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雑誌34誌の編集長、個人情報保護法案の廃案を求める共同声明を発表


2002年4月13日

“ダ・カーポ”“創”“編集会議”“噂の眞相”“FRIDAY”など雑誌20誌の編集長が12日午後、永田町の衆議院第二議員会館に集まり、個人情報保護法案の廃案を求めて記者会見を行なった。今国会に上程されている同法案などメディア規制3法は、メディアおよび個人の報道・表現の自由を侵すもので断固反対するとアピールした。発表した声明文には、記者会見に出席した20誌を含めてこれに賛同する34誌の編集長が署名している

記者発表に集まった各誌の編集長
記者発表に集まった各誌の編集長。異なる会社、異なる雑誌の編集長が同じ趣旨のもと、一堂に会することは画期的だという

この記者会見は、(株)講談社で“週刊現代”や“Web現代”の編集長を務めた元木昌彦氏の呼びかけ人となり、個人情報保護法案が上程されて以来、その問題点を指摘し、反対活動を行なっているフリーライターの吉岡忍氏らの“個人情報保護法案拒否! 共同アピールの会”の賛同のもとで開いたもの。

メディア規制3法とは、“個人情報保護法案”“人権擁護法案”“青少年有害社会環境対策基本法案”を指している。これら法案は与党3党内で今国会での成立について合意したとされ、小泉首相も成立させるとコメントしている。

声明を読み上げる、ダ・カーポ編集長の遠藤成氏
声明を読み上げる、ダ・カーポ編集長の遠藤成氏

記者会見ではこの3法案について、個人情報保護、人権擁護などの美名に隠され、一般市民の関心は低いが、報道の自由に大きな制限を加えるのみならず、個人の活動にも国家が網をかけようとするもので、これが十分な討議を経ないまま成立するということは看過できず断固反対する、という声明文を読み上げた。

以下声明文の全文を掲載する。

個人情報保護法案の廃案を求める編集長声明(内容は原文ママ)
 私たちはこれまで、個人情報を保護するという美名の下に隠されたメディア規制の意図や、本格的なIT社会の到来を前に、市民一人一人の表現活動にまで広く規制の網をかけ、国家が市民を管理・監督するという戦前の治安維持法ともいえる個人情報保護法案の危険性を誌面を通して訴えてきました。
 しかし、法案作成にあたった官僚はもとより小泉首相をはじめとする与党政治家たちは、こうした批判に耳を貸さず、十分な討議を経ないまま法案成立を目論んできました。

 しかし、現在上程されているこの個人情報保護法案は、本来もっとも厳しく監視しなくてはならないはずの公権力への規制は緩く、メディアや民間人を規制・監視するための法案であることは明白です。
 これに加え人権擁護法案、青少年社会環境対策基本法案が成立すれば、ジャーナリストやメディアの取材・報道の自由が不当に制限されることはもちろん、出版、新聞、テレビ、インターネットなどあらゆるメディアが官庁の監督下に置かれます。多様な言論や国民の知る権利が失われ、結果として国益が損なわれることは間違いありません。

 雑誌ジャーナリズムはこれまでも多くの政治家や高級官僚をはじめ公権力の不正、腐敗、堕落を告発追求してきました。また、政官界による情報の独占、支配を排除し、広く国民の知る権利に答えてきたという自負があります。

 スネに傷を持つ巨悪たちは、自らのスキャンダルが暴かれるのを恐れるあまり、憲法21条が保証する表現の自由の精神を蹂躙してまでも、「巨悪スキャンダル防止法」とも言うべき法案の成立に執念を燃やしています。新聞報道によれば、与党三党は個人情報保護法案を十分な審議もせず今国会で成立させる暴挙に合意したといいます。

 残念ながら、このように民主主義の根幹を脅かす重大な法案が成立寸前にもかかわらず、未だ多くの国民はこの法案の持つ危険な本質や問題点を十分に理解はしていません。

 私たちは国民の広範かつ十分な議論がないまま、表現・報道の自由を制約しかねない個人情報保護法案成立に断固反対することを、ここに表明します。

2002年4月12日

個人情報保護法案の廃案と立案のやり直しを求める編集長

以下署名34人(※1)
※1 声明に賛同し署名した雑誌・編集長(敬称略):“AERA”一色清、“アサヒ芸能”佐藤憲、“ASAHIパソコン”奥田明久、“噂の眞相”岡留安則、“現代”中村勝行、“サイゾー”小林弘人、“SAPIO”竹内明彦、“サンデー毎日”北村肇、“週刊朝日”加藤明、“週刊アスキー”福岡俊弘、“週刊金曜日”黒川宣之、“週刊現代”鈴木章一、“週刊ダイヤモンド”辻広雅文、“週刊女性”駒村壮一、“週刊東洋経済”山縣裕一郎、“週刊プレイボーイ”田中知二、“週刊文春”木俣正剛、“週刊ポスト”海老原高明、“女性自身”武田真士男、“女性セブン”秋山修一郎、“新潮45”中瀬ゆかり、“SPA!”佐藤俊彦、“世界”岡本厚、“ダ・カーポ”遠藤成、“中央公論”河野通和、“創”篠田博之、“日刊ゲンダイ”二木啓孝、“FRIDAY”鈴木智之、“FLASH”井上晴雄、“プレジデント”藤原昭広、“文藝春秋”松井清人、“編集会議”花田紀凱、“望星”岡村隆史、“漫画ナックルズ”比嘉健二

記者会見に出席したのは、ASAHIパソコン、週刊ダイヤモンド、サンデー毎日、SPA!、編集会議、噂の眞相、現代、創、アサヒ芸能、サイゾー、週刊金曜日、週刊現代、週刊ポスト、世界、ダ・カーポ、日韓現代、FRIDAY、FLASH、望星、漫画ナックルズの各編集長(代理含む)。

各氏からは「国家が個人に網をかけ、国家と個人の関係を根本から変えるもの」「法案にはストーカー法と同じ文言があり、取材者をストーカーと同じとみなしている」「官庁に甘くメディアに厳しい」「一部の人たちの利権を守るだけの政治家情報保護法案だ」「国民は名前にだまされていい法案なんだと誤解している」「成立後10年20年経ってからあのとき通さなければ良かったといっても遅い。ぜひつぶしたい」「戦前の治安維持法にも匹敵する悪法」などと批判が相次いだ。

噂の眞相編集長の岡留安則氏
噂の眞相編集長の岡留安則氏

雑誌噂の眞相の岡留編集長は「私自身、この法律が成立する前に、懲役8ヵ月の判決を受けている。そういう意味ではすでに現行の法律の中でも恣意的に刑事罰を与えられる。それなのになぜこのような法案が必要か分からない。元は国民総背番号制による個人情報の漏洩を防ぐと言うところから始まったはずなのに、いつしかメディア規制になってしまった。こうした動きは間違いなく有事法制に連動したものだ。それよりもいま必要なのは(勇気を持って発言した人を保護する)“内部告発保護法”だ。噂の眞相は最後の死力を尽くして刺し違えるつもりで作っていく」と述べた。

サイゾーの小林編集長は「インターネットでメディア規制3法に関してアンケートを行なったが、一般の方からは、“何がいけないのか”“メディアざまあみろ”といった意見が結構あって驚いた。取材される側の痛みにも、なにかを提示できなくては多くの国民の支持を得られないのではないかという危惧を感じた。これが施行されると情報源が秘匿できなくなり、そうすると取材ができなくなってしまう。表現・報道の自由が蝕まれようとしている」という。

雑誌世界の岡本編集長は「報道に関連して受けた訴訟と判決の中で、ジャーナリズムを抑えようという司法の意識を感じる。また一般の方々のジャーナリズムに対する冷たい視線も感じる。私自身、今のジャーナリズムのあり方に疑問や違和感、不快感も持っている。しかし、だからといって公権力・行政がそれをコントロールする形になるのは、恐ろしい社会になることだ。ジャーナリズムは社会に対して最も公共的な役割を負うものであり、自ら律する形でただしていかなくてはならない。1つ1つの法案を合わせると、非常に強い言論統制の仕組みができてしまう。大きな社会的転換点が来ていると感じている。憲法21条の表現の自由がその精神を奪われようとしている」と述べた。

衆議院議員の川田えつこ氏
衆議院議員の川田えつこ氏

記者会見に出席して声明を聞いた川田えつこ衆議院議員(無所属)は「国家公務員をターゲットにした広域開示法案が民主党から提案されたが、私も公務員だけでなく民間のかたも対象にした広域開示法案、内部告発保護法案を提案する。メディアに働いている人たちが、国民に真実が伝わるように、そして強きをくじき弱きを助ける立場に立って報道ができるようになってほしい」とコメントした。

なお、個人情報保護法案拒否! 共同アピールの会では、今日13日の午後2時から銀座で、メディア規制3法の廃案を求めて“悪法の枢軸を撃て! 統一行動”というデモ行進を行なうとしている。

(編集部 佐々木千之)


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