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第11回ロボットサロンが開催――「平成16年度には介護保険対象となるロボットを」

2001年12月19日 01時23分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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ロボットについて、官僚や大学教授、研究者、メーカー担当者などさまざまな分野の人々が意見交換を行なう第11回ロボットサロンが18日、都内で開催された。今回のロボットサロンでは、2001年を総括し、大阪および神奈川で開催されたロボットの国際総合イベント“ロボット創造国際競技大会”(以下、ロボフェスタ)の結果報告などが行なわれた。

ロボットサロン会長の小野晋也氏
ロボットサロン会長の小野晋也氏

大阪で行なわれた“ロボフェスタ関西2001”と、神奈川県内でリレー開催された“ロボフェスタ神奈川2001”を合わせて、約56万人の来場者が会場に訪れた。科学と社会の共生をテーマに展示会やフォーラムを開催した結果、一般への科学技術の理解が増進されただけでなく、モノ作りが教育に有効であることも認識され、意義深いものになったという。今後、ロボフェスタの欧州版といえる“ロボフェスタヨーロッパ”が開催されるほか、台湾などでも同様のイベント開催が予定されているという。

しかし、日本はロボット技術で先端をいっているにも関わらず、ロボットの国際競技会で日本人が勝てないという危うい現状であること、またロボフェスタの本質はイベントではなく科学技術への理解増進活動であることがなかなか理解してもらえないことなど、いくつかの課題も残ったという。

ロボットサロン会長の小野晋也氏(自由民主党文教科学部会長)は、ロボフェスタの意義と、今後のロボット産業について「日本でロボフェスタを開催したのは大きな一歩。日本には各地でさまざまなロボット技術が研究/開発されていたが、すぐに商売に結び付きにくい産業ロボットなどは、なかなか一般には見えてこなかった。国内に分散して存在していたそれらのロボットをひとつの会場に集結させた。ロボットが集まることで、それに利用される技術や開発者も一堂に会した。ロボットという材料を集めるという予備段階までやってきた。今後は集めたものをどう料理していくかという議論をロボットサロンでやっていく。ロボット大国日本として進む上での記念すべき第一歩がロボフェスタだ」

「また、ロボットによる介護を考える“ロボット介護研究会”を作った。将来、家庭に最初に入るロボットはやはり介護ロボットだろう。多少値段が高くてもニーズが高い。現在研究開発されている介護ロボットは、技術的にもう少し発展すれば実用レベルになる段階になっている」

「しかし、介護ロボットを家庭で利用するためには、社会制度面でもサポートしなければならない。例えば500万円の介護ロボットを5年利用する場合、ロボットが介護保険の対象になれば月々1万円で使えるようになる。今後、ロボットを介護保険対象物として認定していくために研究/討議しなければならない」

「また、ロボットがコントロールできなくなった場合、人を傷つけてしまう可能性もあるため、法的部分も整備しなければならない。ロボット法という新しい法体制を頭に入れておく必要がある。ニーズを的確につかみながら、介護保険に適応するロボットをどう作るか、法整備をどうするかという問題を討議しつつ、平成16年度には介護保険対象となるロボットを実現させたい」

「ロボットが生まれるということはわれわれの身代わりとなる存在が生まれるということ。どれだけの意思や感情、運動能力を持つかは未知数だが、われわれと同様のものを目指しつつ一緒に生きていくパートナーが生まれることで、明らかに新しい時代となる。機械がパートナーになるとどうなるかは、まだ具体的にみえてこない。われわれの使いかた次第によって方向が大きく変わってしまうからだ。今後、ロボットをどう使うかによって、まったく異なる社会を実現し得るだろう」と語った。

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