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子供でも、知らなかったでは済まされない!?――ACCS“親と子の著作権教室”

2001年08月31日 00時39分更新

文● ポケットアスキー 伊藤咲子

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(社)コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は28日、小・中学生を対象に“第9回 親と子の著作権教室 「著作権ってなに?楽しく学ぼう!」”を開催した。

久保田裕専務理事
「夏休みの間、絵や音楽など、いっぱい表現してください」という久保田裕専務理事の言葉で始まった

著作権に関してはこの夏、小・中学生の世代にとって、著作権問題がより身近になるはずの出来事があったばかりだ。7月1日に始まった、“JASRAC管理楽曲”をインターネットで利用する非商用目的のユーザーに対する著作権管理が、それである。

“JASRAC管理楽曲”とは、(社)日本音楽著作権協会(JASRAC)に著作財産権の管理を委託した音楽著作物で、『ミニモニ。ジャンケンぴょん!』や、アニメ『おじゃる丸』の主題歌『詠人』といった楽曲なども、それに相当する。

管理の対象は、利用者が未成年者であっても、例外にはならない。例えば、夏休みの宿題で、MIDI音源データを作成し、自分のホームページでストリーム配信しようと思った場合には、JASRAC指定の手続きをとったうえで、1曲あたり150円の使用料を毎月支払わなければならないことになる。

小学生にも時代に即した著作権の知識とが求められているなかで、今回のイベントは、権利者団体主催の教育プログラムとして、その内容が注目された。

アニメやクイズで著作権を勉強

この日、会場となった文京区のオフィスには、34人(小学生30人、中学生4人)が集まった。午後1時から半日のプログラムで、ACCS専務理事の久保田裕氏が先生役となり、アニメ上映やパソコンを使ったクイズなどを通じて、著作権や情報モラルについて勉強した。

パソコンを使った“著作権○×クイズ”
“著作権○×クイズ”より。「ちびまるこちゃんの顔とおじゃ魔女ドレミの体をくっつけてクラスの旗にした。それぞれの著作者にことわらず、絵を勝手に変えたりいじったりしてはいけない?」

ゲーム感覚で参加できるプログラムが多く、正解者にはACCSオリジナルキャラクターをあしらったバッジがプレゼントされるなど、子供の競争心をくすぐる演出が織り交ぜられていた。子供たちは最後まで真剣に取り組み、クイズに間違ったくやしさのあまり「手が滑ったんだよ~」とスタッフに訴える姿もみられた。

リピーターの笑顔の理由

ところで、著作権教室に参加する小学生とは、どのような子供たちであろうか。

会場を見渡すと、親と一緒に参加した子供は数えるほどで、友達兄弟で連れ立って参加したというグループがほとんど。しかも驚いたことに、その3分の1以上が、過去に参加した“リピーター”という。

なぜ今年も参加したのか聞くと、「楽しいから」という答えだけが返ってくる。何がそんなに楽しいのか聞いても、笑顔が返ってくるだけだ。

著作権教室の全プログラムが終了すると、お楽しみの“抽選会”。抽選で3名に『PlayStation 2』などのゲーム機がプレゼントされたほか、参加者全員にゲームソフトや文房具が詰まった“参加賞”が配られた。

なかには、「『PS2』もらうまで来るぞー!」と、元気に挨拶をして帰る男の子も。「来年は『Xbox』かもしれないよ」と、久保田氏は笑いながら応えた。

楽しくゲームをしながら勉強して、参加賞がもらえて、そのうえ豪華な景品があたるかもしれない――笑顔の理由は、このあたりにありそうだ。

参加賞をもらう子供
ゲームソフト、万歩計、キャラクター文具などが詰まった参加賞

体験学習の内容は、いささか前時代的

教室を通じて、久保田氏が訴えたのは「自分や人が表現したものを大事にしよう」ということと、「人の作品を使う場合には、面倒くさがらずに許諾をとろう」ということ。

ただ、具体的な体験学習の内容は、いささか前時代的。オリジナルの曲とコピーした曲を聴き当てるクイズでは、違法デジタルコピー問題を再三扱っているACCSだが、CDとカセットテープの比較に留まっていた。

また、インターネットと関連した著作権侵害の問題も、久保田氏の講話の中に何度か出てきたが、前出のJASRACの著作物使用料の事例には触れられなかった。

オリジナルとコピーの聴き比べ
オリジナルのCDの曲と、カセットテープにコピーした曲を聴き比べた。デジタルのコピーについては、「今は、MDとか、デジタルで元の曲と全く同じものが簡単にコピーできる時代になりました」(久保田氏)と、講話で触れるに留まった

この著作権教室は今年で9回目を数え、毎年参加する子供も多い企画。子供といえども、うっかりしていた、知らなかったでは済まされなくなってきているなかで、「楽しい」だけでなく、時代に即した情報を教える必要があるのではなかろうか。

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