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【MACWORLD/NY 2002 Vol.4】展示会場でみるMACWORLDのトレンド


2002年7月22日

MACWORLD EXPO/NEW YORKの目玉は、アップルコンピュータ社の新製品ばかりではない。会場では新OS、Jaguarの登場にサードパーティー各社も盛り上がっていた。

アップルブース
とはいえ、やはり一番人気はアップルのブースだ。今回はすぐに手に入らない発表も多かったため、ブース内のシアターには連日溢れんばかりの人が押し寄せていた

アップルが米国で展開する“スイッチ”キャンペーンでは、WindowsからMacへの乗り換えをする一般ユーザーを紹介しているが、乗り換えを検討中なのはユーザーだけではない。競争ばかりが厳しく熱意のあるユーザーが少ないWindows市場から、Mac市場への鞍替えを検討中という開発社もいくつか、このMACWORLD EXPOに初参加をしていた。“Ikebana(生け花)”という日本語ブランドでIEEE 1394ドライブ製品を発売予定の米Shecom社もその1つで先月、同じ会場(New YorkのJavits Center)で開催されていた“TECHXNY 2002”にも出展していたと言うが、MACWORLD EXPOの熱気には驚かされている様子だ。
さて、この会場レポート第1弾では、筆者が会場をざっとみて感じ取った5つのトレンド、注目動向をまとめてみたい。

■サーバー市場への広がり

Mac OS Xの基盤はUNIXだ。今回、スティーブ・ジョブズCEOは、基調講演で、アップルが名実共にサン・マイクロシステムズ社などをしのぐ世界最大のUNIXベンダーになったことをうたったが、これに伴いMacをサーバー市場で活用する例も増えてきている。
こうしたことから今回のExpoでは、Macサーバー向けの製品もいくつか見かけた。
Xtreme Mac社のXRackもそんな製品の1つで、アップル社最新のラックマウント型MacであるXserve専用につくられた12UのラックでXserveの凄まじい動作音を75%もカットしてくれる。色は黒とプラチナの2種類が用意されており、同社ではビデオ/オーディオ関係のプロユーザーにぴったりと語っている。

ラック
(Macとしては)ファンの音がうるさいXserveだが、このラックに入れれば動作音がピタリと止まる? 少なくともにぎやかな会場では耳をくっつけても音がほとんど分からないほど静かだった

米アイオメガ社や仏ラシー(La Cie)社のブースで展示を行なっていた仏Grande Vitesse System社(gvs)らなどNAS(Network Attached Storage)の展示もいくつか見かけた。

ちなみにgvsは、いわゆるVAR(付加価値販売会社)で、NASのほかにもMac OS 9、Mac OS X、Yellow Dog Linuxなどを含むいくつかのLinuxをバンドルしたGVS9000という独自仕様(独自筐体+独自構成)のラックマウントサーバーも販売しており、ラックにマウントされた複数のMacの状態を一度に画面操作できるように3面分のモニターを1個にくっつけた『Panoramic Display』という製品を展示し注目を集めていた。

Panoramic Display
Panoramic Display。3つの液晶ディスプレーを1つの画面として使うのも、別のCPUの画面を映し出すのもユーザー次第。価格は4995ドル(約58万円)。結構、視野角が広く見やすかった。富士通製液晶パネルを採用

■アメリカでもテレビ録画が人気

日本ではiEPGで予約をし、MPEG-2形式でハードディスク録画をしてくれるピクセラ社のCaptyTVが大人気だが、アメリカでもTV録画関連の製品は人気があるようで、Expo特別価格で人気が高かったEskape Labs社の『My TV 2 Go』のほかにも数社が製品を展示していた。
中でも、今回のExpoで一番の人気を博していたのは米EL GATO社の『Eye TV』という製品。同社はもともとソフトウェア開発が中心の会社で使いやすいユーザーインターフェースデザインには特に自信があるという。今回はその優秀さをアピールするためにあえて人気がある製品分野のソフトを開発し、そのソフトを利用するためのハード(TVチューナー/エンコーダー)も用意したという。日本でのピクセラの成功話にも詳しく、近いうちに日本市場に進出したいとしている。

Eye TVのブース
Eye TVのブースは連日、人が溢れており近付くことすらできない人気の高さだった

■3.5インチでバスパワー

前日レポートでも紹介した米Wiebe Tech社の外付けハードディスクドライブ、UltraGBも展示された。これは3.5インチハードディスクとしては世界で初めてバスパワー動作(つまりIEEE 1394ポートからの給電だけで動作)を実現した画期的製品だ。ただし、Expo直前になって一部の液晶型iMacで問題があったため現在、液晶型iMacだけ対応製品から外されている。なお、ノート型製品で使う場合も、ノート型Mac本体はACアダプターに接続されている必要がある。
なお、同社ではiDVD 2を使ったDVD書き出しにも対応した製品を開発中だが(MACPOWER誌8月号参照)、残念ながらそちらの製品はソフトウェアの開発が遅れており、今回のExpoの展示には間に合わなかったようだ。

3.5インチバスパワーHDD
容量に余裕のある3.5インチサイズながらバスパワー動作を実現。モバイルコンピューティングが大きく変わりそうだ

なお、このほかのハードディスク製品としては、米Shining Technology社のCitiDisk DVなど、デジタルビデオカメラから直接動画を取り込めながらMacの外付けハードディスクとしても使える製品を展示し話題になっていた

■iPod関連の製品も目白押し

ご存じの通り、iPodは今回のExpoの目玉の1つでもあった。事前に知らされていたわけではないだろうが、サードパーティーの中にもiPod関連のアクセサリーを展示しているところが目立った。XRackのところでも紹介したXtreme Macは壁一面に、iPod用ケースを含む同社のiPod関連製品を並べて展示を行なっていたが、アップルから純正のケースが販売され、最新の10GB/20GBモデルに標準添付されるようになったことには少なからずショックを受けていたようだ。

Xtreme Mac
Xtreme MacのiPod関連製品

■近寄りがたかったブース

ユーザーにはうれしいアップルの新製品だが、中には新製品の発表で不幸のどん底に落ちてしまう人々もいる。
iPod用ケースの販売会社はまだ軽傷だ。米メディアフォー社のWindowsでiPodを使えるようにする製品、XPlayはアップルがWindows版iPodを発表したことで存在価値が半減してしまった。もっとも、同製品にはFAT32フォーマットのWindows版iPodではできない、MacとWindowsのデーター受け渡しデバイスとしての価値がある。

米Power On Software社はもっと痛い思いをした。自動バックアップソフトなどいくつかの製品を持つ同社だが、今回の展示のメインはスケジュール帳ソフトのNow Up-to-Dateだったが、アップル純正スケジュール帳ソフト、iCalの無償配布が発表された今となっては同製品に興味を示す人はあまりいなかったようで、いつもは人気の同社ブースも今回ばかりは寂しそうだった。
マイクロソフト社は、今回のExpoで、EntourageをPalm OS機とシンクロするコンデュイットを密かに発表したが、これもJaguarのAddress BookとiCal、そしてiSyncの登場で、ちょっとインパクトが弱まってしまった。

しかし、その一方でマイクロソフトの新製品で影を潜めてしまったブースもある。今回、マイクロソフトはWindows 2000やWindows XP Professionalを遠隔操作できるRemote Desktopという製品を発表したが、同様の機能を提供する製品、HOBLink JWTを発表し“MACWORLD EXPO/SAN FRANCISCO”ではそれなりに人気を博していた独HOB社のブースは今回、ガラガラだった。

■各社の隠し球製品もチラホラ……

ユニークなアクセサリーで毎回人気が高い米グリフィン・テクノロジー(Griffin Technology)社のブースでは、相変わらずPowerMateの人気が高かったが、今回はiBookやPowerBook G4を置くための台、iCurveを新発表していた。

iCurve
これからの熱い季節、iBookユーザーならぜひとも欲しいのが、このiCurve。台座の下の部分はキーボードの収納もかねている

これからの暑い季節、手元が熱くなるiBookのユーザーには特にうれしい製品かもしれない。

ところでMACWORLD EXPOも、常連になり各社の代表と顔なじみになるとそれなりにいいことがある。今回、筆者はグリフィンの社長、ポール・グリフィン氏に特別にiPodにラジオチューナー機能を追加する研究中の製品を見せてもらった。既に米国の一部のウェブサイトにも画像が載ってしまったようだが、後日、グリフィン氏の許諾がもらえれば筆者が撮影した写真と同製品に関する詳細をMacPeople誌やMACPOWER誌にて紹介予定だ。

一方、IEEE 1394の制御チップメーカーとして有名な英Oxford Semiconductor社のブースでも特別にみせてもらったものがある。iPodより一回り大きいベータマックステープ大のその製品は2.5インチハードディスクを内蔵し、単3電池4本で駆動するFireWireポート搭載ハードディスク式MP3プレーヤー。iPodと比べるとたいしたことない製品のように見えるが、実は同製品、iPodが発表される4ヵ月前に某社にて製品化される予定があったという。ただし、このサンプルユニットが中国のオフィスで止まったままになったため製品化が実現できなかったという。
こちらが先に製品化されていたらiPodの発表時のインパクトはもう少し弱まっていたかもしれない。そう考えると、この事件はiPodの救いの神かもしれない。
なお、Oxford Semiconductor社では、人気のOxford 911チップの後継製品で800MB/s対応のIEEE 1394bに準拠したOxfird 922も参考出品していたが、IEEE 1394bに対応したPHY(物理)チップを作っているのは米テキサス・インスツルメンツ社と米Zayante社の2社のみ。TIの開発はやや遅れ気味で、Zayanteは先日、アップルに買収されてしまった。つまり、アップルが行動を起こさないとIEEE 1394bは動き始めない。同社はアップルが早くPower Mac G4の新製品を出すことに期待している様子だった。

前日レポートで黒幕がかかっていたのは
前日レポートで黒幕がかかっていたのは、このMac OS X Jaguarの垂れ幕だった

■ITイベントは全体に縮小傾向に

TECHXNY(PC EXPO)にしても、MACWORLD EXPOにしてもイベントとしての規模が縮小傾向にある感は否めない。ITバブルもはじけた今、わざわざ年に数回のイベントに巨額の出展料や広告費をかけるのは、確かにあまり賢明ではないのかもしれない(今回のExpoでもアドビシステムズ社はセミナーのみの参加にとどまりブースの出展は行なわなかった)。

最近ではスティーブ・ジョブズCEOも、MACWORLD EXPOよりもアップルの直営店の方が集客力があることを強調しており、年内に50店舗まで増える予定の直営店では毎週のようにイン・ストア・イベントが行なわれている。大型都市に集まれる偏ったユーザー層だけに語りかけるのではなく、ユーザーの地元で製品説明をしたほうが効果ありというわけだ。こうしたトレンドを反映してかコーレル社は同社製品を使ったマルチメディア製作のトレーニングが受けられる大型トレーラーを一般公開。これから全米をツアーし、マルチメディア製作にある一般の人や学生を集めるという。

(林 信行)


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