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【TECHXNY 2002 Vol.2】企業システム向け機能を充実させるPalm OS 5

2002年06月27日 23時56分更新

文● 塩田紳二

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米国時間25日からニューヨークで開催中の“TECHXNY”2日目のキーノートスピーチは、米PalmSource社CEOのデビッド・ネーゲル(David Nagel)氏が行なった。米PalmSource社は、米パーム社から分離した、“Palm OS”開発とPalm OSライセンスの管理を行なう会社である。

米PalmSource社CEOのデビッド・ネーゲル(David Nagel)氏
米PalmSource社CEOのデビッド・ネーゲル(David Nagel)氏

今回のニュースとしては、Palm OS 5の標準コンポーネントとしてVPN(米SafeNet社)、Java VM(米インシグニアソリューションズ社)、ウェブブラウザー((株)アクセス)が提供されること(ただし、実際にこれらを入れるかどうかはPalm OSのライセンスを受けるメーカーの判断となる)。

企業内システムを構築するプラットフォームとしての準備を進めるPalm OS 5
企業内システムを構築するプラットフォームとしての準備を進めるPalm OS 5。今回、米インシグニアソリューションズ、米SafeNet、アクセスの製品が加わった

これらの機能は、PDAを使った企業内システムを構築する場合の必須機能となる場合が多い。特定メーカーのソフトウェアを標準として米PalmSourceが認定することで、開発者に安定した組合せを提供することができるようになる。

Palm OS 5のデモも行なわれ、Palm OS用の表計算ソフトを使ったグラフ描画を、現在のPalm OS 4.1採用機(DragonBall)と、Palm OS 5(StrongARM)で行なわせ、その速度を比較した。Palm OS 5は、ARM系プロセッサー用となり、従来のプログラム(DragonBall/MC68000用)はエミュレーター上で動作する。しかし、グラフの描画のための計算はPalm OS 5上のものが圧倒的に速く、エミュレーターを使った場合でも実行効率の高いことをアピールした。なお、Palm OS 5はすでにライセンシーに対して出荷を開始したとアナウンスしており、Palm OS 5を搭載したマシンは第3四半期に登場の見込みだ。

京セラの『Kyocera 7135』京セラの『Kyocera 7135』。2つ折り型の携帯電話で、Palm用のグラフィティ領域と液晶の間にヒンジがある。MP3プレーヤー機能などを持ち、CDMA2000 1xに対応
折りたたんだところは、最近の日本の携帯電話のよう
折りたたんだところは、最近の日本の携帯電話のよう

また、スピーチ中には、Palm OSのライセンシーとして京セラ(株)とソニー(株)が登場。京セラは、新しいPalm OS搭載携帯電話『Kyocera 7135』を披露した。京セラが従来販売していたPalm OS内蔵携帯電話『pdQ 800/1900』は、米クアルコム社の携帯電話製造部門の買収により京セラに移管されたもの。つまり、京セラの純粋設計ではなかった。今回の7135は“CDMA2000 1x”に対応したいわゆる3G端末であり、形状も折りたたみ形で、折りたたんだ姿はかなり“日本の携帯電話的”な印象。CDMA2000 1xなので国内での販売も期待したいところだが、同社はかつて“DataScope”で痛い目にあっているのでどうなることやら(個人的には期待しているのだが)。

ソニーは、すでに出荷しているカメラ/キーボード搭載折りたたみ型の『NR70V』のデモを行なった。今年2月のPalm OSの開発者向けイベントで、いきなりNR70Vの試作機を公開した前例があるので、今回も何かあるのかと期待したが特になかった。

カナダのRIMのBlackBerryのGSM/GPRS対応版
カナダのRIMのBlackBerryのGSM/GPRS対応版。従来のBlackBerryは、双方向ページャーのインフラを利用したものだけだったが、この機種は携帯電話であるGSMネットワークに対応。イヤホンマイクを付けることで通話も可能

Palm OSは携帯電話との組合せではPocket PCに先行していて、すでに京セラ、米サムスン コミュニケーションズ アメリカ社、米ハンドスプリング社が製品を出荷している。さらに第3の勢力として無線双方向ページャー端末を組み込んだカナダのResearch In Motion(RIM)社の『BlackBerry』があり、こちらもこのTECHXNYで“GSM/GPRS”に対応した製品を発表している。つまり、米国の主要なPDAプラットフォームは、みんな携帯電話との組合せを実現しつつあるわけだ。

流行ってはいるものの、パソコンに比べて数量的に小さかったPDAだが、携帯電話との組合せでひょっとしたら大きく数を増やすかもしれない。

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