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【Symbian Dev Expo 2002レポート後編】意外? 日本語環境が話題に


2002年4月27日

イギリスの通信環境は日本の10年前?

実は筆者はイギリスに来るのは初めてである。一応準備はしてきたのだが、物価の高さまでは考えてもいなかった。なにせホテルの電話代が市内で3分60ペンス(約120円)である。ホテルのビジネスセンターでは高速インターネットアクセスが可能と聞いていってみたが30分で7ポンド(約1400円)である。市内にあったインターネットカフェ(ただしここでは飲み食いできず単にインターネットするだけ)は40分で50ペンス(約100円)だが、単にウェブしか見ることができず、ファイルのアップロードも行なえない。先週が米国での“WinHEC”取材だったので土曜日にロンドン入りしたのだが、接続時間をチェックしながらネット接続するなんて、なんだか10年以上前に戻った感じ……。

さてSymbian DevExpoは、午前中がキーノートスピーチ、午後からは各種のセッション、ワークショップという形で進行する。展示会場の横がキーノートスピーチの会場になっている。なんだか米国のイベントに比べるとのんびりとしたものを感じる。その理由の1つは、ガードマンがほとんどいないことだ。米国ではテロの影響もあって最近のイベントはかなり警備が厳しいが、そうでなくても出入り口にはガードマンがいて参加者のバッチを細かくチェックする。しかしSymbian DevExpoでは、入場口には人は立っているものの、それほど細かくチェックされるわけでもないし、キーノートスピーチも時間になったら開場入り口のカーテンが開くだけ。だいたい、時間前に人が並ぶということもなく、カーテンが開いたらバラバラと人が入り始めるという感じである。管理もルーズだが、参加者ものんびりというのがイベントの印象だ。

マイクロソフトに対する危機感

さて2日目のキーノートスピーチのメインは、フィンランドのノキア社の副社長であるAnssi Vanjoki氏。同氏は、PowerPointによるプレゼンテーションを同社のSymbian OS搭載携帯電話『Nokia 9210』のIrDA機能で制御しようとしたのだが、これが最初はうまくいかなくて、担当者がステージに上がるという場面もあった。単にマウスのボタン押すほうがラクだと思うんだけどねぇ。

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ノキア副社長のAnssi Vanjoki氏

話としては「世の中では使い方の簡単なほうが選ばれるから、パソコンよりSmartPhoneのほうがいいんじゃない?」ということだった。それで「今年は、Symbian OSの出荷が増える年になり、もちろんノキアは、今年Symbian OSを採用したスマートフォンをもっと出します」というのが結論。ノキアはシンビアンの株主の1社。シンビアンの方向性はノキアの方向性でもあるのだ。

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デモがうまくいかず、あわてて担当者がステージに上がる一幕も

スピーチ後の質問でも米マイクロソフト社の“.NET”にはどう対抗するのかといったものが出るように、あまりあからさまには言わないが、スピーチの中にはマイクロソフトに対する危機感が感じられた。逆に、何もしなければヨーロッパもマイクロソフトの製品を受け入れざるを得なくなるという危機感が、ヨーロッパの大手携帯電話会社をシンビアンに集結させたのかもしれない。

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米アドビ システムズ社によるSymbian OS版Acrobatのデモ

そういえば、プレスルームでもノートパソコンを使っている姿はあまりみかけない。米国のイベントだと、ほとんどの記者がノートパソコンを持ち込んで作業しているのと対照的である。

一応パソコンが4台ほど置いてあってインターネットに接続しているのだが、ちょっとウェブを見る程度にしか使われず、誰もパソコンをネットワークに繋いでメールアクセスなどしていない(もっとも、接続しているネットワークがファイアーウォールの内側でHTTPしか通過できないのだが)。

そのかわり携帯電話で頻繁に話している。日本人も携帯好きだが、こっちもそんな感じ。だからスマートフォンというのも当然の発想かも。

Symbian OS日本語化は終了、IMEも

さて、テクニカルセッションのほうだが、基本的には開発者向けなので、話はとたんに細かくなる。ここでは日本語関連の話についてレポートしておこう。

Symbian OSには、基本的なテキストマネージャー機能があり、日本語化を含めた国際語対応の準備ができている。今回のコンファレンスでは、この日本語化関係のものとして、オムロンソフトウェア(株)による日本語入力システム『モバイルWnn』と(株)管理工学研究所によるSymbian OSの日本語化のセッションがあった。

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日本語化に関する発表を行なった、管理工学研究所の金谷直己氏

Symbian OSの日本語化は、1995年にまでさかのぼる。当時の英サイオン社と管理工学研究所が共同でEPOC(当時は16bit版)の日本語対応を行なった。その後、日本語版EPOCを採用した製品は出ていないものの提携は続き、Symbian OSの日本語化は準備完了の状態になっている。いくつかのモジュールを置き換える必要があるが、少なくとも携帯電話メーカーは日本語版のSymbian OS搭載スマートフォンを作ることができる状態にある。

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Nokia 9200シリーズのエミュレーターを使った、Symbian OS日本語対応のデモ。ワープロやスケジューラーで日本語が入出力できるようになっている。ただし、実機ではOSイメージがROM上にあるために日本語化できるかどうかはメーカーの作り方次第ということらしい

会場では、Nokia 9200シリーズ向けの開発キットに含まれるエミュレーター(PC上で動作する)にモジュールを追加して日本語表示を行なうデモが行なわれた。標準附属のワープロやスケジューラーに日本語が表示され、ワープロでは禁則処理が動作するところも見られた。モジュールを切り替え、テキストを変更することで世界共通モデルを作るといったことも可能になるという。

Symbian OSは、日本国内ではなじみがない状態であるにもかかわらず、イギリスで日本語対応が話題になっているとは思わなかった。

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米Advanced Recognition Technologies(ART)社による手書き文字認識のデモ。このほか音声による自動ダイヤルのデモもあった。これはトレーニングなし非特定話者で、入力した音声から電話帳を検索する。つまり発音と名前の文字表記を一致させる処理を行なっている

一方で、日本や米国ではIEEE 802.11bを使った無線LANによるモバイルインターネットも登場しはじめている。こちらはどちらかというと既存のパソコンやPDAでのインターネット接続をねらったものだが、領域としてはスマートフォンともぶつかる部分がある。ただ、一度携帯電話でメールを読むことに慣れてしまうと、ノートパソコンとPHSでメールを読むなんて手間をかける方法には戻れないのも事実。

ただ、無線LANによるホットスポットがあたりまえになればPDAやパソコンもそれなりのソフト(たとえばVoIPで通話する)や対応(ホットスポットに入った段階で自動的にメールを送受信するなど)が行なわれるだろう。となるとこれはどちらが先に広まるかという競争と言えるだろう。

すでにインフラは構築されているものの、端末の高性能化や低価格化が必要なスマートフォンと、対するは、ホットスポットのインフラの構築はこれからだが、技術的には機器側の準備が完了していて普及もしているパソコンやPDA、という組合せだ。今年は、その第1ラウンドになるだろう。

(塩田紳二)


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