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【PalmSource 2002 Vol.2】Palm OS 5.0のアプリは68000コードがメイン──日本語版の画面はコレだ!


2002年2月8日

PalmSourceは、Palm OS上のアプリケーションやPalm関連機器などの開発者向けのイベントだが、今回の“PalmSource 2002”にはEnterprise Seminarというのも並行して行なわれている。これは、企業内での利用を推進する米パーム社自身の方針に沿ったもので、こちらにも技術的なコンファレンスはあるが、利用事例紹介など非開発者向けのものも多い。

パーム社は、従来の小売り中心のビジネスから、企業導入などのルートセールス、インテグレーションといった方向に転換しつつある。まあこちらの部分は、安いものを小売りでちまちま売るよりも大きなビジネスが可能になるので、パソコン系では多くの企業がたどった道。また不況になると、こっちの方向を目指す企業が増えてくる。もっとも、ここでうまく方向転換できずに不況を乗り切れなかった企業も多く、ある意味、小売りからスタートした企業が迎える正念場的なところがある。そういったこともあって、PalmSource自身が、パーム社のビジネス方向や昨今の経済状態を受け、変化してきているようである。

プレスキットに入っていたPalm OS Simulatorを日本語対応のROMイメージを使って起動したところ。ちゃんとグラフティエリアも日本語用になる
プレスキットに入っていたPalm OS Simulatorを日本語対応のROMイメージを使って起動したところ。ちゃんとグラフティエリアも日本語用になる

さて、Vol.1で概要をお伝えしたPalm OS 5.0だが、キーノートスピーチを聴いただけでは非常にひっかかる部分があった。というのは、Palm OS 5.0におけるARMネイティブコードのアプリケーションのサポートである。

日本語OS用ROMイメージではメッセージも日本語化されている。OSのバージョンが5.0になっていることが分かる
日本語OS用ROMイメージではメッセージも日本語化されている。OSのバージョンが5.0になっていることが分かる

ARMプロセッサーと68000プロセッサーではエンディアンが違うために、68000のコードをエミュレーションで動かした場合に、大きな問題となる。前回のPalmSourceで公開されたPalm OS 5.0の概要では、どちらかというと、ARMネイティブコードのアプリケーションが主であり、68000コードの従来のプログラムは互換環境で動かすことも可能、といったニュアンスであった。

この状態で日本語の表示、入力が可能。かな漢字変換もちゃんと動く。また、アドレス帳も日本語版対応でちゃんと読みがなの欄ができている
この状態で日本語の表示、入力が可能。かな漢字変換もちゃんと動く。また、アドレス帳も日本語版対応でちゃんと読みがなの欄ができている

しかし、今回のPalmSource 2002では、どちらかというとこの2つの立場が逆転していて、68000互換環境であるPACE(Palm Application Compatibility Environment)がメインに出てきている。

それで、この点についてPalm OSのライセンスを受けるメーカーのエンジニアや、米PalmSource社のエンジニアなどに尋ねてみた。それでわかったことだが、Palm OS 5.0におけるアプリケーションは、68000コードのものがメインであり、ARMネイティブコードのアプリーションについては、プログラム構造や新しいランタイムなどと合わせて次のバージョンで対応するとのこと。つまりPalm OS 5.0は、OS自身はARMネイティブコードだが、アプリケーションは、今のものと同じ68000コードのものを使うことを考えているのだ。

Palm OS Simulatorには、デバッグ用の機能などがあり、設定でカラーモードなどの設定も変更できる
Palm OS Simulatorには、デバッグ用の機能などがあり、設定でカラーモードなどの設定も変更できる

もちろんARMネイティブのコードも利用は可能だが、プログラムリソースの中に埋め込んで、68000コードから呼び出して使うといった特殊な方法が必要になるらしい。

PalmSource社は、アプリケーションの移行を何段階かにわけて行なうつもりのようである。まずPalm OS 5.0で、OS側をARM化するが、アプリケーション側は68000コードのまま。アプリケーションに対してはPACEで互換環境を提供するが、これがPalm OS 5.0の標準的な実行環境となる。

メモリー内にあるデータベースは別ウィンドウに表示させることができる。ただしアプリケーションが起動しているとデータベースにロックがかかるので表示させることはできない。この写真はデータベースを表示させたあと、アドレス帳を起動したもの
メモリー内にあるデータベースは別ウィンドウに表示させることができる。ただしアプリケーションが起動しているとデータベースにロックがかかるので表示させることはできない。この写真はデータベースを表示させたあと、アドレス帳を起動したもの

また、Palm OS 5.0で新しい機能(高解像度画面の統一的なサポートとかサウンドなど前回紹介した部分)は提供するが、これも68000コードから利用する。このようにして、コードは68000のまま、機能的には新しい環境に対応させる。

Palm OS 5.0の次のメジャーバージョンでは、ようやくARMネイティブコードによるフルアプリケーションが利用可能になる。ここから段階的にアプリケーションのARMコードへの移行が始まる。この段階で、標準PIMアプリケーション(予定表やアドレス帳)のデータベースフォーマットも変更されるため、これらを扱うプログラムは、68000コードのままであっても、なんらかの対応が必要になる。特にPalm系で“置き換えアプリ”(※1)と呼ばれているものは、ほとんど対応が必要となると思われる。

※1 置き換えアプリ:標準搭載のPIMアプリケーションの同等以上の機能を持ち、標準搭載アプリケーションの替わりに利用するソフトウェア。その性質上、標準搭載アプリケーションのデータ形式と互換性を持っている。

おそらくこの時点で、パーム/PalmSource社としてはARMコードへの移行をしてもらいたいのだと思う。

PalmSource社長のデビッド・ネイゲル氏
PalmSource社長のデビッド・ネイゲル氏

また今日(米国時間7日)は、PalmSource社のCEOであるデビッド・ネイゲル(David Nagel)氏に話を聞く機会を得た。もっとも他の記者たちと一緒なので、じっくりというわけではないがネイゲル氏の話によると、ARMプラットフォームのPalm機が出たら、68000プラットフォームのPalm機は2年ぐらいでなくなっていくだろうとのこと。また、ハードウェアはARMプラットフォームのほうが安くできる可能性があり、ソフトウェアにも互換性があるために、特定分野であっても68000プラットフォームのPalm機が残ることはないだろうとのことだ。2年という期間の間には、たぶんPalm OS 5.0の次のOSが出ていると思われる。Palm機/PDA系に限らず、パソコンであっても2年もあれば、多くのマシンが新しいものに入れ替わる。おそらくメーカーも今年の夏以降は、もう68000ベースのマシンは出さないのではないかと思われる。

アプリケーションが作業用などに使うヒープ領域の表示。実際には、RAMとROMの両方が表示できるようだ
アプリケーションが作業用などに使うヒープ領域の表示。実際には、RAMとROMの両方が表示できるようだ

さて、問題のPalm OS 5.0だが、今日聞いた話では、OEMに対する最終マスターの提供は今年夏の早い時期になるという(βバージョンは春だという)。となると、夏の終わりにはPalm社あたりから新しいマシンが登場するのではないだろうか。

イベントの表示。電源キーに相当するESCキーに応じてイベントが発生しているところ
イベントの表示。電源キーに相当するESCキーに応じてイベントが発生しているところ

また、このPalm OS 5.0には、開発環境としてPalm OS Simulatorが提供される。このPalmOS Simulatorは、ソースコードをWindows向けにコンパイルし、OSのモジュールはWindowsのDLLとして実現している。つまりPACEから下の部分は、完全にWindows用のコードになっている。ただし、これにもメリットがあって、x86(IA-32)プロセッサーは、ARMと同じ“リトルエンディアン”なのだ。これにより、PACEの上で動く“ビッグエンディアン”とリトルエンディアンのOSとの組合せを検証可能となるわけだ。

Palm OS内部で致命的なエラーを検出するとダイアログが表示される(もちろん原因はアプリケーションの場合もある)
Palm OS内部で致命的なエラーを検出するとダイアログが表示される(もちろん原因はアプリケーションの場合もある)

さて、このPalm OS Simulatorだが、今回提供されたプレスキットの中に含まれていたため、試してみたところ簡単に動かすことができた。しかも中には、日本語版のROMイメージも含まれており、日本語版のPalm OS 5.0プレリリース版の画面を見ることができた。ただし、現時点のPalm OS 5.0は見た目には今のPalm OS 4.0とまったく同じ。特に違うアプリケーションが入っているわけではないようだ。

さて、明日8日は、このレポートも最後となる。時差の関係で、米国の金曜日は日本ではもう土曜日になってしまうからである。明日は展示会場などの模様をレポートする予定である。

(塩田紳二)


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