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マイクロソフト、国内大学との連携プログラムを発表

2002年03月27日 15時59分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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マイクロソフト(株)は27日、同社と国内大学との連携プログラム“University Program”を実施すると発表した。

“University Program”は、大学との共同研究や技術提供、人材交流といったさまざまな連携を推進する包括的なプログラムで、具体的には、大学とのデジタルデバイド解消に向けた共同研究、デジタル教材の開発や教育カリキュラムなどの教育支援、“MSDN Academic Alliance”の提供、Microsoft Research(MSR)との連携といった活動を行なうという。

東取締役と早大山名助教授
マイクロソフト(株)取締役経営戦略担当の東貴彦氏(左)と、早稲田大学理工学部情報学科助教授の山名早人氏(右)

同社は、デジタルデバイド解消のための共同研究において、従来から東京大学中川研究室と共同で進めており“話し言葉検索”や“マイクロソフト単語帳”といったサービスを提供してきたが、今後はさまざまな大学と研究プロジェクトを展開するとしている。現在、東京大学黒橋研究室(ユーザーを目的の情報まで導く自動対話システム“ダイアログナビ”)、早稲田大学山名研究室(ログ解析によるユーザー意図解析)、京都大学河原達也助教授(ダイアログナビの音声対応)との共同研究プロジェクトが進んでいるという。

また、埼玉大学時田研究室、東京学芸大学寺谷研究室、お茶の水女子大学細矢研究室などとデジタル教材の開発を行ない、開発した教材は高等学校のパソコン教材として提供するという。さらに教育カリキュラムの設立支援としてMicrosoft .NETに関する教材の提供、学生/研究生向けプログラミングコンテストの開催などを予定しているという。

“MSDN Academic Alliance”は、3月8日付けでリリースされた、大学のコンピューターサイエンス系学科や研究室を対象としたプログラムで、教育/研究基盤の整備やIT技術者の育成、技術研究を支援するというもの。“University Program”では、大学への技術提供の一環としてMSDN Academic Allianceの提供を行なうという。

MSRは、音声認識や自然言語処理、3DCGなどの次世代テクノロジーを研究しているマイクロソフトの基礎研究所。2月にMSRと東京大学生産技術研究所および東京大学大学院新領域創生科学研究所が共同プログラムを実施することで合意したが、今後は他の大学とも連携を進め、“University Program”に参加した大学とMSRとの人材/学術交流を支援するとしている。

なお同社は、東京大学との共同研究の成果として、東京大学黒橋研究室の自然言語処理技術を利用した対話型ナビゲーションシステム“ダイアログナビ”を4月15日に同社ウェブサイト上で提供開始する。

ダイアログナビは、ユーザーが質問内容などを自然文で入力すると、その入力された言葉に対する回答候補を絞り込むための質問を表示する対話型ナビゲーションで、ユーザーが意図した質問の回答や探したいウェブページ上の情報を的確に検索できるというもの。例えば、ユーザーが“エラーが発生した”と入力すると、エラーがいつ発生するか、OSは何かといった質問をユーザーに返し、ユーザーがそれに答えることで、適切なサポート技術情報を表示できるという。

なお、ダイアログナビは、話し言葉検索のログ解析とサポートエンジニアの経験に基づく自動対話技術や、形態素解析、構文解析、重要関連文抽出などの自動言語処理技術を利用し、マイクロソフト単語帳やWindows/Officeのヘルプ、サポートオンライン情報、同社ウェブサイト情報などから、ユーザーの質問に合った回答を検索、表示するようになっている。

マイクロソフト取締役経営戦略担当の東貴彦氏は、同社と大学が連携することのメリットとして「マイクロソフトは多くのユーザーサポート履歴を持っており、一方大学側は要素技術を持っている。これらを融合することでユーザーが使いやすいコンピューター環境を提供できると考える。また、大学側の技術には日本独自のユニークなものがあり、ワールドワイドに向けた技術やサポートサービスに貢献できるだろう」と説明した。

また、早稲田大学理工学部情報学科の山名早人助教授は、「ソフトウェア研究は、基礎と応用、応用と実用の間のギャップが小さく、初期段階から応用、実用を考えた研究が必要。大学は生のユーザーデータを持ち合わせていないので、アイデアは出せてもそれが実際の産業に役立つかどうか分からない。ソフトウェア研究は、ユーザーからのフィードバックを反映することは重要。“University Program”を利用することでユーザーを対象とした研究が可能になり、大学のアイデアを実践で試せる。大学の研究を社会にフィードバックできるだろう」としている。

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