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NECと松下、3G携帯電話端末における共同開発の成果を発表――2CPU方式のインターフェースを定義

2002年02月28日 22時35分更新

文● 編集部 増田悦子

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日本電気(株)と松下電器産業(株)、松下通信工業(株)の3社は28日、2001年8月に提携した第三世代携帯電話端末(3G携帯電話端末)における共同開発の成果を発表した。

NECの中村氏と松下通信工業の脇氏
左は日本電気のNECネットワークス執行役員中村勉氏、右は松下通信工業取締役脇治氏

発表会ではまず、NECの中村氏が「携帯端末の開発は異常な速度で進んでおり、その開発投資も重さがある。今回の共同開発で第一歩が踏み出せ、端末リリースの加速が3Gにおいて可能になる」と共同開発の経緯を説明した。

スライド1
2CPU基本アーキテクチャーの規定。伝送系とアプリ系に分かれている

続いて、松下通信工業の脇氏が「携帯電話のソフトウェアのサイズは、通話中心であった1996年の0.5MBから、iモードおよびiアプリ対応機では8~16MBに増大し、FOMA対応機では24MB以上になっている。CPUの周波数も同様に、1996年に4MHzであったものが、現在では、60~120MHzに上昇し、一世代前のパソコンのCPUに匹敵するという。また、端末が高機能になるのに伴い、開発時の評価項目(検査しなければいけない項目)の数も通話中心時の3万~6万件からFOMAでは10万件以上になっている。協業は、これに対応するために開発を加速し、3Gの端末を市場に早く導入することを目的としている。今回の協業の成果として、通信部分の制御を行なう“C-CPU(Communication CPU)”とアプリケーション部分の制御を行なう“A-CPU(Application CPU)”の2つのCPUでプラットフォームを構成する“2CPUアーキテクチャー”を採用し、C-CPUとA-CPU間のインターフェースを共同で定義した。これにより、C-CPUとA-CPUの独立性を高めることで、ソフトウェアの並行開発が容易となり、開発期間を短縮できる」と述べた。

スライド2
通信とアプリケーションを分離することで開発が促進できるという

インターフェースの共同定義に基づくC-CPUに独自性がなくても、アプリケーション側を自由に設計できることから、製品の差別化は可能という。また、携帯電話の通信部分の開発の手間が省けるため、開発コストを削減でき、開発期間も数ヵ月レベルで短縮でき、端末の供給が進むとしている。同アーキテクチャーを用いた端末は、2002年度後半には供給を開始する予定という。

スライド3
2CPUアーキテクチャーによる3G携帯電話の構成例

両社は、3Gの立ち上がりの遅れについて、端末メーカーの供給の遅れが原因であると分析している。現在FOMA対応の端末は、NECと松下のみが供給しており、端末のラインナップが少ないため、スローアップになっているとし、2CPUアーキテクチャーが端末の供給数を増やすのに役立つとした。

また、同アーキテクチャーについては、ライセンス契約により提供する。NDA契約(秘密保持契約)を結ぶことで、ライセンス契約に必要な情報を開示していくという。ライセンス料は未定としているが、両社は「ライセンス料が高すぎて、このアーキテクチャーが採用されないということがないように、リーズナブルな価格を設定したい」と述べた。

併せて、今後の共同開発に向けて、開発の連携/効率化を推進するために、共同開発拠点“3Gモバイルコラボレーションオフィス(通称)”を横浜市に設置したことも発表した。当初50名程度で開発を開始し、上半期中に100名規模とする予定。

今後については、「現時点までは、3Gに絞って共同開発を行なってきたが、2Gの携帯電話でもアプリケーションは膨らんできているので、2Gへのフィードバックも展開していきたい。また、次の共同開発のテーマとしては、AVやパソコンとの融合を図り、NECと松下の強みを生かしていきたい」と述べた。

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