放送関連の機器類・技術の展示会“2001 国際放送機器展(Inter BEE 2001:International Broadcast Equipment Exhibition 2001)”が14日、千葉・幕張の日本コンベンションセンター(幕張メッセ)で開幕し、16日までの3日間開催された。
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“Inter BEE 2001” |
Inter BEEは、国内外の放送局や番組制作会社などの制作者・技術者を対象に、最新の放送関連製品や技術を披露する展示会。年に1回開催し、今回が37回目となる。主催は(社)電子情報技術産業協会(JEITA)で、後援は(社)日本放送協会と(社)日本民間放送連盟。
松下電機産業(株)は、6日に発表した720pフォーマット対応のVTR一体型カメラ(カメラレコーダー)“Varicam”『AJ-HDC27F』を披露した。
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“Varicam”『AJ-HDC27F』 |
カメラや編集機などの放送機器では、かつてはソニー(株)のビデオフォーマット“ベータカム(BETACAM)”が市場を独占した。現在、BSデジタル放送の普及および地上波デジタル化を見据えて、各放送局は放送機器をHDTV(High Definition TeleVision)化しつつある。HDTVのビデオフォーマットには、ソニーの“HDCAM”や松下の“DVCPRO HD”などがあるが、NHKや日本テレビ放送網(株)、(株)フジテレビはHDCAMを採用しているという。
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AJ-HDC27Fで撮影した映像。松下では、従来のVTRと違って深みのある映像だとしている |
先行するソニーのHDTVカメラレコーダーに追いつくため、松下がAJ-HDC27Fで採用したのが、720pフォーマットだ。これは、1280×720ドットの画面解像度、毎秒60フレームをプログレッシブスキャンで記録するフォーマット。720pで記録すれば、画像が劣化することもなく、容易に1080i(※1)などに変換できるという。同社は、HDTVやSDTVから映画まで、すべての映像ソースの制作を720pで行なうことを目指しているという。
※1 解像度1920×1080ドットで毎秒60フレームをインターレース表示する。国内のHDTVは1080iが主流で、ソニー製カメラレコーダーも、1080iで撮影する。
AJ-HDC27Fは、35mmフィルムカメラを意識した設計となっている。フレームレートは毎秒1フレームから60フレームまで自由に設定可能なため、フィルムと同じ毎秒24フレームのフレームレートでの撮影や、コマ落とし、ハイスピード撮影が可能。もっともVTRは常に60フレームで記録し、必要なフレームだけ表示する。アダプターを使用すれば35mmフィルム用のレンズも使用でき、その際に画像の上下左右が反転するのを、補正する機能も装備する。
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35mmフィルム用のレンズを装着。ファインダーも換装しているため、カメラレコーダーとは思えない、フィルムカメラのような外観になっている |
また、明暗の値の分布を表わす“ガンマカーブ”の設定を切り替えることで、フィルムと同様の諧調・色を表現できるという。これによって、たとえば従来のVTRで撮影した場合のように、暗い被写体の明るい背景が、白く飛んでしまうといったことがないという。
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スクリーン上に設定メニューを呼び出すことも可能 |
AJ-HDC27Fは2002年2月1日に発売し、本体価格は740万円、レンズなども含めると1000万円前後となる。なお、すでにプロトタイプが、2002年5月に公開を予定している東映(株)の映画『突入せよ! あさま山荘事件』(原作:佐々淳行、監督:原田眞人、主演:役所広治)の撮影に使用されているという。
松下は開発中の業務用18インチTFTカラー液晶ディスプレー『BT-LH1800』も参考出展した。
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『BT-LH1800』 |
解像度は1280×10240ドット。コントラストは300対1で輝度は240cd/m2、視野角は上下、左右とも170度。1080iのHDTV表示に対応する。同社では、放送に求められるレベルの色再現と諧調表現を達成したとしている。本体サイズは幅412×奥行き86×高さ379mmで、重さは約8.0kg。発売時期は未定で、価格は約100万円を予定しているという。
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BT-LH1800の画面 |
また、2台のパソコンによる3Dバーチャルスタジオのデモも行なった。従来、3Dバーチャルスタジオを制作するには、ラックを17U専有するような巨大で高価な機器が必要だったが、今回展示したものは、Windows NTが動作する2台のパソコンで制作できるという。
| 3Dバーチャルスタジオのデモ。実際には何もないが、画面上の女性の周囲には、スタジオセットが並んでいる |
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コンソールとして使用するマシンと実施に画像処理をするマシンの2台が必要で、画像処理マシンのPCIスロットには、PowerPCプロセッサーを4基搭載した画像処理カードを実装する。処理能力は毎秒60万ポリゴンで、解像度はVGA程度、カメラの移動に合わせてCGも変化するという。価格は、システム全体で約1500万円となっている。
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PC2台で制作したバーチャルスタジオ。以前はラックを17U専有するシステムが必要だったという |
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こちらはラップトップ型DVCPRO編集機。7インチの液晶モニター2基を見ながら、編集する |
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池上通信機(株)のHDDカメラレコーダー。20GBのHDDに約1時間の映像を記録する |
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HDDユニット。衝撃に耐えるため、特殊なパッケージを採用している。ユニットの価格は約6万円 |
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(株)朋栄が出展したバーチャルスタジオシステム“digiStorm”。HDTVにも対応している。実際の背景には何もないが…… |
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画面上では森林の中。カエルと会話しているところ。同社のシステムは、専用の画像処理サーバーとWindows NTベースのパソコンで動作する |