このページの本文へ

【PalmSource 2002 Vol.3】展示会場レポート──米シンボルがカラー液晶搭載機を展示

2002年02月08日 23時36分更新

文● 塩田紳二

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

“PalmSource 2002”の会期は全部で4日間だが、さすがに3日目にもなると参加者も減ってくる。特にプレスルームはガラガラという状態で、残っているのは海外のプレスだけという状態である。展示会場も今日(米国時間7日)が最後で明日(8日)はConferenceのみとなる。今回は、展示会場の模様を中心にレポートすることにしよう。

入り口付近から撮った会場風景。面積としては学校の体育館程度
入り口付近から撮った会場風景。面積としては学校の体育館程度

一番大きいのは米パーム社のブースだが、ここはほかのイベントも含めて、いつもサードパーティーの製品展示が中心であり、Palmそのものの展示は少ない。もっとも今回は『i705』が新しいだけで、あとは既存製品やアクセサリー類を展示していた。

次に大きいのは会場の両端に位置する、京セラ(株)ソニー(株)米シンボルテクノロジーズ社韓国のサムスン電子社の4社。いずれもPalm OSのライセンスを受けている企業である。

米Speck Procucts社の『AutoRoll-up』。フタが車庫のシャッターのようにバネ仕掛けで上に巻き上がるケース米Speck Procucts社(http://www.speckproducts.com/)の『AutoRoll-up』。フタが車庫のシャッターのようにバネ仕掛けで上に巻き上がるケース
シャッターを下げるとこうなるシャッターを下げるとこうなる

また、米国のイベントにはなぜか車やバイクが持ち込まれることが多い。くじ引きなどの賞品として、あるいは客引き用の珍しい展示としてである。今回は米モトローラ社がスポンサーをしているレーシングカー(CART Car(※1))の車両が持ち込まれていた。なんかレーシングカーって、あちこち広告だらけで、たとえが悪いが歌舞伎町の電話ボックスのよう。

※1 CART(カート):米国で人気があるフォーミュラレース。F1とは燃料や車重などのレギュレーションが異なる。

米モトローラ社が展示していたレーシングカー(CART Car)。一応スポンサーなので宣伝用に展示してたみたい
米モトローラ社が展示していたレーシングカー(CART Car)。一応スポンサーなので宣伝用に展示してたみたい
京セラのPalm OS採用携帯電話『QCP 6035』(写真左)に接続して使う血糖値測定装置(写真右)。これで血糖値を測定して携帯電話経由でデータを送信するという
京セラのPalm OS採用携帯電話『QCP 6035』(写真左)に接続して使う血糖値測定装置(写真右)。これで血糖値を測定して携帯電話経由でデータを送信するという

今回、Palm OS機本体の新製品がまったくないと思っていたら、シンボルテクノロジーズ社のブースにあったのが、カラーディスプレー搭載でGraffiti領域まで液晶パネルになっているもの。業務用でレーザーバーコードスキャナーを内蔵し、筐体はかなり頑丈にできている。同社が発売しているSTPシリーズの1機種。このようにGraffitiエリアを液晶にしたものには、 米HandEra社のCFスロット付きの『HandEra 330』があるが、なんだかフォントもそっくり。そういえば、シンボルテクノロジーズ社のブースの隣はHandEra社になっている。なんか怪しいなぁ。

おなじみ(株)アイ・オー・データ機器のブース。Pocket PC用の周辺機器なども堂々と展示している。もっとも、ソフトウェアの展示などでも、Palm機だけでなくPocket PCにも対応するといって『iPaq』を持ち込んでいることろは多かった
おなじみ(株)アイ・オー・データ機器のブース。Pocket PC用の周辺機器なども堂々と展示している。もっとも、ソフトウェアの展示などでも、Palm機だけでなくPocket PCにも対応するといって『iPaq』を持ち込んでいることろは多かった

新機種といっても、業務用で普通のPDAとして使うものではないため、あんまり注目されていないようだが、とりあえずこれが会場で見かけた唯一の新機種だった。

シンボルテクノロジーズ社のSPTシリーズの最新機種はカラー液晶ディスプレーを装備し、Grafitti領域も液晶でこの部分を表示用に使うこともできるシンボルテクノロジーズ社のSPTシリーズの最新機種はカラー液晶ディスプレーを装備し、Grafitti領域も液晶でこの部分を表示用に使うこともできる

1月にラスベガスで開かれた“International CES”にも出ていたが、米Fossil社(ここはカバンや時計などの小物ブランドの会社)のPIM機能内蔵腕時計『FOSSIL Wrist PDA』も展示してあった。だが、ずいぶんとデカイ。筆者の足首に巻いても自然と思えるぐらいだ。デカイと思ったセイコーインスツルメンツ(株)の腕時計型コンピューター『Ruputer(ラピュータ)』より大きい。あれよりも厚みがあるのだ。一応全体が曲線で構成されているので、Ruputerみたいな角張った“オタク”感がないのが救い。まあ、ファッションブランドの会社だもんね。とはいえできるのは、Palm機から赤外線で住所録やスケジュールを転送して見ることぐらい。

米Fossil社(http://www.fossil.com/)の『FOSSIL Wrist PDA』。アドレス、予定表、ToDO、メモパッドの4つの情報をPalm機から転送して表示可能。もちろん時刻の表示も
米Fossil社(http://www.fossil.com/)の『FOSSIL Wrist PDA』。アドレス、予定表、ToDO、メモパッドの4つの情報をPalm機から転送して表示可能。もちろん時刻の表示も
英Red-M社(http://www.red-m.com/)社のPalmVシリーズ用Bluetoothアダプター。GSM系携帯電話と接続するとショートメッセージサービスを利用できるようになる
英Red-M社(http://www.red-m.com/)社のPalmVシリーズ用Bluetoothアダプター。GSM系携帯電話と接続するとショートメッセージサービスを利用できるようになる
同じくRed-M社のBluetooth / Ethernetアダプター。Bluetoothアダプターを装着したPalm機などをEthernetに接続できるようになる
同じくRed-M社のBluetooth / Ethernetアダプター。Bluetoothアダプターを装着したPalm機などをEthernetに接続できるようになる

周辺機器で目立ったのは、Bluetooth関連機器である。一応Palm OSは、Bluetooth対応を進めているものの、まだ接続可能なデバイスが少ない状態。見かけるのはパーム社がリリース予定のSDカード型のBluetoothアダプター。そのほか、『Palm V』用のアダプターなどがあった。また、珍しいところではBluetoothとEthernetのブリッジデバイスなどが展示されていた。

米Pico Communications社(http://www.pico.net/)の『Pico Blue Internet Access Point』。Bluetooth接続が可能なブロードバンドルーター米Pico Communications社(http://www.pico.net/)の『Pico Blue Internet Access Point』。Bluetooth接続が可能なブロードバンドルーター

Palm機といえば、ケースやスタイラスなどの豊富なアクセサリーであるが、これらのほとんどはパーム社ブースに集中しており、その多くは日本でも見たことがあるものだった。

エプソンアメリカ社のBluetooth対応のサーマルプリンター。バッテリーを内蔵していて、これだけで印刷が可能。ただし試作品で、いまのところ商品化などについては未定とのこと
エプソンアメリカ社のBluetooth対応のサーマルプリンター。バッテリーを内蔵していて、これだけで印刷が可能。ただし試作品で、いまのところ商品化などについては未定とのこと

PDAを業務で利用すると困るのがプリンター。Palm OSには標準的なプリンターやドライバーソフトウェアがないため、基本的にプリンターが使えるのは特定のアプリケーションからとなり、必然的に業務用ばかりとなる。会場では、エプソンアメリカ社がBluetooth対応のモバイルプリンターの試作品を展示したほか、セントロニクスポート(プリンター側のコネクター。かつてこういう名前のプリンターメーカーがあり、そのインターフェースが標準となったために名前が残ったが最近では死語に近いかも)に装着するBluetoothアダプターを出荷予定。これにはPalm機とPocket PCのドライバ(というかアドレス帳などを印刷するアプリケーション)が附属するという。

エプソンアメリカが出荷予定のプリンターポート用Bluetoothアダプター。Windows用ドライバーソフトウェアに加え、Palm用のアプリケーションが附属し、住所録の印刷などが可能になる
エプソンアメリカ社が出荷予定のプリンターポート用Bluetoothアダプター。Windows用ドライバーソフトウェアに加え、Palm用のアプリケーションが附属し、住所録の印刷などが可能になる

ただ、展示会場はあまり広くなく、なんか3年ぐらい前の“LinuxWorld”という感じ。テロ事件の影響なんてのもあるんだろうが、サードパーティーが育つのはまだこれからということだろうか。大手のソフトハウスで出展していたのは米アドビシステムズ社ぐらい。もっともアドビは本社が展示会場のすぐ横。ご近所のよしみってやつもあるのかも。出展者に聞いた話だが、会場メイン部分のコマは出展料が数千~1万ドル(数十万~百数十万円)ぐらいなのだとか(端の方はもっと安い)。これじゃ、ちょっと不況になると出られないって感じもする。

これはケーブルやケースを作ったり、顧客企業の設計に応じてPalm系の周辺機器を作るメーカーの展示
これはケーブルやケースを作ったり、顧客企業の設計に応じてPalm系の周辺機器を作るメーカーの展示

“PalmSource Conference and Expo”のうち、Expoと呼ばれる展示のほうは今日(7日)で終了。会場内はさらに人がまばらになった。いきなり停電で始まった“PalmSource 2002”だが、とりあえず無事に最終日を迎えられそうだ。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン