支払制度の近代化を推進する法的および手続き上の変更に向け、政府に働きかけるという。

本日都内ホテルで行なわれた発表会で、ビザ・インターナショナル日本総支配人の高木正明氏は、「日本政府の経費支払制度は基本的に現金で、経費処理は紙ベースだ。このため注文書や購買記録、請求書、明細書など大量の紙と時間を要する。リアルタイムでデータ処理はできない。われわれの試算では1件当たりの処理時間は1時間だ。また、現金ベースでは履歴確認が難しく透明性に欠ける。『コーポレートカード』と『パーチェシングカード』により、経費節減、処理の効率化、透明性の向上、履歴や支払責任の明確化を目指す」

「われわれは日本政府を批判するのではない。政府はe-Japan計画をスタートさせており、われわれはこの計画に賛同、支援する。小泉内閣が構造改革を打ち出す中で、われわれが日本政府に寄与することはないかと考えたとき、支払制度の刷新ということであれば具体的に提言できると思った。現在、支払制度の幅広い見直しが必要であり、e-Japan計画に付加する形で、電子化された支払インフラを確立するよう政府に働きかけたい。本日の記者発表会を第一声とし、カード会社、業界団体などと協力して日本政府に提言していく」と語った。

また、政府に対する具体的な働きかけについては、「Visa自身はカードを発行していないので、システム導入の際のコンサルティング業務を担当し、同時に各カード会社が各省庁と直接話をしていく。カード決済やMISは政府のe-Japan計画に則ったもので、構造改革の一環にかなうものと考える。近々米Visaに麻生太郎氏が来られるので、本日の記者発表会の内容を説明する」としている。

さらに支払制度の変更見通しについて同氏は、「日本には支払いに対するいろいろな法律がある。例えば旅費法。公務員の旅費は日当で現金払いという法律があるが、これはクレジットカードが想定すらされていなかったころに作られたもの。この日当制度について議論するつもりはないが、法律に定められていない分野の支払いは効率化を進められるのではないか。われわれが試算したところ、約1兆円の支出のうち、100億円単位で経費を削減できると考える」

「実際に新たな支払制度を導入する場合も、法律改正を伴う場合は政府にまかせるしかない。われわれは2年前にカードの不正使用に対する法律制定を政府にお願いしたところ、今年7月に立法化された。日本政府は主旨を理解すれば早く動いてくれると期待している」と語った。

なお、米国政府は日本よりひと足早くこれらのカードを導入しており、300万枚のコーポレートカードを米国公務員に対し発行しているという。米国大使館商務部上席商務官のフランク・G・カリコ氏は、「パーチェシングカードにより、物品購入処理のコストを節約できる。カード導入前は1件処理するのにスタッフ5人必要でコストは500ドル(約6万円)程度かかった。カード導入により1件当たり54ドル(約6500円)の節約が可能となった。また、コーポレートカードは出張旅費精算に利用している。これにより公的資金の不正使用の削減が可能だ」としている。

(編集部 桑本美鈴)


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