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アマチュアCGアニメーションの祭典“DoGAアニメーションコンテスト”入選作品上映会が開催


2002年5月9日

グランプリ該当作品はなし

CGアニメによる新しい自主制作映像文化の振興を目的とした任意団体であるPROJECT TEAM DoGA(以下、DoGA)は、4月28日と5月6日に“第14回CGアニメーションコンテスト”の上映会を開催した。自主制作のCGアニメーション作品を対象としたコンテストで、第14回目となる今年は452本もの応募作品が集まり、この種のコンテストでは国内で最大の規模である。その中から4本が入賞に、同じく4本が佳作、そして10本が入選に選ばれた。

入賞作品は以下の通り。

グランプリ
該当作品なし
入賞(以下、敬称略)
ビジュアル賞
『LIFE NO COLOR』 作者:GOD DOG PRODUCTION 田澤 潮
LIFE NO COLOR
『LIFE NO COLOR』
作品賞
『quino episode II』 作者:poeyama
quino episode II
『quino episode II』
アニメーション賞
『Emigrate Ship -移民船-』 作者:江村 豊秋
Emigrate Ship -移民船-
『Emigrate Ship -移民船-』
アート賞
『キクマナ』 作者:studio 六花 吉浦 康裕
キクマナ
『キクマナ』
佳作
『絶対無双麻雀マン』 作者:山岸剛朗
絶対無双麻雀マン
『絶対無双麻雀マン』
『Japan 赤い大地に咲く花』 作者:Faint-Light・あさをゆうじ
Japan 赤い大地に咲く花
『Japan 赤い大地に咲く花』
『雪の日』作者:VOLPE Lab・田中政伸
雪の日
『雪の日』
『月の街』 作者:塩竃信幸
月の街
『月の街』
入選
『あんたーくてぃか』 作者:東京工科大学クリエイティブラボ/「あんたーくてぃか」チーム・早川大地
『PLANET CARRIER』 作者:T-ZERO FACTORY・コピ
『商人』 作者:Pixel engine・三谷 正
『Next Generation』 作者:腰原仁志
『アオネコ』 作者:メテオール・山田塔子
『魔法のチョコレート』 作者:石川プロ・石川 直哉
『光波道場』 作者:今井 呂万
『FADE into WHITE #3』 作者:五島 一浩
『ミクロ科』 作者:高田 和成
『T Pass Filter』 作者:小林 和彦
外伝(選外になったおもしろい作品)
外伝大賞『イリュージョン刑事(デカ)』 作者:渡部博之

いずれの作品も極めてレベルの高い作品であったが、10人の審査員のうち6人が“グランプリ該当作品なし”と判断、残る4人の全員が異なる作品をグランプリに推したことで、昨年に続き、今年もグランプリに該当する作品はなしという審査結果になった。

また、今年より“初心者部門”が新設され、これに上記10本の作品が入賞した。本コンテストの入選作品は極めてレベルが高く、応募自体をためらってしまう作家も少なくないことから、できるだけ気軽に参加してもらうためにこの賞を設けたのだという。その初心者部門作品の多くは荒削りだが、ストーリがおもしろい、あるいはギャグが効いているなど、いずれの作品も何か光るものがあった。

なお、上記の作品を収録したビデオ(“入選作品集”および“外伝-選外になったおもろい作品-”の2巻)が、DoGAより発売される。価格はそれぞれ2500円。DoGAのウェブサイトから通販の申し込みができる(発送は5月中旬以降)。

(月刊アスキー 櫨田智男)


今年はアマチュアCGアニメーション作家の世代交代の年

これら入選作品の上映会が4月28日に大阪のよみうり文化ホールで、そして5月6日には東京/中野の、なかのZERO大ホールにて開催された。東京会場での上映は連休最後の日ということもあってか、会場周辺には朝9時ごろからCGアニメーションのファンが多く列を作って入場を待つ姿が見受けられ、コンテストへの関心の高さが伺えた。会場は1200人収容のホールだが、ほぼ満席となったほど。

入場を待つ人たち
これは会場内の入場待機列。200人ほどの人々が入場を待っていた。もちろん建物の外には、さらに長い長い列ができていた

入賞、佳作、入選の各作品が5時間以上にわたって上映され、各賞の上映後には作家への表彰式も行なわれた。

渡部氏
外伝大賞『イリュージョン刑事(デカ)』の渡部氏。銀行強盗の前に現われたイリュージョン刑事が「イリュージョン!」の一言で事件を解決してしまう強引さで会場は爆笑に包まれた。「作品を見てくれたひとがウケてくれたことが嬉しかった」(渡部氏)
あさを氏
佳作『Japan 赤い大地に咲く花』のあさを ゆうじ氏。実写と3DCGとの丹念な合成などが評価された。「また次回も(入選して)この会場に来たいと思います」(あさを氏)
塩竈氏
佳作『月の街』の塩竈氏。透明感のある絵作りや光の表現のうまさなどが評価された。「作品を観てくれた皆さんの心にも穏やかな風が吹けば嬉しいです」(塩竈氏)
吉浦氏
アート賞『キクマナ』の吉浦氏。映像の独自性、群を抜いて高い完成度などが評価された。「このような作品を上映してくれたDoGAさんに感謝したいと思います」(吉浦氏)
江村氏
アニメーション賞『Emigrate Ship -移民船-』の江村氏。劇場用アニメ作品の原画マンとして活躍している江村氏の作品は、従来の3D作品にはなかった、指先まで意識された人物の動きや造型がすばらしく、そこが評価された
田澤氏
ビジュアル賞『LIFE NO COLOR』の田澤氏。近未来SF調の“BOY MEETS GIRL”がテーマ。境目の分からない2Dと3Dの融合、キャラクターの造型の優秀さなどが評価された。「次回はグランプリをめざします!」(田澤氏)

最後にDoGA代表の、かまたゆたか氏は、今回のコンテストを総括して「急速に作家の世代交代が進んでいる。今までパソコンやCGとは最も縁遠かった芸大生/美大生のかたがたがCGアニメーションを続々と作るようになった。そういった意味で今年は世代交代の年である」と述べた。事実、今回の452作品の中で、本審査に進んだ作家の半数以上が学生であり、しかもそのほとんどが芸大生、美大生だという。

かまたゆたか氏
DoGA代表のかまたゆたか氏

その世代交代について、かまた氏は「14年前にこのコンテストが始まった当時は、CGアニメソフトが存在しなかったため、作品を作ることができたのはプログラマーだけだった。その後、理系のパソコンユーザーへと作家の層が移り、CGアニメソフトの登場とパソコンの普及により、芸大生や美大生など文系の作家がCGアニメ作品を作るようになった。そうなると理系の作家に比べ、作品性やストーリー性の面で有利な傾向が文系の作家にはあるので、応募作品全体のレベルが一段とアップした。確かに中には物足りなさを感じる作品もあるが、『これから伸びそうだ』と感じさせる作品も多く見うけられた。今年は『今後に期待できる年』になったといえる」と、来年は、よりすばらしい作品が応募されるであろうとの予想を示した。

(月刊アスキー 櫨田智男)


自主制作から出現したCGアニメ界の超新星

コンテスト上映会の終了後には、特別上映会として、新海誠氏の『ほしのこえ』が上映された。新海氏は第12回の本コンテストにおいて『彼女と彼女の猫』でグランプリを受賞した映像作家だ。『ほしのこえ』は新海氏が約1年半をかけ、今年の1月に完成させた自主制作CGアニメーション作品で、4月にはマンガとアニメの総合情報サイト“マンガズー・ドット・コム”よりDVDビデオとして発売、また4月21日には北海道放送においてノーカット放映された。作品のテーマは、携帯メールをモチーフとした、宇宙と地上に分かれた少年と少女の超遠距離恋愛。

ほしのこえ2
巨大ロボット“トレーサー”を操縦するヒロインのミカコ。3D画像はLightwave3Dで制作し、人物は手描きの線画をスキャンしてPhotoshopで彩色、3D画像と合成している (C)Makoto Shinkai / CW
ほしのこえ3
遮断機は3DのCGによるもの。人物や背景、空に浮かぶ雲は2D画像。なお、新海氏がオープニングムービーを担当したminoriの美少女ゲーム『Wind - a breath of heart -』も必見! (C)Makoto Shinkai / CW

この作品は、脚本と映像を新海氏が1人で制作したこと、そして自主制作という枠に納まらない、商業作品と同等という作品としてのクオリティーの高さが、口コミとインターネットの掲示板を中心に話題となった。このDVDは、新海氏およびマンガズー・ドット・コムのホームページだけでの宣伝にも関わらず、発売から約1週間で1万本を出荷し、今も追加生産中だという。この事実が作品のクオリティーの高さを証明しているだろう。市販を前提として制作される商業アニメーション作品が5000本売ればヒットと呼ばれる状況の中、自主制作でこれだけの本数を売ったことは驚異的といえる。

DoGAのかまた代表は、DoGA独自の試算と断りつつも「国内における『ほしのこえ』の最終的な売り上げおよび興業収入は、合計で1億円に達するのでは」と述べた。

挨拶に立った新海氏は「ADSLなどの高速回線が普及したことでウェブサイトの予告編を観て貰えたこと、そして口コミで評判が広まったことなどの状況があったからこそ、これだけのヒットとなった」と、インターネットによる草の根的な広がり方が背景にあったとの認識を示した。

新海誠氏
新海誠氏

また、新海氏は自主制作のCGアニメーションを作ることの意義について「映像文化の多様性に貢献するという意味では、個人で作ったアニメーションは、それなりの役割を果たすのではないか」と語った。

(月刊アスキー 櫨田智男)




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