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“第12回マイクロマシン展”開催――小型の犬型ロボットや超小型アクチュエーターなど

2001年11月01日 14時58分更新

文● 編集部 中西祥智

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極小機械や精密・微細加工に関する国際展示会“第12回マイクロマシン展”(主催:(財)マイクロマシンセンター、マイクロマシン研究会 )が10月31日、東京都千代田区の科学技術館で開幕した。期間は11月2日までの3日間。

マイクロアクチュエーター
ミノルタのマイクロアクチュエーター“SIDM”。2gの分銅を乗せた移動部が上下する

ミノルタ(株)は、昨年に引き続き、マイクロアクチュエーター“SIDM(Smooth Impact Drive Mechanism)”を出品した。SIDMは直径2mm、長さが5mmから10mmのシャフトの一端が、圧電素子になっている。シャフトに取り付けた移動部は摩擦力でその位置を維持し、圧電素子に流した電流の波形によって、移動部が動く。

移動部を固定すると、シャフトのほうが動く
こちらは3本および5本のSIDMが動く。シャフトを固定するのではなく、移動部を固定すると、シャフトのほうが動くというデモ

今回の展示では、ミノルタコンポーネンツ(株)が、SIDMを実際に光学3倍ズームレンズに応用した例を出展していた。

光学ズームレンズ
ミノルタコンポーネンツの光学ズームレンズ

このズームレンズは、本体サイズが幅14.0×奥行き14.5×高さ9.0で、3群のレンズの内2群を、カムと連動させてSIDMで駆動する。焦点距離は2~6mm(135換算で33~99mm)。7分の1インチのセンサーに対応する。

レンズ部分
レンズ部分。ワイドからテレまで、約1秒で動く

キヤノン電子(株)は、小型ステッピングモーター『CAM』を利用した1cm四方の犬のロボットを展示していた。

犬型ロボット
犬型ロボット
残念ながら自律型ではない
残念ながら自律型ではない。ガラスケースの中を延々、前後する。背中にあたる部分がステッピングモーター。ちなみに、名前はない

犬型ロボットは自律型ではなく、つながっている銅線からの電力で、前進、後退を延々と繰り返していた。背中にあたる部分が、ステッピングモーターになっている。CAMシリーズの『CAM60』は、直径が6mmで長さは9mm、重量は1.3g。

また、オリンパス光学工業(株)は、半導体加工技術を利用して電磁誘導コイルを形成した、走査型レーサー顕微鏡のミラー(ガルバノミラー)を展示した。

走査型レーサー顕微鏡のミラー(ガルバノミラー)
半導体加工技術を利用して電磁誘導コイルを形成したミラー(ガルバノミラー)

このミラーを、電磁誘導によって、4kHzの周波数で(1秒間に4000回)振幅させ、レーザーを反射する。振幅するミラーで反射することによって、点であるレーザーが線になり、そのレーザーの線で対象物をスキャンする。また、コイル部分はミラーを振幅させる駆動コイルと、振幅状態をチェックする検出コイルから成る。検出コイルでミラーの状況を把握することで、高精度なスキャンが可能になるという。

2次元の線になったレーザー
中央下のレーザー発振機から出たレーザーが右のミラーに反射して、左のスクリーンに線となって映し出されている
走査型レーザー顕微鏡『OLS1100』
走査型レーザー顕微鏡『OLS1100』今回出展したミラーを搭載したモデルと、そうでないもモデルとでは、性能差はほとんどないが、騒音が3割程度軽減される
マイクロマシニングセンタなど
日本トムソン(株)の、フライス削りや穴あけが可能な『マイクロマシニングセンタ(左)』と、LSIチップなどのパーツを基板に実装する『マイクロロータリーマウンタ』。大量生産は厳しいが、多品種少量生産用として、これらの機器で省スペースの工場を作ることが可能
マイクロ遊星歯車
太盛工業(株)の遊星歯車。内歯歯車(1番外の歯車)の内径は約4mm、遊星ピニオンの直径は約1.6mm
マイクロターニングシステム
(株)ナノのマイクロターニングシステム。小型のNC旋盤で、底面のサイズは150mm×100mm。同社によると「旋盤もモバイルの時代」だという

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